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キーマンに聞く

《納得を引き出す営業テクニック-Vol.15-》『価値観形成』は自社の不利を逆転する力【ビーハイライト 代表取締役 濱田 大輝氏】
希望を否定せず選ぶ基準を追加させる
前回の連載では、ヒアリングの目的を①関係構築、②ニーズの把握、③価値観形成の3 つに整理しました。今号は、最も難しい③価値観形成を説明します。ブライダルの接客においては、さまざまな場面で価値観形成が必要になります。ただ、別の業種で考えた方が、分かりやすいこともあります。車のディーラーを例にして、考えてみましょう。
あなたは、ある小さな会社で車のディーラーをしています。あなたが扱っているのは速さよりも安全性が高く、乗り心地のいい車が中心です。そこへ、「速い車が欲しい」という人が来店しました。あなたなら、どう接客するでしょうか。「この車は安全です」と説明しても、その人が求めているのは速さです。こちらの強みを伝えるだけでは、向こうの選ぶ基準は変わりません。ここで、ヒアリングで掘り下げていくことが重要になります。
話を聞くと、その男性は最近子どもが生まれたということ。もともと運転が趣味で、気持ちよく走りたいそうです。だからといって、「子どもがいるなら安全な車にすべき」と結論づけてはいけません。運転を楽しみたい気持ちも、大切な価値観です。
そこで、「速い車にどんな魅力を感じていますか」と質問すると、「気持ちよく感じるから」と答えが返ってきました。ここで、自分の商品に結びつけるヒントを得たことになります。私ならこう提案します。
「いただいたご希望であれば、絶対お勧めしたいのはこちらの車です。速い車には運転する気持ちよさがありますが、速い車でなくても、気持ちよく走れる車はあるんです。この車はあえて車体を低く設計しているので、スピードを出しにくい街乗りでも速さを感じられます。普段の道でも運転を楽しめますよ。また、安全性や乗り心地にも配慮しているので、ご家族とのお出かけにも合います。運転する楽しさと、ご家族が快適に過ごせること。両方を大切にできる車です。」
最初は『速さ』が選ぶ基準でしたが、そこに『普段の運転でも気持ちよく走れること』という新しい基準が加わります。希望を否定せず、その奥にある理由から商品の価値を伝える。これが『価値観形成』です。ブライダルの接客現場においても、希望の理由まで聞くと、新郎新婦がまだ気づいていない、自社施設を選ぶ理由を一緒につくれるのです。
目の前の顧客の価値観を否定せず、新しい価値観を植え付ける。これができることで、自社会場と希望にズレのある新郎新婦だとしても、1 %でも成約率を上げるきっかけになるのです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)

