LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

連載9 ローカル会場【勝利の方程式】ゼクシィ広告を半減しても成果を出す【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載9 ローカル会場【勝利の方程式】ゼクシィ広告を半減しても成果を出す【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

第7 回・第8 回の連載で「推奨経由来館」とそのAI活用を取り上げました。今回は、実際にこの集客構造が機能している会場の事例を紹介していきます。地方で年間120組規模のゲストハウスとなります。

この会場の特徴は、ゼクシィが価格改定をした2024年3 月以前と比べて、ゼクシィ本誌の出稿規模を2 Pから1 Pに縮小しながらも、来館・成約ともに2024年以前の水準の実績を維持していることです。エリア全体の市場は2024年比で約80%まで縮小していますが、この会場の来館数は95%を維持し、来館シェア率も10%前後を保つなど、競合より優位な位置にあります。市場が縮む中で、媒体投資を絞っても結果を出せている。エリアの来館が厳しい中で、この差はどこから来るのでしょうか。来館動機の集計を見ると、その理由の一端が見えます。

過去1 年の来館アンケートを集計すると、「知人の紹介」と「以前から知っていた」が、合わせて全体の約3 割を占めていました。月によっては「以前から知っていた」が単月で過去最多水準を記録することも。一方でゼクシィ本誌・netからの来館も堅調になっていて、つまり媒体と推奨が両立している構造が見えてきます。これは第7 回で示した「ゼクシィ誌面・netで知って、友人や家族の言葉で背中を押されて来館する」という動機形成が、そのまま数字に表れているかたちです。推奨来館は媒体を置き換えるものではなく、媒体を活かす“土壌”として機能しているのです。

要因は3 つあると考えています。第一に、認知の母数を媒体で作り続けていることです。ゼクシィ本誌・netに加え、WEB広告やSNSを通じて「以前から知っていた」状態を継続的に生み出し、推奨を後押しする土台になっています。第二に、来館・成約・施行までの体験品質を高い水準で維持しており、その満足度が次の推奨を生み出す循環になっていること。第三に、過去のカップルや地域コミュニティとの接点を絶やさないことです。式を挙げたカップルとの関係や、地域の事業者・関係者との結びつきが、知人や家族に語り継がれる土壌を作っています。推奨経由来館は、媒体・体験・関係性の3 層が積み重なって初めて機能するのです。

2 月末以降、中東情勢を受けた物価高と消費低迷で、ブライダル市場はさらなる苦境に向かうと見られます。広告費の削減を迫られる会場も増えている中、推奨経由来館の重要性は相対的に高まっています。媒体投資を絞っても集客を維持できる構造を作れるかどうか。この会場の姿は、これからの地方ブライダル企業にとってひとつの参考になるはずです。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月1日&11日合併号)