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キーマンに聞く

ユーザー目線で分かりやすい商品開発【エスクリ 代表取締役社長 渋谷守浩氏】

ユーザー目線で分かりやすい商品開発【エスクリ 代表取締役社長 渋谷守浩氏】

 経営において、意思決定のスピードは命ともいえる。特にコロナ禍の有事に際しては、いかに早く判断し決断できるかが求められた。エスクリ(東京都港区)の渋谷守浩社長は自らの役割として、2020年6月にTKP、さらにSBIホールディングスとの資本業務提携というスピーディな決断を下した。「これが少し遅れていたら、エスクリの企業価値も厳しくなり、業務提携、つまり家族になることが出来なかっただろう」と語る。そのスピード感は社内においても発揮され、オンラインの商品開発もタイミングを逸しないように3分の1の期間で作りあげた。

単価アップの方策が重要

――11月に通期決算予測の下方修正を発表しましたが、実際の数字に関してはそれほどの厳しさを感じませんでした。

渋谷「ある程度、堅い数字を出しました。施行数そのものは、去年から比べて4 倍になっていますが、やはり人数減がまだまだ厳しいのも事実。あとはお酒を飲めなかった時期の単価減もありましたから。ただ、単価、人数に関してあと数年は戻らないのではとも考えています。すぐに戻ると楽観視していると痛い目を見ますし(笑)、そこは完全に世界が収束宣言をするまでは難しいのではと。日本の感染者数は少なくても、テレビで世界各地の感染拡大がどんどん報じられている状況で、不安感はまだまだ強いはず。」

――コロナ前の水準になるまでには、どの程度の期間が必要だと考えていますか。

渋谷「まだ1 年、2 年は不安感もあり、そうなれば人数もなかなか戻ってこないのでは。だからこそ当社独自のオプション、商品を考えて、それに対価を払ってもらい単価を上げていくことが大切です。顧客から満足できると思ってもらえる商品開発力が、ここ1 、2 年は会社の下支えになるだろうと。」

――オプション、商品はどのように考えていますか。

渋谷「例えば当社ではこれまでもキャラクターとのコラボ商品などを定期的に出してきましたが、それは平時に趣味の範囲や様々な価値観の中でこそ受け入れられたもの。少なくとも今は平時ではなく有事ですから、例えば30人減った分を埋めるためには、それだけでは追いつかない。考えられるのがオンラインです。オンラインを使うことで、会場に来てもらわなくても参加できる。そういうIT、WEBを駆使したオンライン商品の開発は急務です。」

――実際に仕事もリモートで、わざわざ行かなくてもいい。時間や手間を解消して効率化するオンライン重視に、社会の認識も変わっています。

渋谷「リモートで仕事ができるとなってしまっていますし、飲食店でもわざわざ人が混んでいるところに行かなくていいのではと。ウエディングに関しても同じような考えを持つ人が増える可能性があるからこそ、例えば100名のゲスト予定だった新郎新婦に対して、60名はリアルに来てもらいながら、残りの40名にはオンラインで参加をしてもらう。そうした文化を、会社として作っていかなければいけないと考えています。もっと言えば、もともと100名の結婚式だったが、オンラインを使うことで200名の人が見てくれるようになるかもしれない。来るのは60名なのに、外に140名の人が見ている。そういう跳ねたことを考えていかなければ、今の状況はなかなか乗り越えられないでしょう。一番いいのは、このシステムで結婚式がしたいから、当社を選んでもらうという流れ。ただ、システム開発にはやはり手間と時間、コストがかかってきます。それでなくても、今は多くの企業はお金がない(笑)。そこを、勇気を持ってやりきったところだけが、これから生き残っていけるのではと思っています。」

 

ライブだから気軽に参加

――エスクリでは、オンライン系のウエディングを2020年から手掛けています。

渋谷「昨年の11月22日に、今までの仕組みをバージョンアップした【Dimensional -link- Wedding】を発表しました。それまでも展開していた挙式・披露宴のライブ配信ツールに加えて相互機能をスタンダードにし、またWEBご祝儀やおもてなしアイテムなどを含めた総合サービス。もっと顧客に分かりやすく、もっと価値のあるものにという考え方からまとめていった商品で、今後もさらにカスタマイズしていきます。お金も時間も知恵も経験も含めてどんどんそこに組み込んでいくことで、サービスを拡充していくことが求められてきます。」

――今回のオンライン商品開発のために、社内に専門チームも作ったそうですね。

渋谷「オンラインは間違った路線ではないと信じていますから、まずは社員たちにも一緒の方向を向かせ、これまで10かかっていたものを3 のスピードで対応するようにしています。こうした取り組みはタイミングが重要ですから、とにかく3 分の1 のスピードで開発していくようにと。」

――これまでのオンライン商品との違いは。

渋谷「今までと基本的には一緒なのですが、仕組みをまとめたことで顧客に対して分かりやすくなり、同時にプランナーが売りやすくなっています。それまでは結婚式に参列できない人が見るサービスという位置づけでしたが、それだけではなくて例えば二次会の方に呼ぼうと思っていた人、そもそも呼ぶ予定のなかった人たちにも、ライブだから気軽に見てくださいと連絡できるようにする。これまでとは別の軸で、ライブ配信を広めていこうという考えです。」

――その点では新しい文化を作っていくという面もあるのかと思いますが、そのためには、社員の考え方をそこに持っていくことも必要です。

渋谷「そこが一番難しいですね(笑)。何しろ売るのはプランナーなので、プランナー自身がこの商品を売ることの大切さをどこまで理解しているかどうかがカギになってくる。顧客にとっていいもので、それが会社を守ることにもなるということを社内で啓蒙活動していきます。そのために現場の支配人、新規、打合せのキーマンを巻き込んで、そこから落としていく方法を採っています。自分の目上の上司から、今月はここまで販売したいから協力して欲しいと言われれば、それならば頑張ろう!となりますから。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)