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連載118回 今を知り、 明日を勝ち抜く 「ブライダル法務NOW」キャンセル料を巡る法的な規制に今一度注目を【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

連載118回 今を知り、 明日を勝ち抜く 「ブライダル法務NOW」キャンセル料を巡る法的な規制に今一度注目を【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

Q.「結婚式を344日前にキャンセルした新郎新婦に128万円のキャンセル料を請求した事業者の主張が東京地裁で退けられた」というニュースが報じられています。
A.報道の限りでしか情報を知り得ない立場ですし、事業者の言い分が分からない中で個別の事案について言及するのは控えたいと思いますが、こうしたニュースが報じられることをきっかけに「結婚式のキャンセル料」を巡るトラブルが全国で増加する危険性があるため、その点について改めて説明しようと思います。
Q.「結婚式のキャンセル料」について法律上はどのように定められていますか。
A.まず、新郎新婦との間で一旦契約が成立すると、私たち事業者は日時と場所を完全に押さえますし、打合せや各種手配などの労力が発生し始めます。そのため、もしその後に新郎新婦の都合でキャンセルされてしまうと、事業者には「機会の喪失」や「すでに費やした労力」等の損害が発生してしまいます。このような場合、法律では事業者は新郎新婦に対してこれら損害の賠償を求めることができます。
Q.なるほど。しかし、具体的な賠償額を算定するのは困難じゃないですか?
A.その通りです。個別具体的にこれらの損害額を算定するのは困難であるため、民法第420条第1 項では、契約時において、もし将来において違反(「その日に挙行する」と約束しておきながらキャンセルすることは契約違反にあたります)があって損害が生じた場合を想定して「損害賠償の額を予定することができる」と定めています。
Q.つまり、予め賠償額を決めておけるということですね?
A.その通りです。この条項に基づいて、結婚式に限らず宿泊や運送等のサービスにおいても「損害賠償額の予定」としてキャンセル料が設定されているのです。
Q. では契約時にキャンセル料について同意があれば有効なのではないですか?
A.原則はそうなのですが、契約当事者の一方が一般消費者の場合には消費者契約法によって「キャンセル料が高額になり過ぎないように」規制が加えられています。具体的には同法第9 条第1 項第1 号で、定められたキャンセル料の水準が「平均的な損害の額を超えた」場合には「超えた部分が無効」になると定め、一般消費者を保護しています(この点、もし超えたとしても無効となるのは「超えた部分」に限られることは注意が必要です)。
Q.そうだとすると、今回話題となった事例も含めてキャンセル料の水準が「平均的な損害の額」の範囲内であれば有効ということですね。
A.その通りです。どこまでが範囲に含まれるかについては一部消費者団体との間で長く争いがあり、業界団体であるBIAは「モデル約款」においてキャンセル料のあるべき水準を示していました。その後、訴訟に発展した事例で最高裁によってその水準の妥当性が事実上認められました。
Q.ではすべての事業者がBIA「モデル約款」の通りのキャンセル料を設定していれば安心ですか?
A.いいえ。BIA自身が強調している通り「モデル約款」はあくまでキャンセル料水準を設定する基本的な考え方を示すもので、数値も全国調査の結果を踏まえた暫定的なものであるため、最終的には各事業者で個々の事情に照らして独自に決定することが前提となっています。また、「モデル約款」はホテル・式場におけるキャンセル料のみを想定しているため、施設を持たないプロデュース事業者や衣裳事業者は事業者ごとの事情を踏まえて「説得力をもって説明できる」水準を定める必要があるのです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)