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キーマンに聞く

コーポレートブランドを策定【ディライト 代表取締役 出口哲也氏】
ディライト(奈良県奈良市)は8月1日、コーポレートブランドを『DLIGHT LIFE&HOTELS(ディライトライフアンドホテルズ)』として、今後の運営方針を明確化していく。2004年にブライダル施設を開業して以降、地元・奈良を中心に展開、現在は東京、福岡をはじめとした各地で婚礼施設を運営している。2020年からはホテル事業にも着手。ブランド立ち上げの背景や今後の展開など、同社代表取締役・出口哲也氏に話を聞いた。
自社の提供する価値を見直す
―― 8 月1 日から、新たなコーポレートブランドを推進しますが、その経緯は。
出口「もともと当社は、綿業の会社でした。奈良公園内にあったホテルが競売にかかり、そこを父親と見に行ったのがサービス業界に足を踏み入れたキッカケです。この場所でウエディングをできたら面白いのではと考え、2004年に第一号店『ザ・ヒルトップテラス奈良』をオープンしました。その後も結婚式場のほかレストラン、フォトスタジオなどを展開し、現在は全国で37店舗を運営しています。」
出口「様々な業態を通じて多くの顧客と接してきたわけですが、コロナ禍になり、自分たちの提供する価値とは何なのかを改めて考えるようになりました。ブライダル企業として、いい結婚式を創り、カップル、周囲の人たちを喜ばせてきたという自負はあった一方で、外の声に耳を傾けてみると『結婚式はもういらないのでは?』、『ゲストとして呼ばれるのは迷惑』といったネガティブな感情を抱く人が一定数いるわけです。サービス業に従事する立場である以上、本来私たちは人を喜ばせることのできる力を秘めている。ブライダルを主軸に事業を展開してはいるものの、あくまでそれは笑顔を生み出す1つの“手段”であるのではないかと考えました。つまり、当社は人を喜ばせるために存在し、多くの人に幸せを提供していくことが最終的なゴールだという意識こそが大切だと。もちろん主軸のブライダル事業にリソースも投下し注力していくわけですが、俯瞰して見た時に、より多くの人たちに関わって、人を喜ばせるという本質をさらに極めていけるのではないかと。そこをゴールとして捉え、会社全体として向かっていくには、明確な言語化が必要ということで、コーポレートブランドを新たに策定しました。」
――ゴールに到達するための、今後の具体的な取り組みをどのように考えていますか。
出口「まずは、スタッフが顧客と向き合える時間をキチンと作っていくこと。これは業界全体の課題だと感じていますが、集客を増やすためにメディアへの広告出稿、マーケティング業務ばかりに注力していると、そこにウェイトが偏り、本来大切なはずの顧客と向き合う時間はどうしても減っていく。スタッフにとってもやりがいを感じにくくなり、優秀な人材ほど辞めてしまう。結果、サービスの質も落ちていく負のスパイラルになってしまいます。ワークライフバランスはもちろん重要ですが、単純に労働時間を短くするだけでは、サービスのクオリティアップには繋がらないのも事実。当社でも労働時間の管理という部分は重視していきながら、同時に経営理念の『喜び上手、喜ばせ上手』も達成していくにはどうしたらいいのか。顧客と向き合える時間をしっかり確保するためにも、業務全体を改めて見直し、それをサポートするDX化は、早急に推進していくべきことの1 つとして考えています。」
――具体的に、どのように業務内容を改善していますか。
出口「例えば、今までレストランでは仕込みも社員で対応していたわけですが、そうした業務をパート人材に任せるなど、根本から1 つずつ見直しています。ただ、こうした業務の課題を一気に解決していくことは難しいのも事実。と言うのも、現在の社内カルチャーを構築するまでにも約10年の時間がかかりましたし、一朝一夕にはいきません。それでも課題解決を進めていくことは必要であり、この1 年はシステムに落とし込むことを進めています。来年度以降は、既存の顧客情報をより精度を高めてしっかり管理・活用していく。さらに3 年後には、顧客データと経営システムを結びつけて、DX化を図っていくことを目指しています。すでに日報作業などはデジタルをうまく活用していますが、それを中長期的に大きな枠組みにしていくイメージですね。」
ホテル事業の秘める可能性
――現在はホテルの出店のほか、運営受託、コンサルティング事業などにも注力しています。
出口「ブライダルというのは他の業種と比較するとリピート産業ではないため、どうしても単発的なアクションに注力しがち。一方でホテルの場合は、施設の特性上、宿泊部門、レストランなど、ハコの中に様々な機能を有しているわけです。こうした点から、ホテル業では顧客との接点をとにかく増やしていくことが大切となります。今夏から新たに掲げていく目標の1 つが、『地域コミュニティを通して革新的なライフスタイルサービスを提供し、そこに集う人々を幸せにする』。コーポレートブランドの人を幸せにする、そのコミュニティを創り出すというゴールに向かっていくイメージです。直営ホテル自体は好調で、緊急事態宣言中の稼働は厳しかったものの、現在は奈良のオーベルジュ、熊本のホテルも稼働率は80%で推移していますし、それをさらにブラッシュアップしていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)

