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連載11 ローカル会場【勝利の方程式】AIに任せて成果の落ちる会場が増えている【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載11 ローカル会場【勝利の方程式】AIに任せて成果の落ちる会場が増えている【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

第10回に続き、産業フェア登壇後の相談と直近の事例で目立つ生成AIの課題、「AIの導入自体が目的化して成果を落としている会場」について触れていきたいと思います。

ひとつ目の失敗パターンは、生成AIによる画像制作です。ここ最近、地方会場を中心にこのサービスの導入がかなり増えており、各媒体を見ているとどれがAI写真なのかすぐにわかります。これまで撮影できなかった構図や雰囲気の写真が手軽に作れることは、撮影コストを割けない地方会場にとって魅力的なサービスです。しかし現場で見ていると、大きく2 つの問題が顕在化しています。第一の問題は既存写真との整合性。明るさやトンマナが揃わず、誌面、フォトギャラリーで並べると違和感も目立ってしまいます。第二の問題はクリエイティブチェックの欠如。モデルが入る、画角が変わるなど、これまでにない写真に浮かれてしまい、集客力のある写真なのかという判断の抜け落ちたまま無自覚に使用しているケースが目立ちます。手段としての新しさに、目的が飲み込まれてしまっています。

ふたつ目の失敗パターンは、AIによる接客支援です。接客時の会話を録音し、事務所に戻ったタイミングでAIから次回ヒアリングのポイントや提案を出させ、それをそのまま使用した結果、成約率が激減した会場は複数あります。ここでも問題はふたつあります。

第一の問題は一次情報が拾えないこと。会話の中身よりも、実は駐車場にごみが落ちていた、接客していたシェフが変わっていた、サービス対応が雑だった、試食の料理が勝手に変わっていたなど。新規接客はそもそも変数の多すぎる領域で、こうした言語以外の状況や文脈こそ成約を左右します。第二の問題は、AIの吐き出した回答をそのまま鵜呑みにしている点です。AIはなぜその回答をしたのかというプロセスはブラックボックスであり、検証できません。検証できないということはある意味で信仰に陥りやすいということであり、再現性を求めるビジネスとは相反します。結果として失敗のケースが目立っています。

成約率アップのためにAIを使うのであれば、まずは無難な打ち手から入るべきです。例えば非成約カップルに後日送る提案資料の作成や、未来店カップルの来館率アップのための提案づくりへの活用です。

両者に共通しているのはAIを使うことそのものが目的化して、集客を伸ばす・成約率を上げるという本来の成果につながっていない点。それどころか、マイナスに働いているケースさえあります。いま一度、目的の明確化と、その打ち手は本当に集客・成約に効いているかの検証は大切です。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1日&11日合併号)