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キーマンに聞く

「親に相談したい」は逃げ文句として使う【ウエディング業界専属ライフプランナー 髙橋和希氏】

「親に相談したい」は逃げ文句として使う【ウエディング業界専属ライフプランナー 髙橋和希氏】

「ヒアリングの時間が、何となくアンケートをなぞって、名前・希望時期・予算確認をし、競合他社を把握するだけの作業になっていないか。重要なことは、顧客が自分の判断・意思を持って、会場に行こうと決めた注目・興味の段階にスライドすること。この段階に全ての答えがあるからこそ、一番聞かなければいけないのは、何故数ある式場の中から自会場に来ようと思ってもらったか。」

ウエディング業界専属ライフプランナーの髙橋和希氏は、注目・興味の段階で選ばれた意味をきちんと探ることこそ、ヒアリングの目的であると語る。仮に3 会場を候補に入れていれば、その動機・期待は三つある。三つのうちどれが一番、結婚式で重要なのかを2 人と共に話し合うことによって、セールスマンではなく、正しい結婚式をする場所に導いてくれるサポーターという存在になり得る。

「例えばアクセス重視と言われた場合、果たして2 人の本音として本当に重要なものか。例えば駅直結のA社と、駅徒歩10分のB社を比べると、B社はネガティブに聞こえます。そこでプランナーも、タクシーチケットを無料で用意します、定期でバスが出ていますから安心ですと説明。これは、想像が過度に行き過ぎている状況だと考えられます。新郎新婦も、アクセスのいい方がゲストに負担はないと思っています。では駅から徒歩10分だった場合に、行きたくない、楽しみではなくなるかどうか。実際にそれはないからこそ、本当にアクセスは重要ですか?と、2 人に伝えないといけない。つまり、アクセスを重要なポイントとして結婚式を決めたら、後悔しますよと。」

ゲストの本音としてアクセスで結婚式に行くか行かないかは決めていないということを正しく理解してもらった上で、決断をしてもらうよう導く。

「親に相談したいという新郎新婦もいます。そもそも、本当に親に相談するのでしょうか。辺鄙な場所や、親からそこは絶対にダメだと言われるような会場以外は、基本的にノーと言われることもない。つまりこうした話をされているのは、実際には逃げ文句です。」

ではこの逃げ文句に、どう対応していくか。『仮に親からここでやっていいと言われた場合、2 人は決定しますか?』と聞く。ハイと言われれば、本当に親の影響力は高いわけだが、概ねノーである。それはプランナーがセールスマンに見えていて、顧客としてもなるべく嫌な思いをさせずその場を逃れる方法として考えている。

「三つ候補があり予約をしてしまっている以上、次に行きたい気持ちはゼロにできない。そのタイミングでこうした話をされるのは、決定したくない何らかの理由があります。何か不安がありますかと聞くことで、解決できる可能性も出てきます。」

接客中の沈黙が苦手という人も多い。沈黙の時間はなるべくあってはならないと、矢継ぎ早に話してしまうということも見受けられる。

「顧客が沈黙をしている時間は、頭の中で様々なことを整理しています。そこで矢継ぎ早に色々な話をすると、整理の機会もないまま進んでいき、結果的にちょっと考えますとなりかねない。実は沈黙はポジティブな時間。私はクロージングで見積もりを出した時に、椅子に座って沈黙しています。2 人が何となく顔を上げる、見合わせて頷くといった行動をしてから初めて、いかがですかと聞くようにしています。沈黙がないと顧客も整理できず、接客側も何に悩んでいて、どうやったら決められるのかも判断できません。」

顧客の本音には、新郎新婦の本音、ゲストの本音があり、それを正確に捉えていくことは必要だ。本音を引き出しつつ、それは果たして正解なのかを、プロの視点でアドバイスしていく意識を持つべきとの考えだ。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)