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安心して結婚式を挙げられるカップルを増やす【ウエディングパーク +Creation本部 本部長 松尾美緒氏】 

安心して結婚式を挙げられるカップルを増やす【ウエディングパーク +Creation本部 本部長 松尾美緒氏】 

「結婚式費用の不透明さは、社会課題の1つ」。そう語るのは、『mieruu』の共創プロジェクト推進にあたり、ウエディングパークの中心人物となった+Creation本部 本部長の松尾美緒氏だ。クチコミを取り扱う同社に新卒で入社し、現在4年目の松尾氏。費用の透明化を通じて、安心して結婚式を挙げられるカップルを増やすことを、若きリーダーは目指している。サービスの詳細を中心に、共創プロジェクトにかける松尾氏の想いなどに迫る。

デザイン経営を推進

――『mieruu』ですが、T&Gとの共創に至った背景は。

松尾「もともとT&Gと当社は、留学ならぬ“留職”制度として、先方社員がウエディングパークの業務に就いていました。その当時はまだ本サービスの話は出ていませんでしたが、目指すべきゴール、カルチャーなどについて意見を交わす関係性を構築していました。当社は2021年10月からデザイン経営を推進しており、企業として様々な社会課題の解決に注力しています。その上で結婚式費用の不明瞭さと見積り提示に関しては、かねてから取り組むべき課題だと感じていました。実際に『当初の見積りから100万円もアップした』、『上がり幅は想像以上だった』などの声も聞かれています。こうしたクチコミも増えていく中で、『結婚式費用は上がるもの』という認識を持つカップルが一定数いることも、当社のユーザーインタビューから見えていました。費用に対する新郎新婦の不安感はもはやブライダル業界だけの話ではなく、社会課題の1 つと感じています。そうした中でT&Gの岩瀬社長から『一緒にこの課題に取り組みたい』と連絡があり、2022年の年末、正式にプロジェクトの立ち上げに至りました。T&Gの中では『事業者だけでは難しい部分も出てくる』との考えもあったようで、クチコミを通して有益な情報をカップルに届けてきた当社に声がかかった流れです。当社は創業時からユーザーの幸せを第一にクチコミを提供してきましたから、今回の取り組みにおいても、私たちがすべき役割を実感しています。」

 

――『mieruu』の具体的なサービス内容、仕組みは。

松尾「4 月から順次T&Gの運営施設に導入しており、現在は20店舗でβ版を運用中。流れとしては、該当式場にカップルが予約を入れるとURLとパスワードがメールで届き、来館前にリアルな費用シミュレーションをできるようになります。機能は大きく2 つ。1 つ目は会場の支払総額分布で、もう1 つはカンタン事前見積り。例えば式場Aの場合、その施設の実際の最終金額をベースにしており、支払総額分布で希望人数を選択すると、300万円台のカップルは何%、600万円台は何%と、棒グラフで分かりやすく表示しています。目指すところは、1 円単位のリアルな見積りを出すことではなく、結婚式費用は人数・内容・時期によって変動する感覚を掴んでもらうこと。これまで『結局この会場はいくらで式を挙げられるのか』と、ストレートな質問をプランナーに投げてくるカップルもいたのに対し、答えは『内容による』で、施設側は顧客の欲しい的確な情報を提供しづらかったわけです。『mieruu』では、その会場で挙げたカップルは結局いくらの装花・装飾を選んでいるのかなど、コンテンツごとの金額分布もチェック可能。例えば『40万円の装花は、この会場では低い方。他のカップルはこれくらいの金額を選んでいる』などに加え、オプションを入れるとどれくらい上がるのか、費用の感覚を掴めるようになります。特に料理・ドリンクは選ぶコースによって金額は大きく変わりますから、どれだけ差が出るのかも一目でチェックできます。結婚式の費用は変動することを事前に理解してもらえれば、予算に関してより具体的な質問が新規来館の際に出るなど、接客時のメリットにも繋がってきます。」

 

――ウエディングパークはこれまでも、様々なWebサービスを展開してきました。エンジニアやデザイナーも多く在籍しているそうですね。

松尾「結婚式準備をワクワクと現実でパート分けした時に、金額に関する話は後者に当たるわけです。本サービスでも数字だけを並べても結局分かりづらいままになってしまいますから、今回はデザイン部分にこだわりました。例えばカップルのポップなイラストを入れているほか、『みんなはいくらかかってる?』、『私たちの場合はどれくらい?』など、あえてカジュアルな言葉を使用。費用という現実部分でもユーザーには親しみやすさを感じてもらいたいというのが当社デザイナーのこだわりです。」

 

2社で取り組む強み

――『mieruu』は費用の透明化への一歩となるサービスですが、目指すゴールはさらにその先に設定。共創プロジェクトとして、T&Gとも綿密なミーティングを重ねていったそうですね。

松尾「来館前から費用をオープンにするのはもちろんいいことではありますが、本サービスを通じて私たちが目指すのは、安心して結婚式を挙げられるカップルを増やしていくこと。T&Gとのプロジェクトをスタートした段階で、そもそもなぜ2 社で取り組むのか、このサービスの意義は何かをしっかりと共有してきました。在りたい姿を決めて、バックキャスティングの方式でサービス内容を詰めていった流れです。実際に導入する店舗には、T&Gの金香さんと一緒に、当社代表の日紫喜と私で訪問。サービスの意義などを現場の皆さんにシェアし、このプロジェクトを成功させたいという強い想いを伝えました。サービスを利用したカップルと接するのはプランナーの皆さんですから、現場の本気を2 社で引き出せたことも大きかったと感じます。」

 

――見積り提示をどう捉えていくか、ブライダル業界全体としても考える転機だと感じます。今後の展開は。

松尾「サービスリリース以降、様々な反応は当社にも届き始めています。『mieruu』に関してはT&Gと当社のみが主語になるのではなく、この新しい試みを通じて業界全体を巻き込んでいければ。サービスの運用・開発に関しては当社で担っていく予定ですので、より多くの式場に案内し、導入してもらえたらと思います。今後は広報活動にも注力するほか、その他サービスの打ち出しも積極的に着手し、業界全体で様々な課題解決を目指していきたいと考えています。」

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月21日号)