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28年取り組んできた『倉敷婚』【サムシングフォー 代表取締役 岸本裕子氏】
倉敷美観地区の保存地区エリアにおいて、築230年の邸宅を使った【The華紋】を始め2施設を運営し、ウエディングプロデュースも展開しているサムシングフォー(岡山県倉敷市)。1982年創業の同社は、地域文化を活かした結婚式を作り上げ、地域産品を積極的にブライダルにも取り入れるなど地域密着を大切にしてきた。「地域内で密度濃く多くの人と関わり、信頼を勝ち取っていくことが地方会場の生き残り戦略」と、岸本裕子社長は語る。
――地域密着という側面では、倉敷のウエディング文化を発信する【倉敷婚】を作り上げ、その発信をこれまで行ってきました。
岸本「会場、式場という枠組みではなく、倉敷の神社や歴史的建造物、老舗旅館、豊かな自然や原風景など、倉敷らしい写真、挙式・披露宴、食事会の会場を組み合わせて、倉敷ならではの結婚式を提案してきました。これは創業者である母の代から、28年取り組んできたことです。もともと倉敷の美観地区は、20haの敷地に古い街並みが保存されている貴重なエリア。街の特性や時代背景を活かした結婚式の作り方、シーンの提案です。その一つに、川舟くだりがあります。川舟に新郎新婦が乗るもので、写真だけの場合もあれば、結婚式の流れの中に組み込むケースも。観光協会で聞いたところ、年間の予約が150件は超えるということでした。単純に3 日に1 回は新郎新婦が乗っているわけで、結婚式シーンが街の風物詩になっているという点では、珍しい事例だと思います。川舟くだりは、15年前に観光課が舟の運航をコンテンツとして使えないかとなった時に、母が以前から結婚式に使いましょうと提案していたことで実現しました。」
――まさに地域の魅力を、結婚コンテンツで表現している形ですね。
岸本「8 年前には、街並みに似合う花嫁スタイルの提案もスタートしています。江戸時代から昭和初期の建物が残っている地域で、和と言っても西洋文化が入り始めたころの時代背景。そこで引き振袖にベールを付け、さらにその時代に合わせたアンティーク、ビンテージドレスを仕入れ、レトロで和モダンの花嫁スタイルを提案し定着しています。」
――地元産業とのコラボレーションという点で、デニムを使ったドレスも開発しました。
岸本「倉敷はもともと繊維メーカーの多い地域で、特にデニムに関しては日本初の国産を作ったのが児島地区にある大石紡績だと言われています。もともとデニムドレスの需要はあったのですが、レンタルだとどうしても色落ちの問題が発生する。そんな時に老舗のジャパンブルーという会社(桃太郎ジーンズで有名)が、色落ちしないデニム生地を開発したことから協業でドレスを制作しました。デザイン、制作は地元のファッション系の専門学校生に依頼。タキシードも用意していますが、今でも安定的に受注しています。衣裳フックで来て決定してもらうという意味では、ビンテージドレス、デニム衣裳の効果はあります。」
岸本「倉敷の結婚式を表現すると共に、地元の文化と結婚式をコラボすれば様々なものが誕生し、需要が出来てきます。例えば引出物についても、伝統工芸品の世界では作り手はどんどん少なくなっているのに対し、結婚式で表現すれば需要も出来てくる。【倉敷手毬】という工芸品に関しても、小さいものを作ってもらい、それを簪に使うなどして常に新たな可能性を考えています。コロナ禍に、フランス料理の急速冷凍をECで販売するビジネスをスタートしましたが、これも他のことで地元の企業に使ってもらえないかと検討しています。」
――倉敷は、ブライダルの流出エリアです。
岸本「やはり、地元の人に倉敷で結婚式をしてもらうという機運は高めていかなければなりません。そこで高校生に対して、キャリア教育の授業をすることもあります。仕事をしていくといったことだけではなく、結婚とは何なのかを考えてもらう機会で、高校生になれば未来図として描きやすくなるため、結婚、結婚式を地元で実施して欲しいとの想いも含めて対応しています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)

