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連載116:『巨大地震が発生した場合の結婚式の法律関係を整理しよう』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】
7月28日に発生した熊本県を震源とする巨大地震により被害にあわれたすべての皆様に心からお見舞いを申し上げます。今回のコラムでは「巨大地震が結婚式直前か最中に発生した場合の法律関係」についてQ&A形式で緊急解説します。
Q.結婚式の直前に巨大地震により施設が半壊してしまい「物理的に結婚式の開催が出来ない」状態になりました。この場合、すでに受領済みの金銭はどうなりますか?
A.原則として会場は受領済みの金銭を返金しなければなりません。
このようなケースは民法第536条の『危険負担』が適用され、新郎新婦はサービス対価を「支払わなくてもよい(=請求を拒否できる)」とされています。
一方で、会場は、自らの責任で開催できない訳ではないため、新郎新婦側が費やした交通費や宿泊代、購入済みの引出物代等を賠償する義務も負いません。
いうなれば「双方痛み分けで解決」というのが民法の考え方です。ただし、契約時に他の合意があればそちらが優先して適用されます。
Q.結婚式の最中に巨大地震により付近一帯で停電が発生し、披露宴が30分ほど中断して短縮されてしまいました。幸い予定されていたお料理や演出はすべて提供できましたが、新郎新婦から「短縮された分の会場費は返金して欲しい」とご要望を受けました。返金する義務はありますか?
A.事案ごとに慎重な検討が必要となりますが、原則としては「停電による中断」は会場の責任によるものではないため、それにより損害が生じたとしても返金する義務を負わないものと考えられます。
ただ、仮に会場の設備の老朽化が停電の一因で付近一帯の他の建物は停電していなかったような場合には、会場の過失が認められて異なる結論となるケースも考えられます。
Q.結婚式の直前に巨大地震が発生し、施設の周辺地域に大きな被害が出ています。ただ幸いにして施設に被害はなく開催に支障はないので会場としては予定通り開催するつもりですが、その方針自体は差支えありませんか?
A.差支えありません。巨大地震が発生しようと結婚式サービスの提供が可能なのであれば、原則としてそのまま開催という判断で差支えありませんし、逆に、新郎新婦の意向に反して会場側の独断で中止してしまうと契約違反の責任を問われかねません。
Q.その場合において「予定通り開催します」と新郎新婦にお伝えしたら「巨大地震の発生に伴う社会不安」を理由に前日になって「延期したい」とご要望をいただきました。この場合でも婚礼規約に沿って日程変更料を請求することは問題ないでしょうか?
A.法律上は問題ありません。原因はなんであれ、結婚式サービスの提供が可能な中で新郎新婦のご意向によって発生した「延期」であれば、原則として婚礼規約に沿って日程変更料を請求できます(なお「解約」の場合の解約料も同じ考えです)。
あとは事情を踏まえてお客様向けサービスとしてどう判断するか、という問題です。
Q.巨大地震の影響による新幹線や飛行機の運休によって参列できなくなった参列者が一部出てしまいました。新郎新婦から「人数分の料理代を減額してほしい」と依頼を受けました。法的には減額をする義務があるのでしょうか?
A.減額をしなければならない法的な義務はありません。私たち事業者は契約通りの日時に所定の人数の参列者に対してサービスを提供する義務を負っていますが、「参列者が実際に参列できるかどうか」まではコントロールできませんし、契約上の責任も負っていません。お気の毒な事例ではありますが、会場側がその分を負担しなければならない法的な義務は認められないと考えます。
(Q&A監修:BRIGHT増渕勇一郎弁護士)
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1日&11日合併号)

