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無料延期の方針は2月15日時点ですでに決定【テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬賢治氏】

無料延期の方針は2月15日時点ですでに決定【テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬賢治氏】

 コロナ禍、緊急事態宣言への対応に関して、高い評価を集めているのがテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区、以下T&G)だ。感染拡大で刻々と状況が変化する中、延期無料方針の一貫性、スピーディな対応、顧客と寄り添う姿勢は、ネットやSNSでも賞賛の声が上がっている。さらに、感染予防のための自主ガイドラインをすでに完成させ、施行再開に向けた万全の体制を整えている。安心感のために100%の準備を進めてきた、岩瀬賢治社長の考えとは。

―― 5 月14日に39県の緊急事態宣言が解除され、少しずつ明るい状況になってきました。

岩瀬「これは全ての業界にとって喜ばしいことかと。感染予防のための制約は今後も必要となりますが、少しずつでも緩和してきている印象です。当社は5 月末まで全国の店舗で結婚式の施行を中止していますが、6月からは宣言が解除された地域で再開します。8月末までの成約済みの新郎新婦に対しては、順次日程変更のリコメンドをしてきました。新郎新婦によって事情は様々であり、現在懐妊している新婦や、生活設計上どうしてもこの時期に結婚式をしたいという希望から、日程延期をせずに再開を待っている人たちもいます。会社としてきちんと仕組みを整え、安心して結婚式を実施できるような準備は、すでに4 月1 日から進めてきました。」

――緊急事態宣言前から、すでに準備をしてきたというのは非常に早い対応です。

岩瀬「店舗を再開した後も、安心して結婚式のできる環境を用意することが会社としての責任でもありますから、出来うる限り100%の準備を早い段階で進めたわけです。ライブハウスでクラスターが発生したように、そもそも人が集まることはネガティブというイメージがあります。それでは、ライブハウスや商業施設、飲食店などと結婚式はどこが違うのか。決定的に異なるのは、不特定多数ではない点。スタッフはもちろん、新郎新婦、そしてゲストも名前、住所、年齢が分かっています。決まった日時に誰が集まるのか明確であるのが、結婚式の最大の特徴で、それをまず根底に置きました。その上で、施設の特徴を考えると、当社の場合貸切りスタイルが中心で、ガーデンに接している会場も多い。天井高も高く、対応次第では3 密を防ぐことができます。それを前提に、テーブルを何人掛けにするか、何テーブルを配置すべきか、料理の提供方法、サービススタッフのマスクや手袋の着用など、当社独自のガイドラインを決めていきました。結婚式の一日を時間軸にして、顧客、サービススタッフ、花のスタッフなど当日集うそれぞれのカテゴリー毎に、いかに密を避けて結婚式に関わっていくかを、タイムスケジュールの中に入れ込んでいく。こうして、当社独自の感染予防のガイドラインを、策定していったわけです。」

岩瀬「先日BIAが業界のガイドラインを発表しましたが、それと見比べても当社の基準が超えていたことで、今後は各店舗における運用を進めていきます。まずは現場にしっかりと落とし込んで、不安を感じている新郎新婦に安心感を与えられる説明ができるように。さらに各店舗の事情を考慮しながら、実際のオペレーションに組み込んでいきます。安心して結婚式を実施してもらうために、列席者数の相談にも応じていきます。仮に人数が多い場合には、店舗を一日貸切り対応にして、親族だけ、友人だけなど2 部制を提案することもあるでしょう。8月末までは延期によって枠にも余裕がありますし、なるべく2人に負担をかけないことを考えながら、安心できる結婚式を施行していきます。」

――これは8月末までの施行への対応ですか。それとも今後も継続していくのですか。

岩瀬「今回の事態に関して、今後どうなるのかと聞かれても正直なところ分からないと言うしかありません。まずは延期という選択肢をリコメンドしたものの、施行をするという決定をした8月末までの結婚式を対象としていきます。その後感染拡大の第2 波が来れば、より強い措置のガイドラインが必要になるかもしれませんし、逆に緩めるべきとの判断があるかもしれません。8月末以降については、社会の変化をスピーディに判断しながら改善をし、その時に合った対応を決めていきます。当社は緊急事態宣言によって、全国すべての店舗で結婚式の施行の中止を決定しました。今でもその判断は正しかったと思っていますが、反省しているのは地域によって事情が異なるという点。本社のある東京は感染者数も多かったため神経質になるのも当然で、それに基づいた方針を決定しましたが、感染がそれほど拡大していない地域では、強すぎるという印象を与えてしまった面も否めません。それを踏まえて、ガイドラインに書かれたルールの運用についても、地域や新郎新婦個々の事情によって異なるであろうことを前提にしていきます。会社としては、安心安全を担保するためにガイドラインを策定しましたが、それをどのように新郎新婦に伝えていくのかも、各店舗の支配人によって多少温度感は変わると考えています。」

――ガイドラインはまさに安心して施行をするための基準となります。今後、新郎新婦の開催可否の判断の際に、安心できるかどうかが最大のポイントになってくるはずです。

岩瀬「顧客に協力してもらう必要も出てくるでしょう。当社のスタッフが実施しているように、2 週間分の体調管理シートをゲストにも作ってもらうなど。結婚式で集う人たちの中に、体調不良の人がいないということが安心となるわけですから。主催する新郎新婦からみれば、そんなことをしては招待者に失礼ではないかと思うかもしれませんが、結婚式をポジティブにとらえ安心してもらうために、ゲストにも協力してもらいましょうと。例えば会場で検温することは一見ネガティブに思われてしまいますが、大切なのは、2人の結婚のお祝いのために多くの人達が安心して集まれることですから。その基本に則った対応が必要となります。」

