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新郎新婦の背中を押すプランナーの言葉【テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー 有賀明美さん】

新郎新婦の背中を押すプランナーの言葉【テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー 有賀明美さん】

 新型コロナウイルスの影響により、結婚式を延期するカップルが後を絶たない。当初予定していた日取りに思い入れが強く落ち込むカップルも多いが、そんな2人を前にプランナーは何ができるのか。テイクアンドギヴ・ニーズ(本社:東京都品川区)のウェディングアドバイザー・有賀明美さんは、「プランナーの言葉には、悲しむ新郎新婦の背中を押す力がある」と力説する。結婚式の“プロ”として、今私たちができることは何かを考える。

―― 3 月以降結婚式の延期が徐々に増え、4 月上旬には緊急事態宣言も発令。多くのカップルがパーティの自粛を決断し、感染予防の観点から、会場を一旦クローズする流れも見られました。プランナーは日程変更の対応をはじめ、新郎新婦の心のケアも求められています。

有賀「当初予定していた日取りで式を開催できないのは、もちろん残念なこと。少しずつ収束の兆しが見えつつも、新郎新婦にとってはなかなか未来が描けない状況です。悲しむカップルの想いにプランナーが同調するのは大事ですが、『延期になったからこそできることが絶対にある』と、前を向いてもらえる言葉をかけることが大切でしょう。」

有賀「例えばナイトウエディングを予定していた新郎新婦。会場の空き状況の関係で、日程変更後は昼のパーティになったとしましょう。重要なのは、なぜ2 人はナイトウエディングを希望していたのかということ。会場を埋め尽くすキャンドル装飾に憧れていたのか、実際のプロポーズが夜だったからなのか、もしくはお酒が好きでナイトパーティの雰囲気を出したかったからなのか。理由を1 つずつ紐解いていくことで、日中のパーティでも2 人の願いを叶えられる可能性が出てくるわけです。例えばキャンドルナイトウエディングにしたかった2 人であれば、セレモニー中はチャペル内部の照明を落として、ロウソクの灯りで幻想的な空間を創りあげる。もともとの憧れを叶えると同時に、披露宴では日中の自然光が明るく差し込む中で、記念写真も残せるようになります。私たちが何を提案するかによって、『日程変更は残念だけれど、やり方によってはできることが増えて私たちは“ラッキー”かも!』と思ってくれるようになるわけです。」

――一方で、付き合った記念日やプロポーズされた日など、当初の予定日が2 人のアニバーサリーだった新郎新婦もいるはずです。その場合の声掛けは。

有賀「お二人にとっては大事な1 日、と理解を示しながらも、『でも…!』とその後に続く提案が求められます。例えば、別日になったことで年に2 回記念日が生まれる。アニバーサリーが増えるのは、やっぱり嬉しいですから。合わせて当初予定していた日に寄り添うことも必要不可欠です。例えば『お二人は付き合った記念日に結婚式を予定していましたよね。延期にはなってしまいましたが、その日は大切な思い出にして頂きたいと思います。普段言えない想いを込めた手紙の交換を、折角なのでしてみたらいかがですか?』など。結婚式当日の演出だけを提案するのではなく、日取りを大切にしてきた2 人に少しでも寄り添うことで、『私たちの記念日を大切に考えてくれた』と思ってもらえるでしょう。」

――一方で、これほどのパンデミックはブライダル業界にとっても初の経験です。カップルを支えるプランナーも、不安が大きいはずです。

有賀「今までにない対応を結婚式場も迫られていることは、新郎新婦もきっと理解してくれている。だからこそ、『私たちもお二人と一緒になって準備します!』と、共に進んでいく姿勢を見せておくのが大事でしょう。ウエディングを創るプロとして『お任せください』と言えればベストですが、この状況ではなかなかその言葉は出てこないはずです。だからこそ、一緒にこの難題を超えていく。プランナーはもちろんですが、マネージャーやサービススタッフ、フラワーコーディネーター、パートナー企業からも今以上カップルに積極的に声を掛け、チームとして前に進んでいく姿勢が求められています。団結力もアップし、当初予定していた結婚式より素晴らしい思い出を提供できるはずです。」

――カップルの中には追加費用がかかることや、今後自身の給料が減ってしまうのでは、など金銭的な不安を抱いているケースもあるようです。

有賀「結婚式は高額商品の一方で、お金のかからない心温まる演出も提案できます。例えば、チャペルでのベールダウンをゲスト全員の前ではなく、あえて控室で家族の前だけで実施するなど。これまで言えなかった想いをお母さんに伝えるきっかけになるかもしれませんし、ちょっとしたアイデアがかけがえのない瞬間を生み出す可能性だってあります。こうした演出変更は追加料金もかかりませんし、2 人のこれまでの歩みやニーズに沿って何ができるかを考えるのは、プランナーにとってはワクワクするはず。当初の打合せどおりにそのまま進行するのではなく、新郎新婦にとことん向き合える時間が増えたからこそ『私ちょっと考えてみたんですけど…』と、できる提案が絶対にあります。それこそが、私たちプランナーの存在意義。式当日までの時間が長くなったのは新郎新婦も同様ですから、改めて結婚式を開催する意味や価値などを2 人に考えてもらうのもいいかもしれませんね。」

――プランナーの言葉1 つで、新郎新婦の式へのモチベーションも変わってきます。

有賀「新郎新婦の想いや悩み、やりたいことをヒアリングし、これまで一緒に準備を進めてきたプランナーの言葉には、大きな力があるはずです。延期に悲しむカップルを前に、きっとたくさんのプランナーが涙を流したでしょう。そんな熱い想いを持った人たちが創る結婚式だからこそ、かけがえのない時間を提供できるのです。業界全体で苦しい時ではありますが、私たちの言葉で新郎新婦の背中を押して、笑顔になってもらう。それこそが、プランナー、ブライダル業界が存在する意味だと強く感じています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)