LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

全スタッフの研修をする機会に【迎賓館TOKIWA 館長 齋藤伸雄氏】
「先日聞いた話では、新潟市内において新規で会場を探している人は、週に1 組いるかどうかとのことでした。日時も定まらず、仮に決めても延期、再延期が予想される状況の中で、今の段階では新規集客に関しては非常に厳しいと考えています。すでに受注済みの結婚式に関しては、一部式のみを除いて、3 月~5 月までの期間で100組前後が延期となりました。春は宴会もありますが、3 月だけで70件がキャンセル。当館の場合、県庁や学校の先生などといった公務員の宴会も多いため、やりたくても自治体の方針でやれないということが多いのが現状です。」
「ご祝儀文化で成立している結婚式は、わざわざ会場に来てもらうことが基本となります。そうなると、今のこの時期では逆に不安を与えることになりかねず、なかなかおもてなしもできない。仮に開催したとしても、感染予防のために席も離す必要があり密接した会話も難しいとなれば、影響は長引くのではと考えています。コロナが気にならない状態になるまでは、結婚式は戻らないかもしれません。当然、結婚式場としては売上も追えない中で、まずは年間数億円レベルになる広告費を削減。販管費を小さくする取り組みは進めています。」
「販管費の削減もそうですが、結婚式という大きな収入の見通しが厳しければ、その分リスクの小さい戦略をいくつも立てる必要があります。さらに今までやってきたことを見直しながら、こうした結婚式だったらやってみようかというものも生み出さなくてはなりません。それも踏まえ、5 月1 日から、自創経営を目指した研修プログラムを全員で取り組んでいます。これはスタッフが自ら計画を設定して、プロセスを決め、PDCを回していくセルフマネジメントのできる人材育成のプログラム。結果として目標を必達するためのもので、個々のスタッフが自創できるようになるための研修です。統一プログラム、神社としてのプログラム、部門ごとのプログラムを設けています。同時に日本経営品質賞の知事賞取得を目指し、毎日9 時から18時まで全スタッフで勉強しています。これまでもこうした研修は実施していましたが、忙しいためになかなか腰を据えてできなかった。今こそ一人一人の自創を訓練する機会であると。しかも全スタッフということで、料理、美容、神社の神主、巫女も受けています。料理人であっても包丁を持つだけでなく、労働生産性を理解して計画を立てていかなくてはならない。これまで自分たちの部門中心で考えてきたことを、神社一丸になって同じ方向を向くこともできます。またこの研修によって、販管費の削減についても、各部門でどういった部分の見直しができるかを自分たちで考えさせています。今後の商品開発にも、生きてくるはずです。」
「披露宴への影響が長引くとの予測をしており、当館としてはフォトウエディングを手掛けていきます。これまでは通常の結婚式を否定することになるのではとやっていませんでしたが、現状はまずどんな商品であっても予約を取らなければ何もスタートできない。それならば神門や回廊を作った神社でのフォト、さらに新潟市内でのロケフォトで予約を取っていく。ブライダル専用の車もあり、ロケハンで対応することができますので。フォトを入り口に予約を獲得し、1 週間以内に式はどうですか、少人数のパーティはなどグレードアップの営業戦略をかけていきます。また、コロナの状況でも安心してできる新しいウエディングの形も模索しています。まずは商品を作り、顧客の反応を見ながら改善していく。これを各スタッフが考えられるようになることも、研修が影響してくるでしょう。」
「実は今の状況においても、半減したとはいえ神社には様々なご祈祷で人が来訪しています。安産祈願、初宮などがありますが、本来であればせっかく来てくれている人たちに、何かを仕掛けていくことも可能なわけです。例えば写真、お祝い膳、ギフトなどを提案していく。そうすれば料理・衣裳・美容にまでつながります。ところが、これまでは情報共有もなく、祈祷だけで終わってしまっていた。全スタッフによる研修で、全ての部門が同じ方向を向くことにより、部門の枠を超えたコミュニケーションも深まっています。せっかく来てくれている人に、他の商品を提案していくという流れもできつつあります。これこそが神社のある優位性です。大切なのは、一人一人との絆作り。何度も繰り返し来てもらうことで、生涯的に婚礼以上の収入になる可能性もあるわけです。これは逆もしかり。結婚式で培った顧客との絆は、果たしてその後にどうなっているのか。これまでは単に来てくださいというアバウトなものでしたが、その後に利用してくれているリピートと、来てくれていない離脱をしっかりと把握する。離脱しないための戦略を構築することが大切です。ここを安定化することで、例えばTOKIWAの料理を外に出す店舗出店など、新しい事業戦略の両輪が回転することになります。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)