――緊急事態宣言下の一連の対応に関して、T&Gは非常に高い評価を受けています。その一つが、方針が一貫していたことがあげられます。

岩瀬「今回のコロナの対応について、状況の変化も激しく、会社としてその都度方針が変わっていくのは致し方ないことかと。そうした中で、私が一番気にかけていたのは、世の中がどう動いていくのかのイメージをしっかりと持つこと。2 月の初めからコロナの話題が増えていったことを受け、2 月15日には日程変更に関しては手数料を取らない方針を決定し全体に伝えました。新郎新婦がコロナに対する不安から相談に訪れるだろう可能性を考えると、その相談に現場で応えられないというのは信頼も失ってしまいますから。早い段階で方針を決定したことにより、結果として多くの新郎新婦に一貫した説明ができたわけです。また4 月7 日の緊急事態宣言を受け、全国一斉の施行中止を発表しましたが、実はその方針を決定した当日の朝から、新郎新婦に直接連絡をして会社の対応を説明していきました。重視していたのは、刻々と変化する事態に対しとにかく後手に回らないようにと。4 月1 日から宣言解除後の再開に向けた準備を進めていったのも、こうした考えに基づいています。もちろん素早い対応ができたのは、現場の力があってこそ。当社の店舗は全国にありますが、そこにいる現場スタッフが会社方針に対して即座に動いてくれたことで、世の中の動きに遅れることがなかったわけです。もちろん顧客の個々の事情によっては、イレギュラーな対応が必要なケースもありましたが、そうした場合でもエリアマネージャー判断で対応をしてくれたのも心強かったですね。」

――手数料なしでの延期については、経営的には大きなダメージを受けます。

岩瀬「その点についても、3 月初めの段階で、最悪のことを想定していました。9 月末まで一切の売上がないケースを想定して資金調達に動き、コストの見直しも進めていきました。私が常に重視しているのは、現場と経営をハッキリと分けて考えていくこと。ここが分かれていないと、今回の事態についても、経営面の判断から一組でも多くの結婚式を無理にでも開催させ、売上を確保しようとなりがちです。これでは現場はもちろん、多くのスタッフからの共感を得られませんし、共感されなければ現場で一組一組の顧客の矢面にも立ってはくれない。経営面で厳しい状況であることを判断したのであれば、しっかりと資金調達やコストコントロールを進める。一方現場については、スタッフが持つ会社へのロイヤリティを基準に、共感を得られる方針を決定していくことが大切ではないかと。」

――顧客に寄り添うという点では、結婚式を実施した人、成約者向けのWEB、メルマガ配信の[the Doors]に注目しています。ステイホームを余儀なくされている新郎新婦に、シェフによる料理レシピやお家コーディネートなど結婚式場ならではのコンテンツを提供するほか、様々な情報を発信しています。まさに寄り添うというイメージを与えています。

岩瀬「ウエディングプランナーと顧客だけでなく、会社と顧客のコミュニケーションを高めているのがこのコンテンツです。例えば緊急事態宣言下の会社の措置についても、担当プランナーの説明だけでは、経験や年齢によって軽いことが重く、重いことが軽く伝わる可能性もあります。だからこそ、しっかりと会社として説明していく必要があり、そのためのツールがこの[the Doors]です。すべての成約カップルにはプランナーから一度は連絡を入れていますが、今後の個々の対応についてはどうしても施行の近い人たちが優先されます。ただ、1 年後の成約者についても、コロナに対する不安があり、なかなか連絡が来ないとヤキモキしているわけです。直接の連絡を待ってもらわないとならない状況の中、メルマガを使って、全ての成約者に現状説明と共に順次案内をしていきますという内容も送っています。このメール一つで、自分は忘れられていないという安心感になります。」

――現在店舗スタッフはもちろん、本社スタッフも在宅勤務中心に移行しています。

岩瀬「本社は200名のスタッフが在籍していますが、常時20名程度しか出勤していません。そのうちの80 %が労務、財務部門です。本社に関しては、在宅勤務は今後も継続し、オフィスの縮小なども検討しています。施行の中止に伴い、当たり前のように毎週結婚式を実施していたという日常がなくなり、全国のスタッフが元気でいるのか、どこかに行ってしまうのではという不安を感じることもあります。実は4 月から、全スタッフ向けにLINEWORKSを使って様々な情報を提供する社内広報も始めました。個人の携帯があればいつでも見ることができるもので、そこに私のメッセージなども配信しています。多くのスタッフの既読のメッセージを見ると、安心しますね(笑)。」

――今後の流れをどのように予測していますか。

岩瀬「結婚式に関しては、これまでとそれほど変わらないのではと。少人数化はここ数年常に言われてきたことですし、オンライン化などの新しい流れについても、普通に結婚式が開催されれば、普通のものを選ぶでしょう。当社の店舗はワンバンケ、ツーバンケの展開であり、各地域の5 ~10%のニーズを獲得できればという考えであり、今のスタイルをしっかりと高めていくことに重きを置いています。リゾートウエディングは、身内だけという選択肢もあり、3 密も解消しやすい結婚式であるため、国内については再開のタイミングも早いかと。感染予防対策は、リゾートのグッドラック・コーポレーションもT&Gと同じ基準で進めていきます。一方海外は、アメリカの動向次第かと。とは言え、夏に向けて大手旅行会社、航空会社が大規模なキャンペーンを計画していますし、その結果によっては明るい展望も見えてきます。ホテル開発は、これまでと同様に動いています。不動産価格、建設費の動向を注視しながらも、間口は広くとっています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)