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キーマンに聞く

少人数化と祝儀制崩壊に危機感【五洲園 代表取締役社長 萩原隆史氏】
「3月後半から延期が出てきましたが、前橋、本庄の2店舗を合わせれば、4月から5月分の施行約100組が延期となりました。これは年間の3分の1の組数に達する数です。キャンセルに関してはこれまで2件にとどまっていますが、現在は6月、7月の施行についても、不安感から延期が出始めている状況です。また少人数にする、式のみでといった変更を希望するカップルもいます。群馬と埼玉で感染の状況、自粛要請の強さも異なりますので、本庄の店舗は完全に休業とし、群馬については問合せ対応を受けています。最近は結婚式の前撮りなどの相談が入っていますので。」
「今後の予測として最も危惧しているのが、極端な少人数化への加速です。当社の結婚式は新郎新婦が比較的若い傾向にありますが、2人はやりたくても親や親族が不安を感じ、延期や多人数を招くべきではないと言われているという相談も増えています。5月に実施した結婚式についても、もともと80名の規模であったのですが、結果として身内だけの7名になってしまいました。これまでも少人数化傾向は進んできており、ここ数年は70名前後から60名にまで落ち込んでいましたが、今回のコロナ禍によって、家族のみでという10名規模への極端な縮小も増えています。人数が減少すれば、その分売り上げも厳しくなっていきます。もともと年間組数の3分の1が延期になっている状況で、さらに少人数化が進んでいけば、経営的にも非常に苦しくなります。」
「BIAから感染予防のガイドラインが出されましたので、それに準じた対策を進めることで、安心感を訴求していきます。このガイドラインに関しては、本人たちはもちろん、親や親族を安心させるためのツールとしても重要だと考えています。最悪のケースは、延期をしていた結婚式が、最終的にキャンセルになってしまうこと。こうしたことがないよう、例えば延期をしたカップル向けに、前撮りを実施してもらうなどの提案も進めていきます。資金調達についても、年内分は確保することができました。ただ、延期や少人数傾向が秋シーズンも続き、さらに来春までとなると、ダメージは大きいですね。」
「少人数化の加速も懸念していますが、もう一つご祝儀制がどうなるのかも気になる部分です。ご祝儀制はブライダルビジネスの根幹であり、例えば身内だけの10名、20名規模のパーティが増えたり、二次会のようなライトなスタイルに移行してくると、ご祝儀ではなく会費となってしまう可能性があります。これまでも少人数化、低価格化となっていく時代の変化は感じていましたが、コロナの影響により一気に早まるのではとも考えています。少人数、ご祝儀制が崩壊した場合に、ブライダルビジネスをどのように展開していくのかを真剣に考えなくてはならない状況かと。とは言え、当社の場合には地域密着で展開してきた地方の会場です。これまでも挙式のみ、挙式と会食など身内だけの少人数も受け入れてきました。今後については、結婚式だけでなく、それ以外の様々な機会においても家族に関わるようなイベントを獲得していくことも視野に入れていく必要を感じています。誕生日や七五三、各種記念日やちょっとしたお祝いごとなど。家族だけの少人数であっても、特別な日に何度も利用してもらうというスタンスを打ち出すことが、地域密着の地方会場として生きる道かもしれません。」
「前述した家族イベントのサポートについては、これまでもすでに手掛けてきました。今年は母の日のランチボックスを販売し、当初は20食限定だったのですが、最終的には倍の40食にまで達しました。それ以外にも、家族でお祝いするときに、会場としていかに関わっていけるか。バースデーケーキなどの販売も企画しています。その際にポイントとなるのが、結婚式を実施した人たちのデータベース。当社ではLINEでグループ化しており、毎年のイベントやファミリー向けの情報などを配信していました。このツールを活用して、様々なコンテンツを提供していきます。ケーキに関しても、夫婦で結婚記念日はもちろんのこと、お互いの誕生日を忘れないようにとのスタンスで対応していきます。」
「地域密着を武器にして、例えばドライブスルーでのスイーツの販売なども検討しています。もちろん結婚式並みの売上に達することはありませんが、小さくてもいいから、こうしたいくつかの柱を作っていくことも大切かと。そこで考えるのは、当社が持っているものを活用していくというスタイルです。結婚式場の調理スタッフやパティシエなどのスキルを発揮することで、特別なものを提供できますから。また現在は本庄の施設において、法事向けのケータリングを実施していますが、今後は企業向けにオードブルや弁当の提案を強化していきます。企業が外での宴会をやらない傾向にある中で、それでも集まっての会食やパーティの機会は必要となるはず。そうしたシーンに、当社の食を提供していくことにも注力していきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)

