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《いい結婚式に繋がるプランニングのこだわり》『進行』の流れにこだわる【ブラス エグゼクティブプランナー アージェントパルム 副支配人 藤井菜実氏】
連載5回目は、『ストーリー(進行)の流れにこだわる』について話していきたいと思います。
披露宴の中にはケーキカットやスピーチ、お色直しなど様々なシーンがあります。各シーンを創り込むのはもちろん、その前後の「流れ」を考えることはとても大事です。会場がどんな雰囲気になり、新郎新婦やゲストはどういう感情になるのかをイメージして、進行全体の流れを構成する。各シーンをどんな流れで、どう繋ぐか。結婚式全体の流れで、感動は大きく左右されるのです。
分かりやすい例で説明してみましょう。まずは残念な流れから。例えば、披露宴の乾杯シーンで場の空気が一気に盛り上がるとします。その後すぐに、新婦友人の感動的なスピーチが始まったとしたら。にぎやかな雰囲気の中で、その友人はもちろん、新婦やゲストも感動に浸りきれないことは容易に想像できます。では、良い流れはどうでしょうか。例えば、お色直しで新郎新婦がアップテンポな曲に合わせてダンスをしながら入場するとします。会場が盛り上がっている流れで、間髪入れずに友人の楽しい余興が入れば、高揚感をもたせたまま見てもらうことができます。このように、盛り上がりや感動のシーンを重ねる流れもありますが、その一方で「重ねすぎない」というのも大切です。
ウエディング以外の分かりやすい事例として、アーティストのライブを想像してみてください。例えば、拳を突き上げて盛り上がる楽曲が4〜5曲続くとどうでしょうか。「楽しいけど疲れる」となるのが想像できるはずです。一方で、しっとりとした泣ける曲が続くと、結果として数曲目には泣けなくなってしまうというケースも。
結婚式も同様です。人はストーリーの中に、起伏があるほど感動するもの。盛り上がるシーンを繋げすぎるとゲストは疲れ、サプライズが続くと『またか』と驚きも薄れてしまう。もっとも、盛り上がるシーンは3つまでなら繋げてOK、感動シーンは2つまでという単純なものではありません。結婚式自体はそもそもハッピーで、すべてが素敵なシーン。だからこそ、式場側の都合で、安易に進行を組んではいけないのです。結婚式は、新郎新婦やゲストなど『人』がいてこそ成り立つもの。人が関わる以上、感情は絶対に生まれます。その時、どういう感情になって、次はこういう感情になるだろう、と想像力を働かせる。単に紙の上で時間を組むのではなく、感情をイメージしながら進行を考える。それが、プランナーの介在価値だと思います。
そのために大事なのは、まずは、たくさんの結婚式を見ること。この流れだとこんな雰囲気になる、こんな感情になっていると気付くことが必要です。また、打合せでは、新郎新婦のことはもちろん、ゲストがどういう人たちかを事前に知ることが大事。ゲストとの思い出やエピソードをヒアリングする中で、盛り上がりや場の空気を想像する。正解はないけれど、全部を掛け合わせることで、『いい流れ』は完成します。また、流れを生かすために唐突感を出さないこともポイントの1つ。ゲストが「なぜこの演出なんだろう?」と疑問を持ってしまうと、そこに感動は生まれません。その演出をやるためのストーリーを、伏線として用意することも意識しています。
流れを止めない・間をつくらない
さらに、『流れを止めない』こともポイント。例えば、先日私が担当したカップルは、お酒が大好きな2人。みんなで飲んで楽しめる1日を希望していたこともあり、テーマを『乾杯』に設定。「披露宴が始まったらすぐ、乾杯ラウンドとして新郎新婦が各卓を周って乾杯しましょう!」と提案したところ、「その時に各卓で写真を撮りたい」と希望されました。しかし、「乾杯!ではこのテーブルのみなさんで撮影しますよ!」と全卓でやると時間がかかり、盛り上がったゲストの気持ちが薄れてしまうと考えました。そこで、まずは乾杯ラウンドとして全卓を一気に周り、各卓のゲストと乾杯する。その後、時間をあけてテーブルフォトを組みました。また、『今はなんの時間だろう?』という変な間も、感動を薄れさせてしまうので注意が必要です。
新郎新婦に言われた通りに進行を組むのではなく、プランナー自身がしっかりと想像して、丁寧に創り込む。「各シーンをどう繋いでいくか」。流れまでこだわることで、結婚式の感動は何倍にもなり、新郎新婦やゲストの心に刻まれるのだと、私は思います。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月21日号)

