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初挑戦で掴んだ総合2位【NEEDS仙台 by T&G WEDDING キュイジニエ 佐井正人氏】
テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)の運営する『N E E D S仙台 b yT&G WEDDING』のキュイジニエ・佐井正人氏(24歳)は、6月6日に開催された『第44回フランス料理最優秀見習い料理人選抜コンクール』で、同社では過去最高の総合2位を獲得した。デザートや前菜を担当する中、肉、魚の火入れ技術を伸ばそうと大会に初出場。シェフの指導を受けながら課題の3品を磨いた佐井氏に、練習での試行錯誤と、受賞後の婚礼料理への向き合い方を聞いた。
≪食材に囲まれた幼少期≫
佐井「母は調理師の仕事をしていて、祖父母は農家を営んでいたため、幼い頃から料理や食材が身近にある環境で育ちました。もともと食べるのも好きで自分で料理を作ることも多く、生活の一部でした。調理師学校で日本食を専攻したのは、実家で作っている米を生かしたいという考えもあったから。一方、学校の授業でフランス料理に触れた際、先生から歴史や郷土料理の話を聞き、もともと歴史が好きだったこともあり、どんどん惹かれていきました。」
佐井「就職先を探していた時、T&Gの求人に記載されていた『100人前の料理を作るのではなく、1 人前を100皿作る』という言葉に心を動かされました。それまで婚礼料理は一定数をまとめて作る“大量調理”のイメージだったため、レストラン以外でも一皿ずつ向き合えることに驚いたのを覚えています。本格的なフランス料理を提供している点にも惹かれ、T&Gでスキルを磨きたいと。入社後は地元の秋田から近い仙台を配属先に希望し、デザートや前菜、ポタージュなどを担当してきました。一方、肉、魚の火入れはまだ任されておらず、自分も技術を身につけ列席者に提供できるようになることが、コンクールに挑む目的の1 つでした。」
≪各地のシェフに学ぶ≫
佐井「大会のことを知ったのは入社した頃で、年齢の近い先輩から、『出場すれば肉を焼く経験ができ、様々なシェフに名前を覚えてもらえる』と聞きました。普段の厨房では分担して調理するため、最初から最後まで自分だけで一皿を仕上げる機会はなく、未経験の工程に挑んで技術の幅を広げようと。練習を始めたのは昨年の9 月後半頃で、それ以降は平日は基本的に毎日取組み、土日は施行もあるので、3 品のうち1 品だけに絞る形でスケジュールを調整しました。3 品を通して作ると約2時間半、準備や片付けまで含めると平均3 時間ほどです。」
佐井「仕込みを終えてからの練習では、シェフが毎日一緒に仕上がりを見てくれました。他のメンバーも仕事の終わりが見えてくると、練習に向かえるよう配慮してくれました。勉強も兼ねて東京や静岡の沼津など、当社運営の他店へ応援に行く機会もあり、大会出場経験のある人を始め、出場者を育てたシェフに、練習にあたり疑問に思った点を積極的に尋ねるようにしていました。魚料理に使う舌平目は仙台では手に入りにくく、各地のシェフが送ってくれたり、取引先を紹介してくれたりしたことも感謝しています。その助けがなければ、十分に魚料理を練習することさえ難しかったです。大会への準備を通じて、今でも連絡を取り合えるつながりができたことも、大きな財産になったと思います。」
≪器具の違いと火入れ≫
佐井「舌平目を魚の出汁と白ワインで加熱し、骨を取り除いてから元の形に戻す工程は特に難所でした。初めはうまくできず苦戦したものの、練習を重ね、本番では1 番自信のある料理に。牛フィレ肉のポワレは煙が出るほど強い火にせず、焼き色の付く温度を保ちながら、できるだけフライパンの中で仕上げ、ソースも時間内に十分煮詰めて濃度を加えることを心掛けました。肉の火入れに関しては、先輩シェフから繰り返し指導を受けた部分です。」
佐井「最も難しかったのは、デザートのクレームキャラメル。ひび割れ、側面に小さな穴ができる『す』を抑えながら、きちんと固める必要もありました。また、型から抜く際は包丁を使えず、指先だけで外さなければならず、最後まできれいに抜くことに苦労しました。本番で一番良い状態に仕上がったのは、練習を重ねた結果だと思います。一方、魚のソースは、普段と違う鍋だったため加熱に時間を取られ、煮汁に生クリームを加えて十分に煮詰め最後にバターで濃度を付けるところまで、狙った状態に持っていけませんでした。魚にかけた時に輪郭が見えすぎ、ソースで覆うような仕上がりにできなかった点は、今回の反省点です。」
佐井「当日は多くの審査員から見られることに緊張したものの、十分練習してきた自負もあったので、あとはそれを出すだけだと思えました。講評ではポワレの再現性、プリンの『す』の少なさ、カラメルの濃さを褒めてもらい、舌平目の骨を外して形を戻す工程もきれいだったと評価されました。総合2 位を知った時は、教えてくれたシェフに良い報告ができると嬉しかったです。身に付けた技術が全国の場で通用したことも、自信につながりました。後日、母校の専門学校を訪ねると、すでに結果を知っていて喜んでくれたことも印象的です。」
≪試食料理のメインを担当≫
佐井「大会後は、カップルの試食料理をシェフから任され、メインの肉を焼くチャンスも得ています。自分で3 品を最初から最後まで仕上げる大変さを経験し、それを100皿規模で提供する厨房は、1 人では成り立たない仕事だと改めて実感しました。一緒に仕上げるシェフや仲間への感謝を忘れず、周囲に気を配り、チームとして動きやすい厨房にしていきたいと思っています。結婚式が初めてフランス料理に触れる機会という人も少なくないので、美味しかったと思ってもらえる一皿を届けたいですね。祖父母が農家を営むルーツも生かし、日本の食材を自分なりに解釈してフランス料理に仕立て、いずれは自身の店で腕を振るえる料理人を目指していきたいです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月21日号)

