LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

~TOPICS~ 業界と対峠ではなく二人三脚(JASRAC 常任理事 増田裕一氏)
JASRAC(東京都渋谷区)は、ブライダル複製音源の著作権処理に関して、昨年1年間で大きく舵を切った。映り込みの明確化のほか、使用料規定を分数単位から1曲単位に変更。さらなる包括契約も視野に、昨年10月からは実証実験をスタートし、10事業者が参加している。業務部門トップである常任理事の増田裕一氏は、「音楽を使いやすいように対応していくのが我々の役割」とその意義を語っている。インタビューを通じて、業界との二人三脚により、さらなる普及・理解促進を図る同社の考え方に迫った。
分配額は史上最高額に
――業務部門トップという立場から、JASRACが果たす役割を改めて説明してもらえれば。
増田「JASRACの役割は、作家等から信託という方法で著作権の管理委託を受け、音楽の利用者から許諾の対価である使用料を受領する役割です。仕組みとしては、その使用料をお預かりして作家等に分配する。作家は分配された使用料を生活の糧にして、利用者に将来提供される新しい音楽を創造する。JASRACは音楽文化の≪創造のサイクル≫を円滑にする役割を担っています。ただ、作家にどのように分配しているのか見えにくいという人がいるのも事実。2 月に、2019年度の徴収額が、史上最高の1157億円程度になる見込みと発表しました。音楽配信や演奏会の分野の徴収増が主な要因です。その結果、作家等へ分配される使用料も、史上最高の1173億円となります。徴収したものをそのまま作家に分配するため、基本的にその額はイコールですが、使用料を徴収してから分配するまでは半年間のズレがあるため、多少金額は誤差も生じます。今回の場合、業務効率をあげて分配を早める施策をとったため、前倒しになりそれで史上最高の分配額になりました。意図としては、しっかりと分配し、そのスケジュールも早めているということを伝えたかったわけです。」
――徴収額が出ると、【JASRACが儲けている】という誤った風評も出てきます。
増田「使用料を分配する際に、作家からJASRACの活動にかかる費用を管理手数料としていただいています。この手数料がJASRACの売上になりますが、あくまでも管理に要した実費のみの計算であり、余った分は作家に再度分配する仕組みとなっています。つまり利益を出していないのが実情です。HP上で決算書や報告書を公開しているため、それを見てもらえればこうした誤解は分かってもらえるはずです。」
増田「作家等の著作権者が、自分たちで使用料を徴収するのはなかなか難しい面もあります。当然自分でやるという人もいますが、例えばブライダルの式場の演奏権についてだけを考えても、各地の式場に行ってどれだけ自分の作品が演奏されたのかを把握することは困難です。JASRACは1939年に設立しましたが、そうした手間のかかる業務を、集中管理体制でできるようになったのです。ちなみに、信託契約の第1 号は島崎藤村です。JASRACがあるから使用料がきちんと入ってくると、評価してくれる作家も多いのです。」
役割を理解される傾向
――誤解に基づいたネガティブなイメージを、いかにして払拭していくかも今後は大切かと。
増田「ネット上などでのネガティブなコメントについては、様々な誤解に基づくものが多いわけですが、最近では正しく理解して発信してくれる人が出てくるなど、誤解が解消される傾向も少しずつ高まってきました。著作権の仕組みの中にJASRACが存在し、どういう役割なのかを知った上で、それを常識だととらえてくれる人たちです。また、今後は一般の人も著作権者になる可能性が高まっています。ネット動画などを通じて、自分で創作した作品を発信し、そこに広告が付いて収入を得るようになっています。そういう意味では、彼らはまさしく著作者であり著作権者なのですが、それを勝手に見知らぬ誰かが使ってしまえば、大きな損害となります。音楽に関しても、以前はプロだけが作る時代でしたが、そこにシンガーソングライターが現れ、今や一般の人達がネットを通じて自分で制作したものを発信しています。ネット上で認められてメジャーになるという流れも出ている中、多くの人に著作権者としての当事者意識が高まっており、JASRACの役割への理解もさらに進んでいくと考えています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月1日号)

