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《Talk Session―AI活用―》高性能マイクで集音【Idein 代表取締役CEO中村晃一氏/TIPLOG 代表取締役CEO 高津 守氏】
TIPLOG(東京都大田区)は、エッジAI技術で多くのメガ企業と取引実績を持つIdein(東京都千代田区)と共同で、ブライダル業界向けのAIサービスを開始した。プランナーと新郎新婦の商談を高性能マイクで集音しておくことで、プランナーの業務効率化を図りつつ、教育などにも活用していく。最終的にはビッグデータとして新たなサービスを生み出す可能性も含めて、技術力の高いサービス展開に高津社長、中村社長の両氏は期待を高めている。
誤変換は10%以下の性能
――ブライダル向けの新たなAIシステムの内容とは。
高津「ブライダル業界のDX化の中で、今まで手付かずだった商談の場、商談をした後のバックヤードでプランナーが事務処理をする、パートナーへの引き継ぎ部分の削減に着手していきます。AIを使った商談の集音サービスを、今回Ideinと共同でブライダル業界向けにリリースしました。具体的には高性能な集音マイクを商談テーブル上に置いて、商談が始まると自動的に集音を開始。商談の音声を話者分離し、すべての会話をテキスト化します。ブライダルの接客現場では、隣で同じような打合せをしていることもあり、iPhoneやiPad、その他の集音マイクを使った場合には、周囲の声も広く拾ってしまい、収集したデータの精度はあまり高くありませんでした。今回使用するマイクは、角度の調整やこのエリアは集音しないといった設定も可能で、限定的に顧客とプランナーの声を集音します。周囲のノイズもしっかりカットし、質の高さが強みとなります。」
中村「当社では大手携帯キャリアとの取り組みの中で、カスタマーハラスメント対策用のマイクを開発し、それを全店舗のカウンターに設置しています。その知見と経験を活かし、今回ライダル業界向けのサービス展開となりました。」
高津「実際にiPhoneと当社の集音マイクで文字変換の誤り率を分析した結果、当社製の正解率は90%以上で誤変換は非常に少なく、一方iPhoneでは80%を下回り、20%以上の誤変換というデータが出ています。例えばゼクシィを【セクシー】と誤変換するなど、意味の通じる範囲ならまだしも、全く意味不明な変換になることもあって、接客者自身も何を言っていたのか分からないという状態になってしまいます。今回提供していくマイク性能は、現在の音声処理技術の中でもトップレベルであると考えています。」
――携帯キャリアの全店舗に導入されたという話は、技術への信用にもなりますね。
中村「大手キャリアの事例で言うと、カスタマーハラスメント対策を重視していました。この業界では過去に高額な商品や抱き合わせ販売なども問題となり、特に高齢者が内容を理解しないまま契約してしまうケースもありました。こうした問題に対して、説明責任を果たしていたか否かの証跡を残さなくてはならない。このような背景から、マイクの設置には、後々のトラブルを防ぐためにデータを記録しておきたいという企業側の意向がありました。また、マイクを設置することで現場スタッフの心理的安全性も確保され、クレーム抑止の効果も出てきます。実際、マイクがあることでユーザーの態度も軟化し、スタッフとのやり取りはスムーズになることもありますから。AI以前の技術段階で企業と打合せをしながら、プロンプト設計により解決しています。すべてのデータをテキストで記録し、必要な部分をプロンプトで指定して書き出すという仕組みです。例えば顧客が怒っているのか、感謝しているのか、様々な表現のキーワードを抽出することで、感情に関する情報をデータ化。すべてのデータを保有した上で、該当するキーワードを抽出するというのがプロンプトの役割であり、そうしたタスクを正確に実行できるのが我々の技術です。」
中村「もう一つ伝えたいのは、現場のデータを取得することのハードルは非常に高いということです。というのも、現場の協力がなければ実現できません。大手キャリアショップや駅の事例でも同様で、『録音します』と顧客に説明し、同意を得たうえでボタンを押して録音を開始し、終了時にもボタンを押すという操作が必要になると、現場では大きな負担となり反発を招きます。その点、我々の提供している技術の場合は、小型マイクをカウンターに置くだけで自動的に録音は始まり、現場でボタンを押す手間もなくなる。こうした【現場の手間を省く設計】を評価されていて、現場の納得感から協力してデータも取れるようになります。データを確実に取得できるという点で、経営層と現場をつなぐ有効なツールだと考えています。」
――会場にとっては、具体的にどのように活用していけるでしょうか。
高津「まずファーストステップとしては、商談を集音、データとして記録しておくことで、ブライダル業界で頻発する【言った言わない】のトラブルを防止できます。次のステップとしては、業務効率化です。話者分離された音声を要約し、一問一答形式でプロンプトに落とし込み、システムに自動入力できる形にしていきます。現在各システム会社と、API連携の構想も進行中です。さらにサードステップとして、教育があります。従来は成約率が下がるとロールプレイングを行うというような属人的な教育を実施していました。それも音声データと要約テキストを分析することによって、カウンセリングが弱い、クロージングトークが不十分といった実態を把握でき、それに基づく教育も可能になります。最終段階としては、質の高いデータを大量に集めることで、ビッグデータとしてAIエージェントなどの土台になっていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月1日号)

