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周年婚と産業観光の可能性【能作 専務取締役 能作千春氏】
結婚10周年『錫婚』の、アニバーサリーセレモニーを展開している能作(富山県高岡市)。大正5年(1916年)創業の老舗メーカーには、もともと工場見学で年間13万人が訪れていた。そうした中で、より顧客との触れ合いを密にするという目的で、錫婚式のプラン化に至った。産業観光の側面からも、アニバーサリー婚の果たす役割は大きい。今号では、錫婚式立ち上げを担った能作千春氏のセミナーを通じて、その可能性を紹介していく。
ベルの商品化が転機
能作は錫、真鍮の製造販売を手掛け、従業員数は約160名。国内に13店舗のショップを展開している。現代表取締役社長・能作克治氏の長女である能作千春氏は、女性通販カタログ誌の編集の仕事を3 年間務めた後、能作に入社した。
能作のある富山県高岡市は400年前に二代目加賀藩主の前田利長が、町の発展のために鋳物師を連れてきたことを背景に、銅、アルミ製品の生産が日本一の地域であった。能作ではそうした歴史も大切にしながら、砂で型を作り金属を流し込み、一つひとつの製品を職人が磨き上げていく伝統の手作業にこだわって仏具、茶道具、花器を中心に製造してきた。
能作の転機は2002年。仏壇を置く家も少なくなり、お茶、花の文化も変容する中で、社長に就任した克治氏がベルを開発。これは以前から制作していた仏具の【おりん】を転用し、評価の高い音色の素材特性を生かしたわけだが、その後風鈴も開発したところ一躍ヒット商品に。同時に問屋経由の流通経路も、自社での直販に変更した。
その後、店舗スタッフからお皿を作れないかという話が出たものの、真鍮では食品衛生法上製造が出来なかった。そこで安心素材である錫100%の製品に切り替えていった。
錫は柔らかく自由自在に曲げられるという特徴があるため、2008年には一枚の錫の板を自由な形に成型してもらう製品を発売。用途に応じてフルーツトレー、ワインを入れるなど自在に形を変えられることから、国内外で人気となった。熱伝導の高い特性から、錫のビアカップ、酒器もヒット。抗菌性のある素材として、手術道具なども製造している。割れない、錆びにくい、使うたびに味わいのでてくる縁起のいい金属ということで、シェアの80%は贈答品だ。結婚式の引出物、プチギフトのほか、お祝いのプレゼント、企業の記念品として購入されている。そうしたモノづくりが評価され、克治氏は2016年に藍綬褒章を受章している。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月11日号)

