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![:連載88:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.26「法律改正を受けて『一部免責条項』に注意!」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~](https://bridalnews.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/d2693e224da150b7f3eef427849463e9-220x330.jpg)
:連載88:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.26「法律改正を受けて『一部免責条項』に注意!」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~
昨年6月1日に施行された改正消費者契約法は、新郎新婦など一般消費者との契約において、私たちブライダル事業者にかなり厳しい義務と規制を課す内容となっています。このコラムでは、未だ業界内で対応が不十分と思われる「一部免責条項」への規制について、Q&A形式でまとめます。今すぐに、お手元の規約・約款のチェックをおすすめします。
Q1 「一部免責条項」とは、どのような条項でしょうか?
A1 事業者の落ち度で顧客に損害を与えた、または契約上のサービスを提供できなかった際に、事業者が負うべき責任を一部免責するものです。たとえば、「お客様に損害を与えた場合の賠償範囲はサービス料金の額を上限とします」、または「賠償額の上限はいくらとします」などと取り決める条項が「一部免責条項」です。ブライダル事業において使用される新郎新婦向けの約款や規約内でよく見かける条項で、事業者としては負担する賠償額を一定額に留めておくためには、大切な条項となっています。
Q2 そもそもですが、新郎新婦向けの契約において「全部免責」の条項は有効なのでしょうか?
A2 無効です。消費者契約法において「事業者の落ち度なのに一切責任を負わない」とする規定は無効とされています(同法第8条第1項第1号)ので、仮にそのような条項があっても効力が生じません。 なお、天災地変などの「不可抗力」といえる場面を前提に「サービスを提供できなくても責任を負いません」と規定している条項は、「事業者の落ち度」を前提にした条項ではないですし、責任がなければ賠償義務を負わないのは法律の大原則ですので有効です。そこは混同しないようにしてください。
Q3 それでは、全部ではなく「一部免責」の条項であれば有効なのでしょうか?
A3 それがそう簡単ではないのです。元々消費者契約法において、一部免責の対象とできるのは「原因が事業者の故意または重大な過失ではないもの」に限られています(同法第8条第1項第2号)。つまり、事業者による「軽度な過失」によって新郎新婦などに損害が生じた場合に限って、賠償額の上限などを定める「一部免責条項」が有効に適用されるのです。
「重大な過失」と「軽度な過失」とを明確に区分するのは難しいのですが、事業者による不注意の度合いが甚だしい場合(つまり“凡ミス”の場合)には、いくら約款や規約に「一部免責条項」があってもその効力は認めませんよ、というのが法律の考え方なのです。
Q4 なるほど。では事業者としては、必ず適用されるかどうかは過失の軽重によって異なるけれど、とりあえず約款や規約には「一部免責条項」を入れておくといいですね。
A4 その通りなのですが、その「書き方」について昨年6月1日から施行された改正消費者契約法において新たな規制が課せられまして、新郎新婦などの消費者に対して「故意や重過失の場合には適用されない」ことを明記していない「一部免責条項」は、無効とされました(同法第8条第3項)。
具体例を挙げますと、単に「損害が生じても賠償額は代金額を上限とします」とか、「法令に違反しない限り賠償額はいくらを上限とします」というような書き方では、せっかくの「一部免責条項」自体が無効となってしまうのです。
有効とするためには、「当社に軽過失が認められる場合に限り賠償額は代金額を上限とします」や、「当社に故意または重大な過失がある場合を除き賠償額はいくらを上限とします」という表記が必要となります。
Q5 せっかくの「一部免責条項」が無効となると不安ですね!
A5 その通りです。ぜひ、お手元の新郎新婦等の消費者向け約款または規約の内容が、この改正法に対応できているかどうかご確認下さい。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)

