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キーマンに聞く

間接照明だけで数億円の投資【東京會舘 常務取締役 星野昌宏氏】
今期も業績が好調に推移しており、婚礼売上だけで60億円超えの可能性も出てきた東京會舘(東京都千代田区)。結婚式の王道を貫いていくそのスタイルと共に、余計なトークをしなくても他会場との差を見せつける設備面もまた強力な武器だ。多額の投資をかけた各種設備は、結婚式ではもちろん、宴会需要獲得面でも力を発揮している。今号、次号の2回にわたり、宴会対応も含めた会場としての在り方を星野昌宏常務のインタビューから探っていく。
婚礼売上60億円も視野
――2025年の状況は。
星野「上方修正した予算は、12月時点のオンハンドで達成しています。特に単価については、10月の600万円台後半、11月の590万円に引き続き、12月も610万円に達しています。今期の施行については1045件前後。婚礼売上だけで60億円超えの可能性も出てきています。」
――結婚式の王道にこだわったスタイルで、現在も単価がさらに上昇している要因について、どのように見ていますか。
星野「東京會舘の結婚式というのは、一見つまらないけれど正しいことを突き詰めていて、それが評価されていると感じています。昨年は、結婚式に誠実かつ実直に取り組んでいるか、新郎新婦がそうした側面を大切にする機運がより広がった一年だったと見ています。その上で、2026年の結婚式業界のテーマは、【価値観の衝突】ではないかと。ゲストハウスを中心に、多くの会社が20年、30年経過する中、どこまで自社の核を作ってきたか。未だに流行りに右往左往する企業も多く、なかなか核も定まらない状況で、東京會舘は上質さ、安心さという存在で戦っていて、そこに価値観の衝突がより激しくなってくると思います。」
星野「単価については、景気が良くない方向に進んでいるとはいえ、個人的に考えているのは結婚式を実施する人は少なくとも300万円、400万円で終わっていないということ。地元のショップで親の衣裳を借りる、身内へのプレゼント、親戚にお車代を出すなど、結婚式とその周辺にかかっている費用は、どこの会場の新郎新婦も本当はそれほど変わらないと考えています。ただ、会場側が持込みOKやディスカウントといったテクニカルな受注戦略を進めてしまい、本当はそれだけのパイがあるのに、どんどん流出してしまっている。いわば自分たちのやり方で、自らの首を絞めているような気もします。」
――持込みOKなどは、売上アップのチャンスを放棄しているわけですからね。
星野「最近すごく感じるのは、『いくらになりますか?』など駆け引きをしてくる新郎新婦が増えたことです。それは、多くのブライダル企業がテクニカルに走っているからこそ。こうした新規の変化に昨年10月頃に気付き、その対処のために必ず二つのことを新郎新婦に伝えるようスタッフに話をしました。一つ目は、購買率と割引は反比例するということ。人気のない会場は稼働を埋めなくてはならないからこそ、多額の割引をしなければなりません。つまり割引をしてくれる会場は人気がないからで、反面、購買率の高い東京會舘では割引はできないと説明。二つ目は、東京會舘の見積もりは確かに額面では高いけれど、結婚式関連にかかる費用は結局それほど変わらないということ。親の衣裳代一つとっても、結婚式場に払うのか、持込みの会社に払うのかの違いでしかない。その点、東京會舘は日本で一番融通の利かない会場で、それは何故かというと、2 人のニーズを満たすものすべてを会場内で揃えているからと話すようにしています。それは、結婚式に関わる様々なリスクを、全て会場で取るというスタンスであることも含めて。新郎新婦やゲストの手間をかけず、安心感を買うのであれば東京會舘であり、一方1 円でもなるべく安くするためにペーパーアイテムを始め外から買うことに喜びを感じるのであれば、当社は選ばない方がいいというスタンスです。そこをはっきり伝えることを徹底しましたが、逆に11月の受注は月平均の100件前後を大幅に超える130件以上の獲得となりました。」
――持込みは業界側が【持込みフリー】を推奨してきた結果、顧客ニーズになってしまっている側面も大きいです。
星野「例えば総額を安く見せた方が得という考え方から、持込みを推奨し割引というテクニックを駆使する。少なくとも当社に来館する新郎新婦は、そうしたテクニカルな対応に不信感を抱いています。さらに言えば、会場側のこうしたテクニックを、自分たちの都合の良い形で巧みに使っていこうという感覚の新郎新婦も増えてしまっています。そこにも、【価値観の衝突】が存在している。信用できるところで結婚式をやりたいと思っている人もいるからこそ、東京會舘はその価値観を研ぎ澄ませていくという方向です。」
星野「もう一つ、今年は結婚式場にとって、本当に新郎新婦に選ばれる企業、会場になるかどうかの分岐点になるとも思っています。明らかに新郎新婦の期待値は高まっているはずなのに、その期待に応えられていないから結婚式をやらないわけです。例えば、先日都内の人気ゲストハウスの新規を受けた後に来館した新郎新婦がいました。プランナーから相談を受けた際、『細かい説明はいらない。見せれば分かる』と伝えました。会場を一回りして戻ってくると、新郎新婦の感想は『全然違いますね』でした。それはスペックの差で、いわば2 人の期待値を上回っているわけです。特に今まで多くの結婚式に出てきた人にとってはすぐに分かる違いで、そういう人ほど当然ゲスト数も多いわけです。自分たちの宴会場の設備、照明、音響なども十分にアップデートできていなければ、期待に応えられないシビアな時代です。」
――確かに、設備投資をしなければ、その差は鮮明に浮き出てきます。
星野「東京會舘はバンケットの照明について、ホテルと比較しても多額の費用をかけています。全円卓に様々な色を照射できる間接照明を、全てのバンケットに入れていて、それだけで数億円をかけています。赤や白など、雰囲気に合わせて色、照度を変えられます。ムービングスポットライトは、新郎新婦が入ってくると自動的に当たる仕組み。人を検知し、四隅のスポットライトが自動的に追従します。全部屋の壁面にも、間接照明を入れています。これも数千万円の投資になります。これだけの照明を揃えているため、結婚式では少し花を飾るだけでも十分に素敵な空間になる。他にも最高解像度のプロジェクタ、200インチ以上のスクリーン、DJにも対応できる音響など。設備投資によって、空間の雰囲気を最大限に高め、さらにできることの幅も全く違います。仮に専門メーカーの新郎新婦が来館した際には、スペック表だけを見せれば、十分に納得してくれます。これだけこだわっているからこそ、接客時に『何も言わなくていい』という指示に繋がっています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1日・11日号)
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