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キーマンに聞く

自分の強みは何かを改めて分析【有賀明美氏・荒井さやか氏・ 仁藤なお子氏】
働いていくうえで、つい周りと比較し、自身のスキルを卑下してしまうこともあるはずだ。入社時点では同じポジションに立っていたにもかかわらず、「3年間でスキルに差がついてしまった」ということも少なくない。今号は、テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)のウェディングアドバイザー・有賀明美氏と、COCOSTYLE(札幌市中央区)代表取締役・荒井さやか氏、コンサル事業も展開するフリーウエディングプランナーの仁藤なお子氏の、業界一筋キャリア約20年の3人に、未来の自分を輝かせるための今取るべき行動、考えなどを聞いた。
業務量も増える3年目
――仕事をしていくうえで自身のスキルを伸ばしていけるかは、やりがいとモチベーションアップはもちろん、結果として中長期的なキャリア形成にも繋がってきます。『石の上にも三年』という言葉もあり、3 年間の勤務期間は、キャリアにおける1 つの目安とも言えます。
有賀「T&Gでも、入社から3年目に研修を必ず実施しています。新卒に関しては、3 年間で一通りプランニング業務を安定してできるようになる頃で、現場では後輩たちの指導・サポートもスタートするタイミング。新規・プランニング以外に業務の幅も広くなりますから、スピード感を持って仕事に臨めるようになる一方、どうしても時間的、精神的に余裕はなくなってしまう時期かと。とはいえ『できない』と弱音は声に出しづらく、つい“カッコよく”在りたいと思ってしまうのもこの頃と言えるでしょう。新卒だけでなく経験者の中途入社も含め、3 年間というキャリアはぐんぐん成長し結果を出すメンバーが目立ってくる一方で、なかなか成果に繋げられないスタッフも一部います。後者の場合は会社における自身の存在価値を見出せず、結果として退職を考えやすくなる時期とも言えます。」――結果を出し、フロントでイキイキと活躍する同期がいる場合などは特に、つい自分のスキルと比較してしまいがちです。
有賀「私も新卒でT&Gに入社し、ちょうどその頃は仕事に悩むことも多くありました。様々な経験をして今皆さんに伝えたいのは、人と比較するのではなく、自分と勝負していく大切さ。他の人にはない強みや武器を誰だって持っているにも関わらず、人のスキルを羨んでいては、もったいない。私自身『あの人はいいなぁ』と卑下することも多かったのですが、『そんな風に考えていては、自分が可哀想』と思えるようになりました。そこで、『誰にも負けない有賀明美としての武器を1 つ作ろう』と取り組んだのが、カップルのことをとことん深掘りするという行動でした。Aさんが担当する新郎新婦のことを30分考えるのなら、私は1 時間考えてみようと。自ら課したこの目標をひたすら頑張っていたところ、周りのメンバーからも『深掘る力が凄いね』と言ってもらえるまでになりました。私の武器は言ってしまえば後付けで、持って生まれた才能ではありません。それを今、自身のスキルに悩み、できないことについ目が行きがちな皆さんに伝えていきたい。先天的な才能でなく、自分だからこその武器を戦略的に1 つ身に付ける。新卒、中途に関わらず、こうすることで3 年後の自分を変えられると思っています。」
荒井「誰かと比較し、そのスキルを羨ましく思ってしまう気持ちは分かります。現在当社はウエディングプロデュース以外にスキルアップなどに繋がる研修・コンサル事業も展開。その際に伝えているのが、ペンギンと鷹の例えです。同じ鳥類でもそもそもペンギンは空を飛べませんから、鷹ばかりを見上げていても何も始まらないわけです。だからこそ、自分が将来どうなりたいか、どう在りたいかを起点に考えなければ、自己理解は深まらず、アクションを起こせないのではとも感じます。」
歩む道を見つけて開花
――有賀さんの後輩にも、他人と比較し、悩んでしまったメンバーが実際にいたそうですね。
有賀「フラワーコーディネーターとして活躍していたのですが、ハイブランドの装花も担当する先輩の存在が、彼女にとっては大きすぎたようです。『私は先輩みたいになれないので、もう辞めたい』と涙を流していました。その先輩は素晴らしいスキルの持ち主だったことは事実ですが、『このチームに同じスキルを持った人物は2 人要らない。あなたにしかできないことを見つけて』と、背中を押しました。『私の強みは何もない』と当初は言っていたものの、『花では先輩に勝てないので、アートを色々勉強してみます』と彼女ならではの道を見つけ、しっかり自分の足で歩けるようになっていきました。結果としてその独特な世界観が高く評価され、思い切ってVIPのウエディングを任せてみたところ、一気に“開花”。先輩の後ろを同じように歩いているだけでは、そうしたキャリアには繋がらなかったのではと感じます。『何を武器にするか』を彼女自身しっかり考えたことが、大きかったですね。」有賀「もう1 つ別の例としては、当社の中に成約率に加えて顧客満足度も極めて高いスタッフがいました。数字を出すために何をしているのかをヒアリングしたところ、彼女自身周りと比較して卑下してしまう時期もあり、負けたくないと取り組み始めたのが、カップルがワクワクできるような言葉を自らストックすることでした。広告、雑誌などで見て自分が『いいな』と思った言葉を書き留めて、接客に活かすようにしたそうです。結果として、カップルからの高い支持を得るなど、目を見張る成長になりました。」
仁藤「私も以前荒井さんと色々話をした際に、自分の強みは何なのかを改めて振り返ったことがありました。カリスマ性を持ち合わせスターのように輝く人も一定いるものの、私はどちらかと言えばサポーター要素の方が強いだろうと。長いキャリアの中で悩んだ経験も多くありますから、『同じ道を辿っているであろう若手プランナーなどの支援をしたい』と独立を決め、コンサル的なサポートをする事業をスタートしました。」
有賀「仁藤さんのように、先輩、上司、同期からの提案をきちんと受け止め、実際にアクションに起こせるかは分岐点の1つかもしれませんね。先述の『自分の武器を作ってみて』という流れにおいても、真剣に何かを生み出そうとするのか、それとも『ちょっと考えます』で済ませてしまうのか。新卒入社からの3 年間はもちろん、現在中間層にいるプランナーの今後3 年間の成長においても同様で、実際に行動を取れるかどうかは、自身の今後を大きく左右してくると言えるでしょう。」
荒井「周りと自分のスキルを比較してしまうことは、私も過去にありました。カリスマ的に群を抜いている人と比較し、『私はきっと、何かのスペシャリストにはなれないんだろうな』と漠然と考えていました。そこで辿り着いたのは、『自分は無理でも、スペシャリスト集団を作る側に私はなれるんじゃないか』という考え。自分の強みが何かをきちんと分析し、起業した結果、現在は約25人のチームメンバーが活躍する会社にまで成長しました。実際にアクションを起こさない限り、自分の得意分野・不得意分野は、絶対に分からない。『石の上にも三年』という言葉は、新卒と経験者どちらともに、『新しいことに挑戦して色々学びを得るのに、3 年くらいはかかる』という意味なのかもしれませんね。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)

