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《Yumi KatsuraのTalk Session》福井県若狭町にミュージアム建設【桂由美氏×坂下千夏氏】
4月19日、福井県若狭町に【YUMI KATSURA MUSEUM】がオープンする。桂由美氏のこれまでの歴史を辿る年代ごとのドレスのほか、オートクチュール、著名人が着用した衣裳など数十着を展示するこのミュージアムは、ドレスメーカーのアルファブランカが手掛けた。一帯を【BRIDAL LAND WAKASA】と称し、工場見学、ドレス展示などを通じて結婚式の歴史や文化を広く伝えていく役割を担う。ドレスを着用しての写真撮影のほか、敷地内にガゼボも設置しプロポーズや挙式のステージとしても展開していく。今号の【トークセッション】は、同社の常務取締役・坂下千夏氏をゲストに、桂氏と前社長の坂下志郎氏の50年以上の親交、LANDに対する熱い想いを語り合った。
国内唯一のドレス量産工場
―― 4 月にYUMI KATSURA MUSEUM WAKASAが、福井県若狭町にオープンします。この地にオープンすることになった経緯を教えてください。
桂「現在、ウエディングドレスをメイドインジャパンで量産している工場は、アルファブランカだけになってしまいました。ほとんどの企業が人件コストを考慮して、中国からミャンマー、ベトナムへどんどん工場を移転しています。ここ若狭町の工場が日本では唯一となったからこそ、大切な役割を担っていると考えています。私のようにドレスデザインのプロになりたいブライダル科の学生が、働きながら学んでいく場所として期待しています。日本全国から来ても生活ができるように、宿舎も作っていますので。2 ~3 ヵ月ほど滞在し、素材の種類から創り方、デザインなどの知識を得ていく。もちろん国内だけではなく、中国をはじめ様々な国から学びたいという人を招くことも出来ます。ブライダルを目指す人たちが勉強のために来る場所であるべきだと思い、そのためにはミュージアムが必要だと考えました。ただ将来的には、東京にも規模の大きいミュージアムを作る予定です。」
――アルファブランカは、創業以来、まさにユミカツラと共に歩んできたと聞いています。
桂「私は日本で初めて、ドレスの小売店を展開したわけですが、アルファブランカの創業者で前社長の坂下志郎さんには、それ以前の京都で勤めていた衣裳メーカーの時から制作を依頼していました。当時はまだ新入社員でしたが(笑)。デパートでウエディングドレスを扱うようになり、私と坂下さんで一緒にデパートを回って、ドレスを販売したものです。その後京都の会社は赤字がかさんで最終的には倒産したのですが、坂下さんが独立をして若狭町(前三方町)に工場を作りました。それがアルファブランカです。付き合いは私がドレス制作を始めた初期からになりますので、もう50年以上になります。」
――若狭町に進出したのは、何か由縁があったのですか。
坂下「若狭は父の出身地です。当時の三方町長の誘致に対する強い想いもあって、現在の場所に決定したと聞いています。当時私は中学1 年生だったのですが、周りは田んぼだらけ。そこに車で連れてきてもらって、父から『ここに工場を作る』と言われ驚いたことを覚えています。ミュージアムの建設については、桂先生と父で3 年ほど前から話があがり、三方五湖レインボーラインの石田靖彦社長、若狭町の前町長の尽力もあり、ようやく実現しました。当社はドレスメーカーであり、これまでのビジネススタイルからするとメーカー発信でブランディングはあまり考えなかったのですが、工場見学をはじめ、ドレスの出来るストーリーを皆さんに理解してもらうといういわばオープンファクトリーというコンセプトです。施設全体を【BRIDAL LAND WAKASA】と称し、ミュージアムはそのシンボリックな位置づけ。工場も含めたLAND全体で、多くの人を迎えていきます。」
――最近は観光面でも、工場見学が注目されています。
坂下「クラフトツーリズムは、今後さらに人気が高まるでしょう。また当社の工場は94年度に日本施設部門としては最初のグッドデザイン賞も受賞しているため、少しでも多くの人に知ってもらいたいと考えています。父の想いとしては、業界関係者はもちろん、花嫁にもドレスの製造工程を見てもらうことで、ブライダルの感動を与えていきたいと。多くの人に、ウエディングの魅力を伝えていく場所を作りたかったわけです。工場見学はもちろん、ミュージアムの2 階には桂先生のウエディングドレス数十着を展示し、ブライダルの歴史も感じてもらえる空間となっています。ウエディングに対する想いを来場者に共有してもらうことで、少しでも幸せを感じてもらう、つまり幸せの聖地になっていくことが目標です。責任は重大ですが、日本の中で唯一無二の施設ということで、今後はドレスを見せるという側面だけでなく、歴史全体を感じ文化を伝えていく場所として展開していきます。」
――完成したミュージアムを見ての印象はいかがですか。
桂「自然豊かな所に、真っ白な施設がいいですね。鳥が翼を羽ばたいているイメージを、ミ取り入れていますから。風景にもマッチしています。」
坂下「ミュージアムでは、若い人だけでなく高年齢の女性も気軽にドレスに袖を通して記念写真を撮ってもらえるよう、写真室も作りました。お孫さんも入れて3 代で撮影する、結婚式を挙げずに奥さんにドレスを着せられなかった旦那さんが、感謝の気持ちも含めてプレゼントするといったことも想定しています。ドレスを着た写真が映えるように、桂先生からは馬車も寄贈してもらいました(笑)。」
桂「ウエディングドレスが素敵に見えるものが何かあればいいと、一台購入してミュージアムに飾ってもらいます。展示スペースの見どころは3 つあり、1960年代~現在のドレスを集めて歴史を辿ることのできるアーカイブゾーン。パリコレをはじめとする、国内外のショーで発表してきたオートクチュールゾーン。そして各界の著名人が着用した、衣裳の展示ゾーンとなっています。」
坂下「カフェもオープンしますので、地元のシェフを招いて食のコラボなども考えています。その他、ブライダルの関係者にも様々な形で施設を自由に使ってもらう。ミュージアムという概念に留まらず、そういう意味ではブライダルランドとして総合的な機能を果たしていきます。ガーデンや工場も活かし、新しい企業コラボレーションが可能ではないかと。」
――その点では、桂さんが提唱しているアニバーサリーウエディングの舞台にもなるかと。
桂「そうですね。もちろんアニバーサリーは大歓迎です。そのほかプロポーズにもいいですし、それこそ挙式もできる雰囲気のミュージアムですから。」
坂下「ガーデンにガゼボを設置したのですが、吹き抜けではなくドーム型にして、ある程度の広さも設けました。気持ちの鎮まるスペースになっているので、そこでプロポーズをする、式をすることも可能です。あとは普段言えないような、感謝の気持ちを伝える場であってもいい。どのような使い方をされるのか、楽しみでもあります。」
桂「観光面も考慮して、最終的には花の名所にしたいと思っています。当初、坂下前社長から、施設全体を桜の木で囲むという案を聞いたのですが、桜の名所は全国どこにでもあります。そこで、ジャカランダを提案しました。以前スペインでショーを開催した時に、隣国ポルトガルでジャカランダの並木を見ました。薄紫の花が通りを囲んでいて、桜吹雪のように花びらが舞う光景は今でも目に焼き付いています。日本にはまだ少なく、気温の関係もありますが、ジャカランダで囲まれた場所であれば一つの名所になります。」
坂下「ジャカランダの並木になるまでにはそれこそ、10年、20年かかると思いますが、宮崎県で買ってきた苗木を、現在温室で大事に育てています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)

