LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

連載6《AIで進める構造改革》AI活用の目的はプランナーを本来の仕事に戻す【ニュー・バリュー・フロンティア 取締役 金増宏輝氏】
「今日は一日、パソコンに向かっていた気がする」。打合せを終えたプランナーから、そんな言葉を何度も聞きました。打合せ前には、前回までの内容を確認し2人の希望を整理。打合せ後には、議事録をまとめ、決定事項を入力し、見積りを直し、各部署へ共有し、次回までの宿題を整理します。
婚礼では、一つの入力ミスや共有漏れで、一生に一度の日を傷つけてしまいます。進行表に残らなかった一行、厨房に届かなかったアレルギーの情報など取り返しのつかないからこそ、現場は守りを固めます。チェック項目を増やし、ダブルチェック。確認表をつくる、別のシステムにも入力する。どれも必要なリスクヘッジです。そして、丁寧な人ほど作業は増えていきます。
業務過多の正体はこの循環で、個人の頑張りでは、抜け出せません。そして本当の問題は、この循環が「考える時間」から先に奪っていくこと。
打合せ前の「この二人には、何を提案すれば喜んでもらえるだろう」。打合せ後の「今日の会話から、次は何を提案しよう」。プランナーが最も価値を発揮するのは、この前後の時間のはずです。ただ処理と確認に追われると、打合せそのものが「決める項目を漏れなく処理する場」に変わっていきます。
失われるのは、単価アップの機会だけではありません。2人の期待を超える一言、その機会そのものです。最初に考えるべきは、打合せ回数を減らすことではありません。「人が入力し、人が確認し、人がまた確認する仕事」を、どう減らすかです。
ここに、AIを使う価値があります。打合せ内容をAIで整理し、決定事項、未決定事項、宿題、次回の確認事項を抽出。過去の内容との食い違いや確認漏れも、AIに拾わせます。AIに任せるのは、整理と確認。何を提案するかを決めるのは、これまでどおりプランナーです。そうして戻ってきた時間を、「この二人のために何を考えるか」に返す。AI活用の目的は、人を減らすことではなく、プランナーをプランナーの仕事に戻すことです。
<今日から使えるAIプロンプト>
ChatGPTやGeminiに、打合せメモを貼って試してください。走り書きの箇条書きで十分です。「以下の打合せ内容から、①決定事項、②未決定事項、③新郎新婦と式場側それぞれの宿題、④前回内容との矛盾や確認漏れ、⑤次回確認すべきこと、⑥次回提案すると良い商品や演出、を整理してください。推測はせず、不明なものは『要確認』としてください。」※2人の氏名や連絡先は伏せ、社内の利用ルールを確認したうえで使ってください。
見るべきは、何分削減できたかではなく、その時間で提案がいくつ増えたか。そこまで確かめて、はじめて業務改善と言えるはずです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月21日号)

