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キーマンに聞く

連載19《自社運営施設では成約率60% 中小会場の成約率UP》アクセスの悪い会場で価値を作っていく【KAKEHASHI 代表取締役 寺田英史氏】
中小会場には、アクセスに難のある所も存在します。当社の運営するサンタアムールもその一つ。静岡駅から車、タクシーで20~25分、マイクロバスなら30分かかります。さらに山の上にあり、道も細く、人通りも少ない場所にあります。それこそ夜にはタヌキが出るような場所です(笑)。
一方、競合会場については静岡駅から徒歩圏内や、幹線道路沿いに立地し、アクセスの良さを武器にしています。この不利な条件を正面から受け止め、戦略を立てています。
サンタアムールは、開業当初から「森のリゾート」というコンセプトを明確に掲げています。郊外にあることを逆手に取り、森の魅力に興味を抱かせるマーケティング設計を進めました。ゼクシィでは「森の中の小さなウェディング」というサブタイトルを添え、ビジュアル面でも森の写真を多用。Web広告やSNSでも同様の世界観を展開し、広告からホームページへの流入を図っています。ホームページ上では、リアルなパーティーレポートを掲載。来館前から自社の魅力を体感してもらう導線を重視しています。
実際に新郎新婦が来館すると、まずアクセスに対してネガティブな印象を持ちます。ナビ頼りでたどり着き、道中に不安を覚えるケースも多いです。とは言え、式場に到着した瞬間、非日常の世界が広がり、テンションは一気に上がるのも事実。
そこで新規接客においては、まずアクセスの悪さを正直に言葉に出し、その上で「ゲストに非日常空間を提供できる」という価値を伝えます。アクセスを取るか、ゲスト満足度を取るか、どちらが素敵な結婚式に直結するかを考えてもらう流れです。
ネガティブ要因をベネフィットに変えていく商品設計も重要。サンタアムールでは一日一組限定の貸切制を採用し、到着直後からガーデンでウェルカムパーティーを開催。通常の受付待ち、個室での待機、挙式という流れとは差別化を図っています。また、山中にある利点を生かし、大音量演奏や花火など、通常の式場では難しい演出も可能です。近隣に住宅のない環境が、さらなる魅力となっています。
挙式から披露宴までの間も、ガーデンで乾杯やフリータイムを設け、自由度の高い一日を提供。披露宴の標準時間は3 時間で、他会場よりも長めに設定しています。さらに、新郎新婦は結婚式当日に森の中でのフォト撮影もでき、朝9 時から夜8 時まで一日中楽しむことも可能です。結婚式そのものがリゾート体験となり、新郎新婦にとっても、ゲストにとっても忘れられない一日を演出しています。
アクセスの悪さは変えることはできません。だからこそ、それを補って余りある魅力をどう作り出すかが重要です。選ばれない理由を「立地のせい」にするのではなく、伝え切れていない価値を棚卸しながら、訴求力を磨いてくことは大切です。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1日号)

