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業界の声を国に届ける役割【BIA 専務理事 野田兼義氏】

業界の声を国に届ける役割【BIA 専務理事 野田兼義氏】

 公益社団法人日本ブライダル文化振興協会(東京都中央区・以下BIA)は5月14日、結婚式場業「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」を発表した。専門家会議による「新しい生活様式」の提言の中で冠婚葬祭が指摘されたことを受け、今後結婚式を控える、検討している新郎新婦に安心感を提供すると共に、会場がどのように対応していくかの指針でもある。その経緯と共に、今後BIAが果たす役割について専務理事の野田兼義氏に聞いた。

 ――BIAは、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会との連名で、5 月14日に≪結婚式場業「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」≫を発表しました(詳細は1 面にて掲載)。5 月4 日に専門家会議が新しい生活様式の提言をして以降、わずか1 週間でのスピーディな対応でした。

野田「専門家会議の提言により、結婚式に対する消費者の不安が高まっていくことが予想されました。政府も各業界の対応については、業界団体がガイドラインを策定することを表明しており、それを受けて策定を進めていきました。14日のタイミングは、多くの県で緊急事態宣言が解除されたわけです。新しい生活様式の提言に基づきながら、結婚式場が宣言解除後にどのように感染対策を講じていくべきかの指針が求められており、全日本冠婚葬祭互助協会と連携しながら作業を進めていきました。所管省庁でもある経済産業省の意見を仰ぎながら、いかに消費者の不安を解消することができるかを念頭にしたガイドラインになっています。これはBIA会員のみならず、ブライダル業界全体の指針として活用してもらうべきものです。また、各地域の感染状況を踏まえて、随時見直していくこととしていますし、何よりも大切なのはガイドラインに沿った対応をしてもらうだけでなく、【日程の延期等を希望する新郎新婦の想いを誠実に受け止めていただき、これまで以上の柔軟な対応が求められております】が大切です。」

 

――ガイドラインの策定以外にも、結婚式延期などで厳しい状況に直面している企業も増えているブライダル業界において、公益社団法人として果たすべき役割も多岐にわたっています。

野田「ブライダル施設を複数展開している企業であれば、数1000万円単位の土地、賃料が発生しますし、光熱費負担も大きい。またアルバイトも含めたスタッフの賃金も合わせれば、固定費負担がかかる業界です。経営者にヒアリングすると、キャッシュフローは3 ヵ月程度という回答も多く、となれば7 月中に結婚式が通常通りに動きださなければ、倒産してしまう企業もどんどん出てくる可能性があります。協会としてはセーフティネット融資の対象事業主に、結婚式業を入れることを提言。第5 号に入ったことで最大3 億円が無利子無担保で調達できます。ただこの金額では厳しいという声もあるため、さらに10億円規模にならないものかを相談。固定費負担を考慮して、地代家賃部分をもっとスピーディに政府として対応してほしいなど、経済産業省を通じて上申しています。」

 

――経産省をはじめ、ブライダル婚活議連などの活動によって、国会議員への提言をできる位置づけがBIAでもあります。

野田「先日、ブライダル大手企業の経営者が情報交換するとの話がありました。参加した企業からは、そこでまとまったことを、BIAを通じて政府に提言して欲しいと依頼もされています。BIAとしては、何でも言って欲しいというスタンスであり、国や経産省などへの要望があれば当然動くつもりです。この非常事態ですから、会員、会員外を問わず、ブライダル業界の代表として対応していきます。そうしたスタンスでいることにより、若手経営者の声をまとめるという動きも出ています。4 月に愛知ウェディング協議会が愛知県に署名を提出しましたが、こうした活動もサポートすると共に、国に声を届けるのは公益社団法人としての役割なので、その責任を果たしていきます。」

 

――最近はキャンセルをめぐるトラブルも増加しています。新郎新婦の感情も理解しつつ、コロナのキャンセルだから無料で対応しますという措置は、会場の経営視点では不可能。そうなると今後もトラブルが増加し、結果として結婚式への社会的な不信感が高まることも懸念されます。

野田「緊急事態宣言時は日程延期が中心でしたが、今後は不安を抱く消費者から再延期や、キャンセルに変わる可能性は高まると予測しています。一方で会場側にとってみれば、資金調達の上でも本来担保のような役割であった延期結婚式が失われることになり、何としても防ごうと。その結果、会場と新郎新婦のキャンセルをめぐるトラブルが増加していくでしょう。現在でも消費生活センターには、1 年間の数と同じ相談数が、わずか1 ヵ月で舞い込んでいます。これが続けば、ブライダル業界の信用にもかかわってくるでしょう。例えば、イベント主催者である新郎新婦が被るキャンセル料金については、個人であることも踏まえて何かしら国として補填することはできないものか。実はこうしたことも、これまで経済産業省に相談をしています。ブライダル婚活議連の参加議員に、意見書を早々に提出しようとも考えています。」

 

――今後のブライダル業界の見通しは。

野田「新しい結婚式、新しいビジネスの創造が求められているのでは。オンライン結婚式が注目されているようですが、これについても挙式と披露宴をしっかり分けて考えないと、著作権などのハードルが出てきます。また経済的に厳しい状況の個人が増えれば、3万円のご祝儀の是非が議論されるでしょう。ご祝儀文化の価値をどのように考えるのか。ブライダルの多様化、イノベーションがここ数年注目されてきましたが、そのスピードが一気に速まるのでは。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)