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連載12(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》地域の魅力を発信(ゲスト:サムシングフォー 代表取締役 岸本裕子氏)

連載12(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》地域の魅力を発信(ゲスト:サムシングフォー 代表取締役 岸本裕子氏)

 結婚式場は、地域の中でどのような役割を果たしていくべきか。これまでは地域との接点が希薄だったが、ここにきて様々なイベントを通じていかに利用してもらうかを重視する傾向にシフトしている。同時に、地域の観光・産業振興へも貢献していく。今回のT&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロンは、岡山県倉敷のエリア活性化を進めてきたサムシングフォーの岸本裕子氏をゲストに、大手・地方会場それぞれの役割を語り合った。(前編)

70%が流出するエリア

岸本「T&Gの岡山の店舗は、【8 年越しの花嫁】で話題を集めた会場ですよね。実話の舞台となった岡山の会場を使って撮影したそうですし、倉敷にも撮影に来ていました(笑)。」

岩瀬「映画になり、非常に注目されました。ウェディング・ハイもそうですが、結婚式を題材にした映画が公開されるのはいいことですよね。ポジティブな感情が生まれますから。」

――サムシングフォーは倉敷婚を立ち上げるなど、地域密着の結婚式を展開しています。

岸本「当社は倉敷の古くからの町並みが保存されている美観地区に1 施設、郊外にもう1 施設を展開しています。美観地区の施設は、江戸時代から230年の歴史がある建物。当社のブライダル事業は25年前に、母がプロデュースからスタートしました。今はないのですが、倉敷チボリ公園のオープンに伴い、そこでの結婚式を実施するなど。他にも美観地区でのロケフォトなど、会場を持たずに地域で結婚式が出来そうな場所を活用してきた経緯があります。」 岩瀬「25年前ですと、全国的にみても先駆けですよね。」

岸本「私が代表になったのは10年前。そのタイミングで美観地区に式場を作り、いわば第二創業期となります。」

岩瀬「倉敷婚は、まさに地元に絞っていった形ですか。」

岸本「倉敷は42万人の人口で、それなりのマーケットなのですが、60~70%が岡山市内に流出しています。結婚式に適した場所がたくさんあるのに、もったいないという想いを以前から持っていました。それならば一つの役割として、倉敷に特化した結婚式を展開していこうと。また岡山県内では一番集客のある観光エリアなのですが、通過地点であることが課題です。観光には来るのですが、宿泊は広島、神戸に行ってしまうというケースが非常に多いです。」

岩瀬「私達も都市部を中心にホテルを展開していますが、目的を持って来てくれる倉敷のような地域に、プラスアルファで価値を生み出すようなことも可能ではと感じています。」

岸本「観光地が駅から近く、町並みは整備されています。電柱も全て地下に埋まっていて、映画のロケ地などで使われることも多い。本当にもったいないという気持ちはあります。」

――地域に密着した結婚式は、観光振興にも貢献することが可能ではないかと。

岸本「結婚式は文化であり、それを今の人たちにも受け入れてもらえる形にして、提供していこうという意識は常にありました。倉敷の中心に川が流れているのですが、10年前に市の観光課に対して、当時は使っていなかった舟を使って、花嫁を乗せた写真を撮らせてほしいと依頼しました。それが実現したことをキッカケに、今ではフォトや、挙式会場から式場までの花嫁道中で使われるようになり、その光景は観光客にも喜ばれています。また流し舟は、一般の観光でも活用されています。町全体を舞台にした結婚式の一つであり、観光コンテンツを掘り起こした形でもあります。」

――地域産業との連携では、デニムのドレスも制作しました。

岸本「倉敷は繊維の街として有名で、なかでも児島はデニムの聖地とも言われています。当時、色落ちしないデニムを開発したメーカーとコラボし、地元の専門学校生からデザインを公募してドレスを3 型・タキシードを作成しました。特にタキシードは人気で、今でも数多く着用されています。地域文化と結婚式を繋ぐという側面でも、出来ることを実施しています。」

岩瀬「倉敷は流出エリアですが、それを食い止めるという想いはもちろん、魅力を訴求することで岡山からも呼び込めればという意識もあるのですか。」

岸本「結婚式場を選ぶ時に、会場の多い岡山市に行ってしまいます。倉敷の結婚式が魅力的になることで、注目も集まるはず。現在は倉敷婚というサイトを作って、エリア内でこんなに素敵な結婚式シーンが出来ることを発信しています。美観地区のウエディングサロンは、倉敷婚の運営に集中し、サイトを使ってPRを進めています。」

――京都のように、ウエディングツーリズムの可能性も高まっているのでは。

岸本「古い街並みを活かした、和装での結婚式は人気。最近は新郎新婦の地元の中間地点で実施する人も多くなり、例えば山陰と四国、九州と近畿出身の両家が、結婚式をしながら旅行に来るケースも目立っています。またデニムドレスもありますし、瀬戸内海の島々での結婚式はまさにリゾートウエディング。当社としても2 年前に、くじら島での結婚式を開始しました。あくまでも主力は式場ですが、プロデュースを続けていくことで地元にあるコンテンツをブライダルで昇華し、地域貢献に繋げていくことができます。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)