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連載117回 今を知り、 明日を勝ち抜く 「ブライダル法務NOW」『いよいよ来月施行の『カスハラ新法』にどう備えるか』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

連載117回 今を知り、 明日を勝ち抜く 「ブライダル法務NOW」『いよいよ来月施行の『カスハラ新法』にどう備えるか』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

今回のコラムではいよいよ10月1日に迫った「カスハラ新法」の施行に向けて、婚礼事業者が対応すべきことをQ&A形式で解説します。

Q.「カスハラ新法」が施行されます。婚礼事業者として何を備えておくべきでしょうか。

A.この新法への備えには2つの側面があると考えます。 ひとつ目は「この新法をどう活用してスタッフを守るか」という点。 そしてもうひとつは「この新法にどう対処して会社を守るか」という点です。

Q.順に教えてください。

A.まず「この新法をどう活用してスタッフを守るか」という点です。 以前もこのコラムで解説した通り、新法の施行によって婚礼事業者は「カスハラが発生した際にスタッフを守る義務」を負うことになります。もともと事業者はスタッフをセクハラやパワハラから守るべき安全配慮義務を負っていますが、新法の施行によってお客様からのクレームがカスハラに発展またはその疑いが生じた局面に至りながらも、もしその対応をスタッフに丸投げしていると、事業者が「カスハラからスタッフを守らなかった」として安全配慮義務違反を問われかねないということです。

Q.ではカスハラに直面した婚礼事業者はどのようにふるまえばよいのでしょうか。

A.カスハラの定義や対処法についてはすでに厚生労働省が詳細なマニュアルを制作、発表していますので、それらを確認して「どこからがカスハラなのか」という境界について社内の認識を統一させておくことが第一歩です。 その上で、実際にカスハラ事案が生じた際にはこの新法をうまく「活用」して、たとえばスタッフがカスハラ行為を受けた際にはカスハラ顧客に対して「10月に施行された関係法令に基づくとカスハラ行為と判断せざるを得ない」「もし再発防止を約束していただけるなら引き続き対応するが、約束していただけないなら法令遵守の観点から対応を打ち切る」と、新法の存在を「盾」にして是正を求めたり、対応を打ち切ったりすることが考えられます。

Q.なるほどそれが「新法を活用してスタッフを守る」という側面ですね。では続いて「この新法にどう対処して会社を守るか」についても教えてください。

A.表裏一体ではあるのですが、上記の通り新法によって新たな安全配慮義務が課せられたことによって、事業者がカスハラからスタッフを適切に守れないと、後日(退職するなどした)スタッフから「会社はカスハラから守ってくれなかった」「それによって損害を受けた」と責任を追及されるリスクが生じます。実際にセクハラやパワハラに関連しては退職後のスタッフから会社が訴えられる例は山のように存在していますが、そのリスクにカスハラ事例も追加されるということです。

Q. そのリスクを最小化するためにはどうすればよいでしょう。

A.「国が事業者にどんな措置を求めているか」を知ることが必要になります。 新法の施行を前に厚生労働大臣は事業者に対して「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」「カスハラ対応の実効性を確保するための措置」等の講じるべき措置を例示した指針を示しています(2026/2/26)。これを受けてたとえば「対策方針を定める」「社内研修を実施する」「社内相談窓口を設ける」等具体的な対策を講じていれば、事業者としては安全配慮義務を果たすべく動いた実績になりますので、後から義務違反を問われるリスクを軽減させることができるはずです。

また、10月1日から日本中全ての業種の事業者が一斉に新たな安全配慮義務が課されることになりますので、カスハラ新法を巡るニュースに対してアンテナを張っておくことも必要になろうかと思います。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月11日号)