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企業が協力し意義を発信する必要【ポジティブドリームパーソンズ 代表取締役社長 杉元崇将氏】

企業が協力し意義を発信する必要【ポジティブドリームパーソンズ 代表取締役社長 杉元崇将氏】

ブライダル大手企業のポジティブドリームパーソンズ(東京都渋谷区・以下PDP)は、レストランやギフト事業などの展開によって、これまでも事業リスクを分散化した展開をすすめてきた。ところが、【集まる】ことにネガティブなムードとなり、婚礼、レストラン共に大きなダメージを受けている。ブライダルのビジネスモデルそのものに対する危機感も踏まえて、今後の対応を杉元崇将社長に聞いた。

――コロナによる春シーズンの影響は厳しいものがあります。

杉元「これは他の大手も同様でしょうが、4 月から6 月に関してはほぼすべての施行が延期となり、その数も1000組レベルに達しています。影響は2 月末から出ています。当社の場合レストランで歓送迎会系パーティなどの需要も多く、3 月4 月の春シーズンに関しては売上全体の40%にまで達するのですが、これが全てキャンセルでゼロになってしまいました。結婚式についても3 月から延期が増えていき、4 月~ 6 月までは、一部どうしてもこの時期に実施しなければならないカップルを除いて、ほぼ全てが中止、延期となっています。当社は大都市圏に集中的に出店しているため、その影響は全国各地に展開している企業よりも大きいはずです。こうした状況を受け、全国の式場をはじめ、レストランも朝食などが必要な一部の店を除いては5 月末までの休業を決定し、スタッフは自宅待機としています。」

――延期した結婚式は、当初は夏・秋シーズンへの移動が多かったようですが。

杉元「4 ~ 6 月の第1 クオーターがほぼゼロになった一方、7 ~ 9 月の第2 クオーターはもともと東京五輪で施行も少なかったわけですが延期分の結婚式が積みあがっていきました。ところが、緊急事態宣言の影響によって、夏の施行についても親を呼ぶことができないという声が出ており、秋や来年に再延期するといった動きも増えています。最盛期となる秋シーズンについても、キャンセル料率が大きく変化する180日前を迎えたことで、コロナがいつ収まるのか不安という理由により、延期の可能性が高まっています。そう考えると、第2 クオーターも厳しく、さらにハイシーズンとなる第3 クオーターの読みも相当難しい状況であり、これは経営者として非常に苦しいですね。東日本大震災の時も大変でしたが、東北や関東エリアで厳しかった一方、関西・九州ではレストランなどは通常通り営業ができ、結婚式もできていたわけです。そう考えると、全国的に自粛ムードが高まってしまった今回の方が、より深刻であります。」

――こうした状況に対し、企業としての生き残り、体力勝負の様相も強まっています。

杉元「会社としてすぐに対応できるのは、販管費の部分をいかにコントロールしていくか。社内に対しては冬眠と表現していますが、今はとにかく余計な出血をせずに資金流出を抑えること。出社することに対して親の心配もあるでしょうし、スタッフには今は休んでおくように指示をしています。一方、新規接客や打合せをオンラインで対応する、リモートでの働き方を推進するためのIT化の準備も進めています。個人的には年内までは影響も長引くのではという腹積もりをし、資金調達も実施しています。リーマンショック時と異なるのは、金融機関の体力が落ちていなく、国も企業を支えるようにと指示を出している点。そのため、年内までの資金は何とか確保できるわけですが、もっとも危惧しているのは、仮に来年以降にも影響が長引いた場合。金融機関の体力もなくなり、追加の調達には中期の再生計画が求められるでしょう。先の見通しがない中で再生計画の策定は困難であり、そうなった場合には大手であっても資金ショートを引き起こす可能性も高まるのではと。出血を止めるという点では、例えばレストランに関して口コミなどの評価が高くても来客は見込めない状況。こうしたことを判断しながら、広告宣伝費を25%程度にまで抑えていく。また、地代家賃の交渉なども進めています。」

