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キーマンに聞く

結婚式の意味を考える体験提供【CRAZY 代表取締役社長 森山和彦氏】
広告費をおさえ、自社メディアでの集客強化を図る企業が増えている状況であるが、創業当初から一貫してその手法にこだわってきたのがCRAZY(東京都渋谷区)だ。自社会場であるIWAI OMOTESANDOでもその手法は引き継がれ、年間約150組を獲得している。同社の森山和彦社長は、WEBやSNSを使った単純な広告は、認知として効果的でなくなってきていると語る。それをカバーするために強化しているのが、よりインパクトの強い認知を狙った【体験】の提供だ。コロナ禍で次々にリリースしたサービスも、その流れの中に位置づけられている。集客手段が大きく変化する今、その手法には注目が集まっている。
コンバージョンは半減
――IWAIもCRAZYも、ウェブやSNSの発信で認知を高めて、新規集客をしてきました。オウンドメディアでの集客を目指す企業も増えている中で、その手法は注目されています。
森山「最近の傾向で面白いのは、第3 波が高まってきた11月以降、ページのPVはそれほど変わらないのに、コンバージョンが半分に下がっています。例えばLPで100人が見て5 人がコンバージョンしていたものが、現在では2.5人にまで減っています。最終ページに来てくれているのにコンバージョンをしていないのは、ユーザーが情報を探して見る時間はあっても、まだまだ来館するまでに至っていないということ。つまり、こうした層がどんどん溜まっているということで、それならばまず現段階ではいかに認知してもらうかを重視しながら、インパクトを持たせられるかが重要になります。」
――具体的な対応は。
森山「例えば12月14日に、おうちで結婚式について考えるサービス【結婚式妄想記念日】をリリースしました。これは認知を広げるための施策です。ふたりにとって結婚式とはなんですかという問いのカードを配送し、一緒に届けたビールを飲みながら議論してもらうという内容です。簡単に言えば、カップルに結婚式についての会議をしてもらう機会の提供であり、始めは500組に無料でキャンペーンをしました。ある調査では、結婚式のタイミングでありながら、そのうち40%のカップルが感染不安から様子見をしているということですが、見学に来てくれない人に対して認知を広げるために、まずは攻めの弾丸をこちら側から送っていくという発想です。この段階で単純に広告を打っても、他の会場も仕掛ける多くの認知に埋没して、すぐに忘れられてしまうでしょう。何しろ、見る時間はあるわけですから。だからこそ、さらに一歩進んだ忘れない体験を提供することで、認知にインパクトを持たせています。」
―500組の募集は、どのような方法で進めていますか。
森山「単純にSNSで募集します。うまくいけば、もっと多くの人に利用してもらえるように仕掛けていきます。」
ブランド価値の向上も
――結婚式の前段階の体験を提供することで、より強烈な認知をさせ、アドバンテージを取っておこうという考えですか。
森山「そうです。これをきっかけに問合せになることもあるでしょうし、また問合せに至らなくても体験してもらうことで、下手な広告を打つよりはインパクトも違います。巣ごもりの今は、広告を出してもただ流れていってしまいますから。とにかくユーザーの頭に、どれだけ【IWAI、CRAZY】を入れられるかが大事かと。」
森山「もう一つ今回の企画の狙いは、見学には行けなくてもユーザーが結婚式について色々と考える機会にして欲しいということ。私たちとしても行きたくても行けない気持ちを理解していますので、それに合った商品を提供することにより、ユーザーに対しては自分たちを理解してくれる『良いブランドだな』というイメージも広がります。それが印象を残すということです。ここで認知が上がれば、1 月以降に刈り取りの広告を出したときに必ずコンバージョンも上昇すると思います。」
――『IWAIのおうちごはん便』についても、単に収益を上げるだけではなく、同じような意味もあるのでしょうか。1000食を販売したということですが、結婚式の収益から見ればやはり小さいですし。
森山「1000食出たことで利益の貢献はもちろんありますが、どちらかと言えばブランディングの施策で取り組んでいます。今はインフルエンサーとして一般人がSNSにどんどん投稿してくれるため、商品を受け取った人たちが『IWAIっていいね』と広めてくれます。記念日の食事ということで、心に残る体験にもなります。基本的に、認知段階に関しては普通の広告ではなく、体験をばらまくというのが我々の戦略です。その上で、刈り取り段階では、考え方に共感して契約してもらうとういう二つの軸です。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1、11日号)

