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キーマンに聞く

家族の理念式をプロデュース【サムシングフォー 代表取締役 岸本裕子氏】
新郎新婦がこれからの人生をどう一緒に歩んでいくかを考え、ゲストに宣言する【理念式】を展開するサムシングフォー(岡山県倉敷市)。自社施設のほか、山梨、名古屋の式場とフランチャイズ(FC)契約も結んでおり、結婚式の本質に向き合うことを訴求している。7月4日には、選択的シングルマザーとして、2人の子どもを育てる女性の【家族の理念式】をプロデュース。その様子を追うと同時に、代表取締役・岸本裕子氏に、理念を立てる重要性などを改めて聞いた。
式後の幸せを願う
――『理念式』をスタートしたキッカケを教えて下さい。
岸本「正式なプロダクトとして、自社会場で案内を開始したのは2021年。ただそれ以前から、『夫婦の理念』を立てることは行っていました。いい結婚式を創るのはもちろんのこと、『長く幸せでいてほしい』との想いで、その後の夫婦の関係性にも介在できればと、スタートしたものになります。当社はもともと企業理念を立てていなかったのですが、明確に掲げたことで、一体感の醸成に繋がりました。それぞれのポジションと役割において考えの異なる場合でも、理念があるから原点に戻れることもでき、それを基にブレない判断を出せるようになります。これは会社経営だけでなく、夫婦としても同じことなのではないかと思ったのが、キッカケとなっています。これまでの顧客の中には、『結婚はしたが、夫婦別の道を歩むことにした』というケースもゼロではなく、どれだけいい結婚式をプロデュースしたとしても、その先の人生を幸せにする難しさを感じていたのも、企画背景の1 つとなっています。夫婦の理念を立てたことで、結果として誓いの言葉に使う新郎新婦も多くなり、正式な“プロダクト”にして案内しようと『理念式』が誕生した流れです。2023年に書籍を出版したこともあって、数はそう多くはないものの、エリア外の新郎新婦から『理念式をやりたい』と直接問合せを受けたこともあります。」
―― 2 人の理念を作るといっても、「考えたこともなかった」というケースが大半かと思います。理念を立てるまでの、具体的なプロセスは。
岸本「当社運営会場では、全組3 時間ほどかけて夫婦の理念を立てることから式の準備をスタートする流れ。新規の段階ですでに案内をしているので、皆さんスムーズに取り組んでいる印象です。事例も多く溜まっていて、先輩夫婦のムービーも見せているほか、ワークシートを用意。夫婦になるとはいえお互いの歩みを知らないことも多いですから、どんな体験を経てその価値観に繋がっているのか、ワークシートを通じて紐解いていくイメージです。例えば、『自分の親は理想の夫婦像なのか』との設問に『あまりそうは思わない』ということであれば、なぜその考えになっているかを深掘りします。それ以外にも、『幸せに感じる瞬間はどういった時か』などをシェアしていく流れです。また、感謝、譲り合い、笑顔といった約50個の単語が書かれたシートから、大切だと思うものをいくつか選んでもらう価値観診断も実施しています。最終的な理念を決めるのは2 人であって、プランナーは壁打ちの“壁”の役割です。これからの人生は2 人のものなので、理念はプランナーから提案するのではなく、新郎新婦で考えることとしています。式のコンセプトであればプロ目線で提案するのもいいですが、人生観や物事の深い考えは、他人ではなく自分で決めてほしいと思っています。理念が決まると、結婚式の準備をしやすくなるのもポイント。実現したい理想の未来像を最初に設定しているので、そのためにはどんな結婚式がふさわしいかを考える『バックキャスティング』となります。大切なものをきちんと明確にできていれば、『友達がこんな演出を入れていて、素敵だったから私もやってみたい』といった考えではなく、2 人に本来ふさわしいものを組み込んでいくという意味で、結婚式の準備においても様々なことに“惑わされず”に済むわけです。生まれ育った環境が違えば、考えや価値観が異なるのは当然のこと。こうした対話の機会はそう多くはないからこそ、自分の想いを伝え相手を理解しようとすることは、夫婦にとっての“成功体験”とも言えます。」
―― 7 月4 日には名古屋で、『家族の理念式』をプロデュースしたそうですね。
自身の生き方を伝える
岸本「FC契約を結ぶアールベルアンジェ名古屋に、女性から『ソロウエディングをしたい』と問合せがありました。その女性は、結婚という形に限らず、自らの意思で子どもを持ち育てることを選んだ選択的シングルマザー。詳細を聞いていくと、『今後誰かと入籍する予定はない。6 歳の息子と1 歳の娘の3 人家族で今後の人生を歩んでいくため、この生き方を周りの人に理解してもらいたい』ということでした。家族旅行を兼ねたフォトなども考えたそうですが、『分からないことも多いから』と式場紹介のカウンターに行ったところ、アールベルアンジェ名古屋を紹介され、式場の担当プランナーが、『これはもう理念式しかない』と。この会場でのFC契約は、理念を作るセッションは当社で担う流れなので、私の所に連絡が入ったという経緯です。実際に女性から話を聞いてみると、『自分の生き方や考えをあまり説明できていない』とのことでした。それならばと、今回は夫婦ではなく『家族の理念』として、理念式を実施することが決まりました。セッションを通じ紡いだ理念は、『今 この時間をたいせつにする』。たくさんの人に支えられながら今日を過ごしていること。その感謝の気持ちを忘れず、今しかない尊い時間を生きていくという想いを込めたものになりました。」
岸本「当日は、両親をはじめ家族も式に参加。理念式では、なぜあなたとこれからの人生を生きていこうと思ったかの『告白』を組み込んでいますが、その部分は6 歳の男の子との手紙交換にアレンジ。涙を拭いながら一生懸命手紙を読む男の子の姿は、とても印象的でした。理念の宣言もお子さんと一緒に実施し、1 歳の女の子がママの側に駆け寄る様子も見られ、とても温かい和やかな雰囲気でした。女性の生き方を応援する周囲の想いを感じ取ることもできました。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)

