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「売らない」商品提案を【フリーウエディングプランナー 仁藤なお子氏】

「売らない」商品提案を【フリーウエディングプランナー 仁藤なお子氏】

『記録用DVDは見ないから不要』、『写真はデータのみで十分』など、打合せでなかなか単価アップが実現しないと苦労している会場は多い。それに対し担当したほぼ全ての新郎新婦に、高額であっても関連商品を販売してきたのがフリーウエディングプランナーの仁藤なお子氏だ。そこにはどんな違いがあるだろう。そもそも良い結婚式を作っているというプロとしての矜持をベースに、こうした商品を提案する目的も大きく異なっている。

2人独自のストーリー作り
――売らない、押し売りをしなくても関連商品を販売できる接客法について、その考え方を教えて欲しいという会場からの依頼も多いそうですね。そのポイントとは。
仁藤「私個人の考え方としては、売ること、単価アップを目的とした意識ではなく、新郎新婦の結婚式後も含めた人生のクオリティアップの追求を最優先に考えるべきと思っています。新規・打合せどちらであっても、商品を売るのではなく、新郎新婦の結婚式後の人生にもフォーカスして、そのクオリティに影響するために何を提案するか。2 人の人生を豊かにすることこそが私たちのゴールであり、そのツールとしてビデオ、アフターブーケ、アルバムなどが存在しているという考えです。」
仁藤「そのためには、2 人の人生に寄り添って、キチンとストーリーを作って語れなければなりません。例えば、前撮りを提案する場合。前撮りを売ることが目的だと、『結婚式当日はバタバタしてしまい、撮り足りなくて悲しい思いしてしまう人も多いです』など、どちらかと言えばネガティブな話から価値を語ってしまいます。そうではなく、結婚式当日には、とにかく大切なゲストと一緒に気兼ねなく泣いて笑って大騒ぎしてもらいたい。ただせっかくの結婚式だから、やはり素敵な写真も残してほしいからこそ、自分史上一番整った環境で前撮りをしましょうと。そうすれば当日泣いて笑ってどれだけお化粧が崩れても、気にはならない。つまり、結婚式一日を思う存分楽しんでもらうために、前撮りは別立てで考えてみませんかとなるわけです。2 人が不安になることを材料にして商品を売るのか、それともワクワクさせてあげられるのかは、プロのプランナーと、プロになりきれていないプランナーの違いで、結局のところ何を目的にしているかによって変わってきます。」
――その前提としては、やはり良い結婚式を作っているかどうかで左右されます。
仁藤「ストーリーを語るためには、2 人やゲストに入り込み、2 人ならではの結婚式を作っていなければ出来ません。新郎新婦の話を深く聞いて、この2 人だったらこういう結婚式という流れの中からストーリーが生まれてきますから。仮にお父さんのことをすごく好きな新婦であれば、お父さんと腕を組んでいる写真をアルバムの見開き部分に載せてもいいわけです。仮に50年後にはお父さんが亡くなってるかもしれないけれど、いつでもアルバムを広げればその瞬間を思い出せると言ってあげられます。良い結婚式を作ろうという志は大前提で、それを作るためにとにかく新郎新婦のことをより深く知っていく。さらにその後の人生に繋がっていくためには何が必要なのか。その想いの中から、こうしたツールがありますと語っていくことこそ自然です。」
――記録用は見ないから売れない、写真もデータだけで良いなど、ユーザーの傾向を意識する余りになかなか提案し切れないプランナーもいます。
仁藤「注意すべきは、結婚式をリーズナブルにしてあげることが自分の介在価値で、それで2 人から良い人と思われると勘違いしていないかということ。安くして信頼を得るのは実に安易で、そうではなくこれからの人生のために投資をしましょうといったことを言ってあげられれば、2 人からの本来の信頼が得られます。少し厳しく言うと、安くしたから新郎新婦が喜んでくれて信頼してくれたというのは自己満足に過ぎず、実は2 人のこれからの人生にとって必要なものを提供できなかったのはマイナスになっているわけです。例えば写真についても、一生に一度の大切な日の記録を、安いからと言ってデータにすればほぼ見ないですから。これは新規でも同様で、2 人のために上司にお願いをしてディスカウントしてもらい、それで良い人と思われて成約するのは本当のプロとは言えません。」
――今の時代、結婚式を実施するのはある程度経済的に余裕のある人ですが、始めから売れないと考えてプランナー側が安くしてしまっている風潮も課題なのではと考えます。
仁藤「私が常に言っているのは、新郎新婦の財布とプランナー自身の財布は違うということ。例えばビデオ商品が30万円だとして、プランナー個人の金銭感覚としてはそれを高いと感じてしまうものです。結婚式をしている時点で自分とは経済力が違うと認識し、絶対に自らの金銭感覚で2 人を値踏みしてはいけません。と同時に、高い商品を紹介するのが怖いという感覚に対し、2 人は良いものを紹介したから選んでいるという自信を持つべきでしょう。」
仁藤「最近では記録DVDの受注率も下がっているため、始めから怖がってエンドロールだけの話をしてしまうプランナーもいます。ただ好きな映画を思い浮かべてみると、エンドロールはダイジェストの予告編であり、本編を見ないで満足する人はいません。結婚式という2 人が主役の一つの映画作品を、予告編だけでいいのか。さらに言えば曲の入っているエンドロールだけでは、記憶も薄れていく中で、ウェルカムスピーチや友人の言葉、新郎の親の言葉は残らないわけです。そこで大切になってくるのは、『私は絶対後々も見たいと思えるような結婚式を作るので、信じて30万円投資しませんか』という覚悟と自信。良い結婚式であれば、買った人からは薦めてもらって良かったと必ず言われます。それもまた、その後の人生のクオリティアップというゴールです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)