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連載2 ローカル会場【勝利の方程式】ブライダルのリピートモデルの可能性【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載2 ローカル会場【勝利の方程式】ブライダルのリピートモデルの可能性【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

前回は、ローカル会場を取り巻く集客環境の変化と現状を整理しました。現場で日々集客を支援する立場から感じるのは、「このままでは先がない」という声と危機感。これは多くの経営者や会場責任者、そして集客担当者が実感していることではないでしょうか。それほど、ここ半年間の新規来館数の減少幅は大きく、かつ深刻です。

集客効率が低下する中で、最近では「関係性を資産化する集客」に取り組む会場が増えています。新郎新婦からの紹介や、列席者が次の新郎新婦となる“リピートモデル”を強化する動きを指します。これまでリピート施策が十分に機能してこなかった背景には、いくつかの理由があります。第一に、以前は減少しているとはいえ必要組数を確保できていたため、構造的な見直しが行われなかったこと。第二に、フォロー体制が弱く、紹介導線も整備されていないこと。第三に、列席者体験が「ゲストとしての満足」で完結してしまい、未来の顧客化を意識した設計になっていないこと。第四に、スタッフの異動や退職により関係が継続しづらい点です。ただし本質的な課題は、ブライダル業界が長年「集客して成約すること」をゴールとし、そこに多大なリソースを割いてきた構造そのものにあります。一生に一度の商品特性上、ブランドとしての継続的関係を築きにくいという側面も否めません。

しかし、紹介や列席者からのリピートに代表される「信頼を土壌とした集客」は、受注をゴールではなくスタートとして捉える発想につながり、婚礼をきっかけに顧客価値の向上や従業員満足を循環させていく、いわばカスタマーサクセス型のビジネスモデルです。実際、リピートを偶然に頼らず「仕組み」として設計する会場は成果を上げています。例えば、友人卓にはサービスのエーススタッフを配置し、列席時の満足度を最大化。友人余興の打合せを通して打ち解け顧客化につなげる。挙式後はOBカップルをLINEではなく緩やかなSNSアカウントでフォローし、同窓会や周年イベントを告知。OGを公式アンバサダーとして再登場させるケースもあります。また、いつ誰が顧客になるか分からないという意識のもと、業者ではなく「お取引先様」と呼び、関係を尊重する姿勢を共有している会場もあります。サービスアルバイトを対象とした表彰や卒業イベントなど、内部のつながりを外へ広げる力として機能させる取り組みも。

ブライダルのリピートモデルとは、単に紹介件数を増やす仕組みではなく、人と人との関係を資産化しその信頼を循環させていく経営の在り方です。集客が頭打ちの今こそ、「婚礼を通じて繋がりを育てる力」が、真価を問われる時代になっています。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月11日号)