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キーマンに聞く

3代目本館のオープンに際し結婚式のスタートダッシュが核になる【東京會舘 常務取締役 営業本部副本部長 星野昌宏氏】

3代目本館のオープンに際し結婚式のスタートダッシュが核になる【東京會舘 常務取締役 営業本部副本部長 星野昌宏氏】

 現在は年間で1000組以上の結婚式を施行し、都内有数の人気会場になっている東京會舘であるが、その契機は2019年の3代目本舘オープンにあった。これまでも本紙面においてその秘訣を紹介してきたが、そもそもリニューアルの時にどのような方針決定があったのか。同社の結婚式を取り仕切る常務取締役・営業本部副本部長の星野昌宏氏に、それ以前の結婚式の状況、3代目オープンに際しての方向性決定の経緯、また今後に向けて大切にすべきことなどを聞いた。

2代目本舘時は苦戦も

―― 3 代目本舘オープン以前の結婚式の状況とは。

星野「100年前の設立時には、宴会場とレストランを中心にして、大勢の人の集える場所、社交の殿堂を作るというのが趣意でした。本格的な大型宴会場を有していたため、結婚式の引き合いはあったと聞いています。舘内には遠藤波津子美容室が入っていて、遠藤波津子先生も常駐し自らヘアメイク、着付けを担当していました。そうした流れで戦後を迎え、民間の方に嫁いだ昭和天皇の皇女順宮様の披露宴を東京會舘で執り行ったこともあり、結婚式のイメージは高まっていきました。」

星野「2 代目本舘時代は、ホテルが次々にオープンした時期と重なったこともあり、都内で結婚式のできる宴会場は珍しくはなくなりました。チャペルはあったのですが、時代に取り残され、結婚式は徐々に減少。平均人数がそれ以前の数100名から、100名程度にまで減少していったことも理由の一つです。2代目本舘にあった大宴会場のローズは、数100名の結婚式でないと難しい規模。一方それ以外は40名~60名程度の中小宴会場であり、100名程度の結婚式を受けるには中途半端でした。そのため結婚式件数も安定せず。250~400組の水準で推移するような状態が続いていました。」

―― 3 代目本舘のリニューアルにあたり、結婚式を重視するようになりました。

星野「実際には前社長時代の2010年前後から、今後の重点課題は結婚式だという方針を掲げています。宴会とレストランはある程度の売上も見込めていたことで、さらなる収益アップのためには会社としてそれまで得意ではない、いわば弱点分野であった結婚式に力を入れていこうと。また3 代目のリニューアルは三菱地所、東京商工会議所、東京會舘の3 社の共同事業ですが、東京會舘としても数100億円の投資を要し、その分の返済・原価償却負担は増します。今までと同じ売上では足りないため、課題であった結婚式を伸ばすしかないとなったわけです。もう一つ、リニューアルオープン直後は、柱である宴会受注が厳しくなることも十分に予想されていました。それまで利用してもらっていた企業・団体についても、窓口となる総務担当や秘書からすれば、導線・オペレーションがどう変化しているのか分からない場所では安心して社長を参加させることは難しいという判断になるのは当然ですから。その点で、結婚式とレストランがそれまで利用してもらった人達に対するお披露目の機会になっていくことを考慮しても、いわばリニューアルオープン後の核だったわけです。」

――とはいえ、一般宴会が主体であるため、結婚式用の施設ではないという大変さもあったのではないでしょうか。

星野「共同事業のビルであることから、東京會舘はワンフロアに集約した効率的な形で、3階と7 階に宴会場が配置されました。あくまでも主軸は一般宴会であり、それを見越した導線、レイアウトだったわけですが、そこに結婚式のオペレーションを加味していった形ですね。例えば、ゲストに見られずにチャペルに入ることで、事前にチャペル内でのリハーサルや写真撮影も実施することができます。入口が1ヵ所ではゲストと会うことになりますから、そのために新郎新婦用の扉を作るなど。入口と出口も変えて、挙式後はテラスにそのまま出て写真撮影、フラワーシャワーを実施できる造りです。花嫁のバッティングを防ぎ、他の宴席の人が写真に写り込まないなど、それぞれの場所を自分達だけで使えるようにオペレーションには配慮しました。また親族控室、写真スタジオ、挙式場の移動距離も事前に入念なチェックをしていきました。控室については部屋も多数ありますので、一日に実施する数と人の流れを考えながら、どこで何を提供するのかを整理していった形です。」

 

空き日程のない状態を

――実施数は一日10枠であり、これは実質1 回転です。

星野「私は2017年に入社していますが、それ以前から方向性は決まっていました。サポートしてもらっていたT&Gからも、ゆったりと実施できる数にすべきという提案がありましたので。東京會舘側としては一定の売上が必要で、その分の件数を考えざるを得なかったわけですが、そもそも混雑している状態での結婚式は東京會舘らしさではないわけです。結果的には、10枠で良かったと言えます。1日10枠であればマックスが1000件、仮に15枠であれば1500件。埋まっていて空き日程のない1000件と、稼働の少ない状況で売れるところだけにしか入っていない1000件では、前者の方がより価値もありますから。」

星野「もともとチャペルも1ヵ所であり、仮に15枠にしようとすれば挙式も30分回転になってしまいます。一つの式が押せばその後のオペレーションにも影響は生じ、さらに色々な人とすれ違うという状態です。それならばチャペルを2 ヵ所にすればいいと考えがちですが、あわせて控室~写真スタジオ~チャペルという流れを作る必要も出てきます。仮にチャペルだけを別フロアに作れば、その分移動の時間はイレギュラーとなり、オペレーションはバラバラになります。エレベーターに人が殺到してしまう可能性も出てきます。コンパクトな導線で効率よくしているからこそ、本来移動に必要であった時間を使ってファーストミートや写真撮影もできるようになりました。ゲスト目線も踏まえれば、導線を効率化してゆったり過ごしてもらうことは大切で、その点でT&Gのワンバンケット的な考え方は、当社のスタイルにも合っていたと思いますね。」

 (詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月11日号)