LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

会場に縛られず本質から式を描く【Bridal Plus 代表取締役 福手勇貴氏】
ウエディングプロデュース事業を展開するBridalPlus(名古屋市西区)の代表取締役・福手勇貴氏は、愛知の式場でプランニングキャプテンを経て、リクルート、SaaS企業へ移り、集客支援や組織づくり、新規事業に携わった。2024年、30代にしてBridal Plusの事業を引き継ぎ、代表に就任。様々な場所でのプロデュースのほか、現在は稲毛海浜公園内でも専属提携による婚礼事業を担う。業界の外で培った視点を生かす福手氏に話を聞いた。
≪親族の挙式を原点に≫
福手「大学生の頃から、BtoCのサービス業に進みたいと考えていました。アルバイトで顧客と直接接点を持つことにやりがいを感じ、自分の価値を発揮できるのではないかと思ったのもキッカケの1 つです。その中でも、一生に一度の節目に携われるウエディングに魅力を感じました。大学時代に親族の結婚式に参列したことから、プランナーの仕事を具体的にイメージできるようになり、新卒で婚礼業界へ。愛知県内で総合結婚式場とゲストハウスを展開する会社に入り、7 年間勤務しました。」
福手「1 年目はキャプテンの補佐に当たるディレクターとして、当日のサービスオペレーションやアルバイトスタッフの統率を担当。2 年目からはプランナーと当日の責任者を兼ねるプランニングキャプテンとして、成約後の打合せから施行まで受け持ちました。同じ会場でも新郎新婦のニーズは異なり、提案した内容を当日カタチにして、会場と私自身のファンになってもらえることは大きなやりがいでした。最後の2 年間は新規営業部門のマネジャーとして、当時オープン前だったゲストハウスで営業組織の立ち上げを担当。自分でも数字を追う一方、部下の成約率やチームの士気も高めなければならない立場でした。それまで自分のパーソナリティ・スキルで成果を出していた営業を改めて分析し、成約に至るポイントを後輩に伝える難しさを実感しました。」
福手「支配人になる道はありましたが、当時の私が目指す姿とは重ならず、その頃に出会ったゼクシィの営業担当者から、大きな影響を受けました。担当者は、媒体を売るだけでなく、掲載によって売上や費用対効果をどう高めるか、上司への提案方法、部下への教え方まで相談に乗ってくれました。自分にないビジネススキルを持ち、事業に入り込む姿に憧れ、リクルートに転職。異なる業界の知見を得たいという考えから、SUUMOで不動産会社の集客支援に5 年ほど携わりました。」
福手「その後に転職したオンライン営業システムを提供しているベルフェイスは、リクルート出身者もいて、企業文化が合ったこともあり、2 年ほど在籍しました。その後、より少人数のスタートアップで働きたいと考え、オンラインコミュニティのプラットフォームを提供するコミューンへ。従業員が20人ぐらいの時期に入り、120人になるまでの過程を経験し、組織が拡大する中で、新規事業にも携わりました。」
≪婚礼業界への想い≫
福手「業界を離れている間、コロナで会場の閉館や人材流出が続く状況に危機感を持ちました。私自身、結婚式への参列体験からこの仕事を志したので、結婚式が減れば、その魅力を知る人も、業界で働きたいと思う人も減ってしまうのではないかと。外で経験を積んだ自分だからこそ提供できる価値があり、業界に貢献したいと考え、戻るなら会社員ではなく自分で判断できる代表として事業を担いたいと考えました。その中で、Bridal Plusを運営していた前代表から声がかかりました。コロナ禍に始めた子育て事業が忙しくなり、婚礼の顧客が戻っても十分に力を注げないという事情からです。Bridal Plusは新郎新婦の想いを形にすることを大切にしてきた会社で、自分のやりたいことにマッチすると考え、2024年に事業継承しました。」
福手「当ブランドのコンセプトは、『語り継がれる結婚式』。その日だけで終わらず、夫婦がこれからの人生で『あの日があったから』と語り合える時間をつくりたいと思っています。例えば野球好きなら、競技をすることが好きなのか、観戦なのかを聞き、ナゴヤドームでよく観戦した2 人であれば、そこで式を行うことを考えるわけです。会場を保有するとその場所に合わせて提案せざるを得ない面もある一方、私たちは2 人の経験を聞くところから始め、場所も含めて形にしていきます。婚礼実績のない施設との交渉は難しく、企画書を作って営業に出向くところから始める場合も。その分、当日にゲストの驚いている姿や喜びを感じられることは、何事にも代え難いやりがいですね。結婚式の魅力を感じてもらえれば、業界への貢献にもつながるはずですから。その場を楽しんでくれたゲストが、プランナーを志すキッカケになるかもしれないという思いも持ちながら、プロデュースしています。」
≪フレキシブルな働き方≫
福手「代表就任後は、IT業界で経験した働き方も取り入れました。スキルのある人材が結婚・子育てを機に離職していく状況を変えたく、現在は子どもを保育園に預けながら、在宅勤務を中心に現場プランナーとして働くメンバーもいます。出社しなくても仕事を進められるよう、ペーパーレス化やITツールによる業務効率化を進め、ミーティングもオンラインと対面を組合せています。ハコのない私たちだから取り組みやすい面はあるものの、会場を持つ事業者でも、チームで工夫すればできることはあると思います。」
福手「今年4 月にフルオープンした稲毛海浜公園内の婚礼事業では、花と植物をテーマにした園内施設『ボタニカミュージアム』で、当社にとって初の専属提携を受けました。従来は特定の会場を販売する形にしないため、専属は受けていませんでしたが、この公園には海やビーチ、グランピング施設などがあり、森や海、アートを取り入れた自由な結婚式を提案できると感じました。ご祝儀3 万円に見合う価値のあるエンターテインメントと感じてもらうには、今の世代のニーズに沿って内容を変えていくことが必要。婚礼施設以外でも満足できるウエディングを創れることを、より多くの人に伝えていきたいです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月1日号)

