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家族・親族重視の傾向を反映した大幅改定を実施 補償対象範囲に祖父母を追加【あそしあ少額短期保険 執行役員 ブライダル営業部長 小市大輔氏】
あそしあ少額短期保険(東京都千代田区)は6月10日、様々な事由による結婚式中止の損害をカバーする結婚式総合保険『佳き日のために』を改定する。1点目は死亡、家屋の損害事項などの項目について、補償範囲の拡大。2点目は天災の場合の対象の追加、災害救助法も適用されるようになったこと。3点目は免責の撤廃と補償限度額の増額だ。改定の背景、今後への影響などを執行役員の小市大輔氏に聞いた。
祖父母・実家を追加
――この6 月に、結婚式総合保険を大幅に改定します。そのひとつとして、結婚式当日までの各種補償についてその対象範囲を拡大します。
小市「まず死亡による結婚式中止の場合の補償対象は、これまで新郎新婦、父母、子、兄弟姉妹でしたが、そこに祖父母を追加しました。また7 日以上の継続入院についても新郎新婦、父母、子だった対象に祖父母を加えています。もうひとつは火災や水災、地震など災害による家屋・家財の損害が発生した場合の結婚式中止についても、これまでは新郎新婦の自宅のみ対象だったのに対し、2 人の実家も追加しています。」
大雨・大雪時の対応
――災害時の補償についても変更となっています。
小市「従来の自然災害時の対応については、特別警報が発令されて結婚式を中止すると補償対象でしたが、特約を付すことにより、災害救助法が発令された場合にも支払いを行うよう対象を拡大します。と言うのも、特別警報の発令は豪雨や台風などが主で、実際に大雪で特別警報が発令されたことはこれまで一度もありません。大雪の場合には、特別警報ではなく災害救助法が適用されるわけです。そこで特別警報だけを対象にしたままでは、本当に困って結婚式を中止せざるを得ない場合をカバーできないという課題を解決するため、より実態に即した形で災害救助法の適用時も補償対象に追加することにしました。特別警報の場合は豪雨や台風時などが対象になり、災害救助法は大雪。それ以外にも、今年発生した大船渡の山火事のような事例も想定されます。山火事のケースでも住民の避難が求められていました。そうなると結婚式どころではないために、中止の選択肢も出てきます。」
――今回の改定により、対象となる期間やエリアが拡大する可能性も出てくるかと。小市「基本として結婚式の開催日当日、前日、前々日の3 日間のいずれかにおいて、特別警報が発令されるか、災害救助法が適用されれば補償の対象になります。例えば週末に台風の上陸によって特別警報が発令され、その後に河川の氾濫などで災害救助法の適用という可能性もあります。台風の場合は、後々他の地域に甚大な被害をもたらし、そこで災害救助法というケースもあるでしょう。そうした点からも、適用の期日は増えるでしょうし、またその対象となるエリアについてもこれまでよりさらに広がる可能性は出てくると考えています。」
災害時に実家を追加
――前述の災害エリアについて、これまでは結婚式場の所在する地域、または新郎新婦の居住する地域が対象でした。これも追加対応しています。
小市「今回の改定では、新郎新婦の実家が所在する地域も追加しました。例えば東京に居住していてそこで結婚式をする新郎新婦がいたとします。台風が上陸した時に東京は全く問題なかったとしても、九州の実家が大きな災害を被っているということは充分に想定できます。そうなれば実家から家族も来られない状況で、果たして結婚式を実施すべきかどうかを悩むのも当然で、そうした場合に実家も対象エリアにしておけば、その日に中止をするという選択肢も与えられます。」
家族、親族重視の傾向
――補償範囲に祖父母の追加、天災の際に実家を含めたという今回の改定を考えると、家族・親族を重視する最近の新郎新婦の意識に合わせた部分も大きいのでは。
小市「最近の状況を考慮すれば、家族のために結婚式を実施するという意識は高まっていますし、そうである以上、家族が出席できない状況で結婚式を中止するという選択肢を持てるように、中止に伴う負担を保険でカバーする必要があります。当初、結婚式保険を作った時期は、祖父母が入院しても結婚式は当たり前のように実施していましたし、補償に入れる必要性もそれほど感じていませんでした。それから10年経って、確実に変化しています。」
免責の撤廃
――それ以外には、結婚式会場の破損・汚損の場合の自己負担3 万円を撤廃しました。
小市「免責額というのは保険加入者の自己負担のことで、結婚式の会場の破損・汚損があった場合、これまでの1 万6000円、3 万60000円のプランでは3 万円に設定していました。つまり両プランの加入者に対しては、10万円の請求があった場合に、3 万円を引いた7 万円を補償の対象にしていました。もっともこの補償については衣裳の破損トラブルのケースが多く、そうなると貸衣裳の請求が仮に4 万円であれば、免責3 万円を引いて1 万円しか補償の対象になりませんでした。新郎新婦、会場の声を受け、今回免責を撤廃し全額補償としました。同時に貸衣裳の破損の場合の補償限度額についても、これまで30万円までだったのに対し、50万円に引き上げました。」
保険料改定
―― 3 プランの保険料も変更しました(上図)。
小市「祖父母や実家などの補償範囲の拡大など大幅な改定に伴い、基本保険料は1 万8200円、3 万8200円、5 万8200円の3 プランに。プラス7800円で、大雨・大雪特約を基本プランに追加することが出来ます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月1日号)