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連載11《自社運営施設では成約率60% 中小会場の成約率UP》違いを作り出しプランナーの武器にする【KAKEHASHI 代表取締役 寺田英史氏】
施行繁忙シーズンになると、会場を見せられない新規接客も生じます。例えば新店の場合、建物は未完成の状態でも受注をスタートしますが、会場を見せられない中でも完成予想図だけを使って成約しています。そのポイントは、いかに新しく出来る会場の価値が他とは違うのかを説明できているか。新店であるというスペック的な違いはもちろん、その会場で出来ることの違いも新規接客の武器になります。成約率を高めるためには、プランナーにいかに多くの武器を持たせられるかは非常に重要だと言えます。
つまり、他会場との違いを具体的かつ戦略的に作っていきそれを武器にしていきますが、では既存の中小会場はどのように違いを作っていくべきか。大手会場やマーケットリーダー、チャレンジャーとの違いをコンセプト、商品開発、オペレーションで表現しなければなりません。強い会場と同じ土俵に乗らないことは必須です。
当社の運営する静岡の会場は、スペックの違いで差別化は難しい。そこでコンセプトを一日一組完全貸切とし、そのための商品開発、オペレーションを確立。ここでだからこそ出来ることを、新規接客の武器にしています。
具体的には、一日一組完全貸し切りだからこそできる、当日、一時間たっぷりとかけた森の中でのフォトタイム。その後は、ゆっくりとガーデンでのウェルカムパーティーを開催。披露宴は3 時間を費やし、通常よりも30分長いことによって何が出来るのかも説明します。お開き後に、2 人だけのフォトタイムをとることも可能で、カップル毎にオリジナルのフルコースも提供しています。分かりやすい違いを武器にして、施行繁忙期には会場を見せなくても成約に至っています。
もともとこの会場はコロナ禍に運営をスタートした経緯もあり、結婚式を開催できませんでした。そのため、迷いなく一日一組完全貸し切りを導入できました。さらに一日一組であるからこそ出来ることをたくさん作り、付加価値としています。またコロナ禍にフォトでスタートし現在もフォトプランを設けているため、その魅力をインスタで見たことがあるという来館者も年々増えています。森の中で撮影する素敵なフォトWは、結婚式本番でも有効活用されています。
もちろん、これまで2 回転で運営してきた中小会場が、1 回転に切り替えるのは難しいかと思います。ただ、マーケットでどう戦うのかを考えた時には、手放すものを手放す決断も必要でしょう。他にはないコンセプトに振り切り特化して、当社の会場は年間100組を安定して施行しています。
結婚式の分母は減っていて、さらにプランナーの人数が足りていないという中小会場の悩みもあります。プランナーの業務負担、アルバイトなどの人件費、成約率向上によるCPAの改善などトータル的に考えれば、一日一組でも効率よく利益を確保できます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)

