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DXで変わる結婚式の常識【エスクリ 代表取締役社長 CEO 渋谷守浩氏】

DXで変わる結婚式の常識【エスクリ 代表取締役社長 CEO 渋谷守浩氏】

 2023年3月期決算で、3年ぶりの黒字回復を果たしたエスクリ(東京都中央区)。都市型施設中心であるため、コロナからの回復は他社より遅れた面もあったが、今期はコロナ前の業績に戻すためのステップアップの時期となる。同社の強みは、コロナ禍においても開発の歩みを止めなかったデジタル化。6月にはウエディング業界では初めてDX認定を受けるなど、注目も高まっている。新時代の結婚式の布石ともなる進化を、渋谷守浩社長に聞いた。

開発はコロナ禍でも推進

――今年前半の状況を、どのように見ていますか。

渋谷「単価は着実に回復してきました。集客に関しては、各媒体共にコロナ以前の100%以上に戻らない状況で、その分を組単価でカバーし、予定通りに近い売上で推移しています。また、新規プランナーのスキルアップによる成約率向上は一番の課題でしょう。個の力を上げるために、ベテラン勢のスキルの高いスタッフ達とのロープレなどを強化しています。」

渋谷「成約率に関しては、当社でないと出来ないサービスや商品力という部分も非常に大事になってきていると感じます。要するに人の力+会社としての商品力・会場力。例えば、6 月にはウエディング業界で初めてDX認定を受けましたが、当社ではこれまで、フルオンラインでの打合せシステムや、50人しか入らない会場でもアニクリLiveを活用し、それ以上の人をオンラインで参加してもらうなどの仕組みを整えてきました。オンラインご祝儀、保険なども含めて、顧客サービスを上手くカスタマイズさせ、それをしっかりと伝えられるように新規プランナーのスキルを高めていくことは大切です。」

――オンライン参加が可能なアニクリLiveは、コロナ禍にリリースしました。今はコロナも終息し、新たな提案も必要になっていると考えられます。

渋谷「今後は、デジタル化された仕組みを持ってる企業が、結婚式のゲームチェンジャーになってくると思っています。ウエディングのあり方自体を、様々な仕組みを創り上げてきた当社が先頭に立って変えていきたいと。DXが言われている現在、一から様々な仕組みを作っていくのは、非常に大変なことです。アニクリ自体は12年前から着手しているのですが、当時から比較しても現在は開発コストも3倍程度になっていますから。当社ではコロナ禍の3 年間でも、この部分だけは予算を削らず投資し続けてきました。その意味でいくと、デジタルトランスフォーメーションの先駆者であると自負しています。」

――新しいテックの部分が、どう結婚式実施率の向上に繋がってくるのかという点についてはいかがでしょうか。

渋谷「アニクリの貢献度は、小さくないでしょう。結婚式に参加した人ほど、自分達もする率は高いというデータがあります。アニクリLiveでより多くの人に結婚式への関わりを持ってもらうことは、結果として実施率向上に繋がってきます。もう一つ、現在は20~30%の人が、結婚式をもっとシンプルに簡潔に実施したいと考えています。今後はさらに、簡潔化した便利な結婚式を志向する人は増える可能性も高く、この部分をキチンと着手していかないと業界全体としても実施率はどんどん低迷していくでしょう。例えばWEB招待状、オンラインご祝儀に関しても、そもそも仕組みを持っていなければ、旧式のものしか提供できないわけです。我々はDX認定を取得したことにより、デジタルの準備が整っている企業と公的にも認められていますし、その点では旧来のスタイルと新たなスタイルのバランスを取ることができる。決して旧式のスタイルを否定しているわけではなく、どちらの志向にも合わせられることがこれからはさらに必要になってくるのではないでしょうか。」

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1、11日号)