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キーマンに聞く

クーリングオフ制度【ブライト 代表取締役 夏目哲宏氏】
ブライダル専門法務事務所のブライト(東京都港区)は1月23日、八芳園において新春セミナーを開催した。そこで取り上げたのが、昨年6月に改正法が施行された消費者契約法。事業者への規制を重くし、消費者の権利を拡充する方向で段階的に強化されてきている中で、ブライダル事業者にも大きな影響を与える可能性も出てきた。消費者契約法の側面で注意すべきポイントと共に、クーリングオフ対象になりうる契約手法の内容を紹介する。
退去困難場所への同行
夏目氏は、昨年の6 月からスタートした消費者契約法の改正について、現場の運用では対応しきれない可能性があるため注意が必要と語った。ポイントの一つが、第4 条第3 項第3 号に新設された、【退去困難な場所で締結した契約の取消権】だ。
「例えば新郎新婦に対して営業マンが、扉のついた個室のようなところで説明をして契約手続きをした場合。事前に契約締結を勧誘することを告げていないと、それを理由に新郎新婦が契約を取り消すことができると読める条文です。取り消すことができるというのは、キャンセルとは違います。キャンセルは新郎新婦の都合で止めますということで、解約料を払ってもらえますが、取り消すとは法律用語で最初から契約を無効にするという意味なので、解約料は発生しません。」(夏目氏)
消費者契約法ではもともと「帰りたい」という意思表示に対して、【不退去】、【退去妨害】も規制されていたが、今回の改正ではそうした場所へ消費者を同行させることも規制されることになった。退去することが困難な場所とは、扉のある個室のみならず、例えば会場見学目的の新郎新婦を、契約締結の勧誘を告げずサロンへ同行して、そこで退去困難という印象を与えるような場合も可能性が出てくるという指摘もある。
さらに4 条3 項では、新たに【威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害した場合】も追加された。これは親や誰かに電話などで相談したいという申し出に対して、それを妨害することを規制するものである。威迫とは強い言動だけでなく、「他の新郎新婦は自分たちで決めています」などと言うことも相当する可能性があるのは注意も必要。
2 つ目のポイントは、 第3 条第3 項に新設された【免責の範囲が不明確な条項】の無効。
「事業者がミスをして消費者に迷惑をかけた場合、損害賠償額のルールを契約上設けている事業者はいます。そのルールについて、事業者に故意や重大な過失である場合の免責事項をキチンと書いておかないと、損害額を制約する合意自体認めませんとなりました。具体的には、無効となってしまう書き方が『当社の責任によりお客様に損害を与えた場合でも、賠償額はサービス代金の額を上限とします』。効力が認められるためには、『当社の責任によりお客様に損害を与えた場合でも、当社に故意または重大な過失がある場合を除き、賠償額はサービス代金の額を上限とします。』と書かなければなりません。つまり、故意または重大な過失があった時は、いくら規約で決めていても、消費者に発生した損害全部賠償しますよということをアピールしておかなければ、無効となるわけです。」(夏目氏)
3 つ目の改正が、第9 条第2項&第12条の4 に新設された、【「解約料算定根拠」を説明する努力義務の付与】。キャンセル料について、質問を受けたらその数字の根拠を説明する努力をしなければいけないということだ。
「もともと第9 条2 には、消費者から説明を求められた場合に説明する努力義務は規定されていましたが、第12条4 では、適格消費者団体からの要請があった場合にも、概要ではなく算定根拠を説明するよう努力義務が設けられました。つまり適格消費者団体からあなたの会社のキャンセル料はなぜ三カ月前でこの数字なのか説明するよう要請されれば、それに応じるよう努力しなければいけないという義務の明文化。ただ、営業秘密の含まれる場合や正当な理由がある場合を除きとあるため、それをどこまで考慮して対応するのかは大切でしょう。実際に昨年の6 月以降、私の知ってる範囲でも適格消費者団体から、キャンセル料の算定根拠の問合せが発生しています。キャンセル料水準を巡る質問の増加は必至なので、水準を合理的に説明するための理論武装、さらに見直しをするタイミングと言えます。」(夏目氏)
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月1日号)

