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キーマンに聞く

“『ゲストのリアルな声』を聞く”《顧客満足度=集客UP》アレルギー対応への差【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

“『ゲストのリアルな声』を聞く”《顧客満足度=集客UP》アレルギー対応への差【みんなのウェディング レビューアナリスト 黒須 裕子氏】

結婚式に列席するゲストは、近い未来の顧客である。みんなのウェディング(くふうウェディング・東京都中央区)は、利用者からの口コミ投稿のほか、列席者に対する【GSアンケート】を通じてゲストのリアルな声を収集している。同社と本紙のコラボ企画として、口コミ、アンケートに寄せられる様々な評価を項目ごとに抽出していく今回のテーマは【料理】。料理のクオリティが評価を大きく左右すると共に、4つのポイントから分析を進めていく。

緊急対応のマニュアル整備

――会場のアレルギー対応についての口コミ投稿は、どのような状況になっていますか。

黒須「2024年から26年3 月までの口コミ総数に対するアレルギーに言及しているコメントは約3 %となっていました。その内訳は、対応は良かったと評価されているものが圧倒的に多いものの、アレルギー申告していたにも関わらずその食品が提供されてしまったといったような評価も26件という結果になっています。口コミ項目としては主に料理中心で、次いでスタッフの項目にもアレルギー対応への指摘について書かれているという状況でした。」

――最近はペット可ウエディングも増えている中で、動物に対するアレルギーの投稿もあったそうですね。

黒須「ワンちゃん可の結婚式について、控え室にも入室出来るようにしている場合もあるようです。ペットアレルギーを持つゲストが控え室に入った際に症状が出てしまい、配慮して欲しかったというコメントもありました。ゲスト側は事前にワンちゃんのいることを知らないというケースもあるようで、行ってみて初めて知り症状が出てしまったようです。」

――食材のアレルギー対応は命に関わる問題だけに、多くの会場ではかなり慎重になっていると考えられます。

黒須「一部では、招待状にアレルギー確認の項目がなかったと、低評価として書かれている投稿もありました。また当日初めて食べた食材でアレルギーが発症してしまったという内容もあり、その点では救急対応のマニュアル整備の必要性も感じます。共通して見られた課題としては、まずキッチン側のミス。例えばイクラをNGとしていたのに一粒入っていたなど、重度の方にとっては命に関わる問題です。次に配膳ミス。キッチンで正しく対応していても、配膳段階で間違えれば意味はありません。名前確認やアレルギー内容、代替食材の説明まですることにより、安心感につながる要素となっています。」

 

デザートビュッフェの表示

 

――サービス人員不足によって対応力も低下している状況ですが、声掛けで直接確認することは大切ですね。

黒須「ヒヤリハットの事例も多くて、例えば配席自体を間違えていて、そうであればアレルギー食も間違えて配膳されてしまうのではと不安を感じた。また食材の説明にミスがあり、誤認識で食べてしまうリスクも出てくるといった指摘もありました。そもそも配膳スタッフに使用している食材を聞いても、把握していないことに対する投稿も多く見られ、そうした状況で、どこまで万全にアレルギー対応をしているのかへの疑念が生じるようです。」

――アレルギー以外に、妊婦のゲストへの配慮も必要です。

黒須「生ものを避けたいと伝えた場合に、アレルギーと混同されれば当日の料理の質が下がるのではないかという声もありました。また妊婦のゲストの食事制限について、その確認方法がアレルギーと異なっている場合もあります。招待状ではアレルギーのみの情報を取得していて、妊婦や子どもの情報は打合せで新郎新婦本人から確認。このように情報管理の経路が分かれている点も、課題だと考えられます。ビーガンやベジタリアン、ハラルなどへの対応については、実際に対応してくれたという場合には評価も上昇している一方、断られたというコメントも見られました。」

黒須「もう一つアレルギー対応について注意すべきポイントとして、デザートビュッフェなどで原材料表示を求める声があります。アレルギー原材料が入っているのではという不安から、結局手を付けられなかったという投稿も。ウェルカムフードやウェディングケーキについても同様で、代替対応をしていない会場もあれば、フルーツなどに変えて提供している会場もあり、対応レベルに差があるようです。」

――これは非常に難しい問題なのですが、例えば1 人1 万円以上の料理単価のレストランでは、アレルギーはもちろんのこと『苦手な食材はありますか?』と事前に確認することも珍しくはありません。それ以上の料金帯の結婚式で、そうした対応はしていないところも多く、そうなると一定額の費用を支払いながらギャップも感じるのではないでしょうか。

黒須「実際に苦手食材についても言及があり、アレルギーではないもののどうしても苦手なので除去してほしいと依頼したところ、アレルギー対応しかできないと断られたというコメントもありました。受け取り側の感覚として、対応してもらえて当たり前という意識が強くなっている傾向も見られます。その他に会場のアレルギー対応について、追加料金を取っているケースもあるようで、1 皿○○○円といった具体的な記述も。また、アレルギー申告をした際に『食べないで避けてください』と言われたという投稿も見られました。」黒須「今後のヒントになるアレルギーを持っている人からの投稿として、見た目を他のゲストと揃える工夫をしてくれたことを高く評価していました。周りから特別な目で見られたくないという意識も大きかったと考えられます。見た目を一緒にすると、配膳時に間違えるリスクは高まるものの、実際にアレルギーのある人からすればそうした部分も気配りポイントになってくるようです。」

 

慎重かつ丁寧な対応を

 

――以前あるホテルの取材をした際、アルコールとノンアルコールのカクテルを同じ色、同じグラスにし、あえて全体の統一感を高めたということでした。もちろん配膳ミスの可能性は高いものの、逆に言えばそれでも完璧にこなすサービス力は強力な武器だと考えられます。

黒須「実際、評価の高い事例としては、配膳時に名前をキチンと確認し、どの食材を除去しているか、何に置き換えているか、どのように調理しているかまで説明して提供してくれたというケースが挙げられています。サービススタッフの配膳時の説明によって、ゲストの安心感は大きく向上しています。その点、アレルギー対応はキッチンの問題だけでなく、配膳サービスの対応品質に大きく影響していると考えられます。」黒須「配膳スタッフの多くはアルバイトで、食材知識や対応経験に差があるのは当然とはいえ、それならば経験値の高いスタッフをアレルギー対応のテーブルに配置するなど、現場レベルでの運用も重要になるかと思います。難易度も高いとは思いますが、やはり安全な食を提供する責任のある事業者としては、慎重かつ丁寧に対応しなければならないでしょう。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)