LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

情報発信の統一性のためにCX推進室発足【テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬賢治氏】
テイクアンドギブニーズ(東京都品川区)は昨年5月、2030年に向けての長期経営計画を発表した。そこではホテルの出店加速とともに、運営受託によるブライダル事業の拡大を目指していくことを示した。また、社内外から評価される企業であるためにも、今一度T&Gブランドを再確認し、統一したイメージでの発信を進めていくことも表明している。今号から二回にわたり、岩瀬賢治社長が重視するポイントと今後の取り組みを紹介していく。
最大の課題は婚姻数減少
――コロナ禍を経て、ユーザー志向の変化をどのように捉えていますか。
岩瀬「少人数化など世の中の動きはあるものの、私たち自身はそれほど感じていません。これまでと同じような新郎新婦に当社の結婚式を提供しようとしていけば、全体の動きに影響されることも少ないですから。またコロナ以降、ゲストに喜んでもらう傾向が高まっているという話も、こうした環境下で結婚式に来てくれる以上当然のことではあります。つまりコロナというキーワードによる変化はそれほど重視していない。一方、もっとも気になっているのは婚姻組数が戻らないこと。コロナ前に約60万組だったのが、53万組、50万組に激減しています。出生数も、2015年前後の100万人に対して、今年は80万人を切るという話。ということは、30年後に結婚式をする顧客の数は、これまでに比べて20万人~30万人少ないわけです。そちらの方が大きな問題ではないかと。婚姻組数が戻らないという面を何とかしていかなければ、将来、結婚式の実施率云々以前に、そもそも耐えられる状況ではなくなってしまうだろうと。」
――未婚少子化対策は、企業単位ではなかなかできません。
岩瀬「だからこそ業界団体が必要であると、未来ウエディングJAPANを作った意味もあります。業界として大きな影響力を持った状態で、様々なところに支援を仰いでいくということを進めなければいけない。自分たちの足元の顧客のことだけを考えていれば、あっという間に太刀打ちのできない苦しい状況になってしまいますから。」
――結婚式業が結婚需要喚起に果たせる役割は、厳しいとも感じています。
岩瀬「確かに、結婚式に出席をすると、2 人が幸せそうだと感じて結婚へのモチベーションも高まるといったデータはあります。とは言え、そのことと未婚少子化対策がどのように繋がっているかのエビデンス面では、どの角度からどのように作っていくのかという部分を慎重に考えることが大切です。とは言え、少なくとも結婚式がマイナスにはならないはず。幸せそうな2 人、友達や家族に囲まれている光景を見て、結婚は幸せなことと感じてもらうのは、やはり結婚式でしかないわけです。きわめて定性的なことであり、どこまで理解してもらえるかも難しいのですが、だからと言って理解してもらうことを諦めてはならないと思います。」
――結婚式が結婚とセットになって語られる以上、結婚式のイメージをどう高めていくかは大切だと思います。その点では、顧客満足度の追求こそ、ブライダル業界にとって今必要なことではないでしょうか。
岩瀬「当社でもカスタマーセンターを作り、結婚式を挙げた人達の満足度がどうだったか、という視点を追ってきました。ただ現状は、そこからいかに広げていけるかという段階になっているとも感じています」
広い意味での課題解決
――カスタマーセンターの組織も変更したそうですが。
岩瀬「昨年、2030年に向けた長期の経営方針を発表しました。まずは、それを社内外で浸透させていく意味もありますし、さらにブランド価値を今一度高めていくためのギアを入れています。T&Gがどう見られ、どう語られているのかというブランドを作っていく上で、ターゲットをどこにするのかという観点は大前提となるため、カスタマーセンターをCX推進室として、広報なども含めてよりマーケティング要素の強い組織に変更しました。」
岩瀬「カスタマーセンターは、終わったことに対して顧客の満足度をリサーチし、それを基に品質を高めていくという取り組みの根幹です。それも大事ですが、同時に私達のターゲットとする顧客はどんな風にT&Gを見ているのかという部分にもフォーカス。当然これまでもブランドを作ってきて、集客担当、人事の採用担当、IR担当は対外的な様々な接点で、それぞれが最適だと思う方法で発信してきました。もっともその全てを俯瞰して見ると、それぞれのキャラが統一されてない、つまり、発信場所によって異なる見られ方となり、ブランドとして成り立っていないわけです。そこで今年からは、社員に向けても顧客に向けても、ストーリーを明確にしつつ、アウトプット一つひとつにブランドを感じられるように変えていくことを重視し、CX推進室が社内外に発信する上でのコントロールの役割を担っていきます。その取り組みを2 、3 年続けていくことにより、世の中からの評価も変わってくるでしょうし、T&Gのカルチャーもこれまでにあったいいものにプラスして化学反応が起きてくるのではと。参列人数が戻らない、新規の問合せも戻ってこないなど、事業上の課題はいくつかありますが、それよりももう少し広い意味での経営の課題解決に着手しています。」
――となると、CX推進室はブランドコントロールの側面も持つということですか。
岩瀬「当社のターゲットとしている人たちが、当社のことをどう思っているのか。そもそも思い描いた通りのターゲットの人たちに、きちんと利用してもらっているのかどうか。実際に利用してもらっているユーザーが、想定したターゲットと合っているのかも把握できていなければなりません。これを前提にして、では広告をどうするのかという様に、プロセスを変化させていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)

