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キーマンに聞く

連載10《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》土日休みの部署、子育て期間に配置転換(ゲスト:タガヤ 代表取締役 神田尚子氏)

連載10《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》土日休みの部署、子育て期間に配置転換(ゲスト:タガヤ 代表取締役 神田尚子氏)

新規事業の立ち上げによって、子育て中のママスタッフが土日休みで新たな働ける環境を作ったタガヤ(京都市中京区)の神田尚子社長。中小企業が恒常的に抱えている離職率を改善するために、様々な働き方を用意する必要があると語る。テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)岩瀬賢治社長の連載企画【ブライダル経営者サロン】の第10回は神田社長を招いて、新規事業のベースになる人材活用とその制度に対する考え方を両者の立場から語り合う(今号では前編を掲載、次号8/21号で後編)。

コンセプト変更で拡大

岩瀬「昨年はコロナ禍の中、レストラン、フラワーショップを開店するなど、新規事業も積極的に展開したそうですね。」

神田「もともとそこでは、ハネムーン専門旅行会社のショップを展開していたのですが、コロナでゼロになってクローズしようと大家さんに話したところ、1 階の店舗を空けたくないからそのまま続けて欲しいと頼まれ(笑)。もともと上の部屋でブライダルの装花を作っていたため、そのまま下に降りて花の店舗にしました。もっと家庭に花を飾って欲しいとの思いから、普通の家には花瓶のないことも考慮してコーヒーカップの中に花を挿して販売。カップ自体も、愛媛のミカンの皮の廃棄物を再利用したものです。」

岩瀬「クッキーのEC事業も、昨年から開始したのですか。」

神田「クッキーは2017年から製造していて、引菓子として販売していました。当社にはパティシエが30名ほどいるのですが、コロナで仕事が無くなってしまい。そこでクッキーをリブランドして、砂糖を使わないオーガニックのものを開発しました。ステイホームを余儀なくされていた子どもたちが食べたいと思うようなクッキーにしようと、子育てをしているパティシエが集合し作っていきました。それが【べジボックス】という、野菜でできたクッキーです。椎茸、ニンジン、セロリなどを使っていますが、子どもの好き嫌いもこのクッキーで解決しています。」

岩瀬「それをECで全国販売しているとのことですが、好調なようですね。」

神田「コロナ以前は月に40万円程度だったのですが、コンセプトを変えたら一気に販売量も増えて、今は月2000万円に達しています。年間で2 億円を超えるので、一部署ではなく独立できる可能性も出てきたなと。」

岩瀬「それはすごいですね。仕事のなかったパティシエの、新たな活躍の場にもなったわけですから。」

 

予定が立てやすい定休

神田「EC事業の目的の一つが、土・日曜日休みの働く環境づくりです。子どもが小学生のうちは、やはり親が土日に家に居た方がいいと。結婚式の事業では当然無理ですから、子育て時期だけでも配置転換のできる部署を作らなくてはという考えを持っていました。SDGsの一般社団法人を作ったのも、ブライダルで頑張ってきたスタッフにもう一つの働く場を用意しておくべきとの思いです。社団法人は半分在宅ですから。これまでは離職率とのせめぎあいで、いかに働き方を改善していくかが求められていました。結婚式事業の勤務時間も、だいぶ短縮しています。その代わりに、売上も下がっていますが(笑)、ただ離職率が改善して、経営者として気持ちの面では落ち着いていますね。」

岩瀬「当社も営業時間は、以前に比べて短くなっています。今は、プランナーは基本的にはフレックスで、出勤時間も自分の担当の打合せに合わせるというスタイル。以前は11時からの営業であれば、全員が10時に出勤するというような暗黙の了解みたいなところもあったのですが、この10年で変えてきました。休館日もそれまでの週1 日から、いち早く月・火曜日の2 日制にしています。」

神田「週1 日の時には、他の日に代替していたのですか。」

岩瀬「理屈はそうですが、一顧客一担当者制を採用している当社の場合、顧客サイドから見たときに、店舗は営業しているのに担当者が休んでいるのはやはり違和感を与えてしまいます。それならば休館日をきちんと2 日にして、週休2 日をしっかりととれるようにしました。その代わり営業をしている時には全員が出勤していたほうが、社員たちも予定が立てやすいですし、顧客から見た時にも分かりやすいだろうという考えです。」

神田「上場企業の場合は採用もスムーズかと思いますが、当社のような中小企業では今後はさらに採用も厳しくなってくるため、土日休みの選択肢が必要になってきます。」

 

一人ずつと成果を握る

岩瀬「当社では、本社の一部スタッフ以外は土日も全員出勤です。そういう意味では、産休後に戻って来るスタッフも土日に働けることがほぼマスト。ただ、どうしても土日両日にフルで出られないというスタッフに対しては、時短で働く仕組みやフリーウエディングプランナー制度も設けています。その場合は毎年会社と社員でどういう成果を出すかということを話し合い、1 年間その社員が働ける環境に合わせた就労体系を作って働いてもらっています。成果が出れば、翌年も更新ということで評価をしています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)