――PDPはこれまで、ウエディングビジネスだけでなく、レストラン事業なども推進することで、リスク分散を図ってきました。ところが今回の事態は、どちらのビジネスにも大きなダメージを与えたわけです。

杉元「コロナ禍は想像もしなかった事態で、考えさせられることも多いですね。結婚式であっても、レストランであっても、【集まる】ことに対して国が自粛を提言する状況になりネガティブなイメージがついてしまいました。【集まる】に意味がないという認識が刷り込まれていくことが非常に厳しいかと。レストランの収益を支える各種パーティについても、これからはZoomでやればいいとなれば、場所を用意しているビジネスはキツくなります。また結婚式に関しても、人が集まるからこそご祝儀制、前金・現金払いといったビジネスモデルが成り立つわけです。それができないとなれば、ビジネスの根本に関わってきます。今後件数が減る、さらに【集まる】ことをしないために人数が減れば、ブライダルのビジネスモデルは崩壊します。現在の状況はブライダル業界全体の危機であり、この局面では会社同士が競争をするのではなく、協力して結婚式を挙げる、お披露目をすることは素晴らしいということやその意義を発信することが求められているのでは。」

杉元「当社の場合は、半分が中古の物件であり、リーズナブルな設定となっています。これは私自身、ブライダルマーケットが縮小していく中で、事業として身軽なほうがいいという主義でした。ところが、今回は場所代そのものがネックになるという、初めて直面する事態です。お金が出ていかない状況を考えると、自社施設を保有しているところが強いわけです。実際株価や不動産価格については、この状況であっても下がっていないわけですから。それ以外にも、ブライダル業界の一般的な考え方として、売上至上であるために、内製化による垂直統合を進める企業も出てきました。ところが、垂直の頂点にある結婚式が厳しくなれば、それ以外の部分も多大なダメージを被ります。結局のところ、人材部分を変動費として対応している企業が、こうしたリスクに強いことが明らかになったわけです。こうした点からも、ブライダル業界の劇的変化が問われていると感じています。」

――結婚式実施に不安を持つ消費者がいる中で、どのような対策を進めていきますか。

杉元「不安の大きな要素として3 密、接触があるでしょうから、この部分を担保するために、例えば換気が良くない施設であれば、工事をするなどの設備投資をしていきます。また安心して結婚式を実施してもらうために、会社としてのガイドラインも策定します。こうしたことはHPで掲載しても、なかなか響きませんので、早々に顧客に向けて手紙を出す予定です。最近増えている希望が、もともと70名前後であった規模を、家族だけでの20名程度に縮小化する傾向です。これを契約だからと縛っていくのは難しいのではと考えています。だからこそ、列席の人数が増えても大丈夫という安心感の訴求が大切になってくるのです。そのほかにも、自分達の結婚式がこれからどうなってしまうのかに不安を抱いているカップルに対しては、フォトウエディング、前撮りなどのいわば当日までを繋いでいく商品を設計するため、専門部隊が対応を開始しました。」

――テイクアウトなどを展開するレストランも増えていますが、そうした対応は。

杉元「デリバリー、テイクアウトに関しては、今はレッドオーシャンの状況であり、きちんと作り込んでいかなければと考えています。テイクアウトの満足度が高ければ、お店で作りたてを食べたいという再確認もでき、その後にリアル店舗に戻ってくると思いますので、しっかりとクオリティーを重視しながら実施に向けた準備を進めていきます。個人的考えとしては、来店型のレストランについては、戻っても年内は70%までだろうと予測しています。オンラインレストラン、ホームデリバリーなど、持っているアセットを外に運び出していくことは大切です。それ以外に計画しているのが、結納などのプロデュースです。ソーシャルディスタンスで人同士の接触を敬遠する一方、マインドディスタンスという、心の距離を縮めることを大切にする傾向は高まるでしょうから。その一つとして、結婚前の両家を結ぶ結納に関して、当社のブライダルプロデュースのノウハウを発揮することで、より心に残るものを提供できるのではと考えています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)