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~新郎衣裳改革~目指せ単価UP&持込防止!#最終回 変革期を迎えているフォーマルウェア【タキシードアトリエ ロッソネロ 代表&デザイナー 横山宗生氏】

~新郎衣裳改革~目指せ単価UP&持込防止!#最終回 変革期を迎えているフォーマルウェア【タキシードアトリエ ロッソネロ 代表&デザイナー 横山宗生氏】

 皆さんこんにちは。早いもので1年間の連載も最終回。ラストを飾る今号は、メンズフォーマルの重要性、そしてこれからの『未来』についてお話しをしていきましょう。

 「オリジナルウエディング」という言葉が“当然”となった昨今ですが、ここ数年でブライダル業界は大きな変革を遂げました。私が高松から上京したのが12年前。当時はパッケージの結婚式が主流で、ウエディングドレスにおいても今ほど選択肢はありませんでした。新郎の衣裳も同様です。そもそもタキシードは、エリの部分が光沢のある拝絹(ハイケン)と呼ばれるものがルール。一方で、一昔前の日本の結婚式で見られていたのは、日本独自の“セレモニースーツ”でした。光沢のあるロング丈が主流で、レンタル文化にも耐えられるような造りになっていたのです。

 この10年間でスマホが台頭し、それに伴いInstagramなどのSNSも浸透。 結果として消費者は様々な情報に簡単にアクセスできるようになりました。ファッションに関しても同様です。流 行に敏感な若い世代はコーディネートなどをSNSでチェックするようになり、それはフォーマルウェアに関しても同様の流れと言えるでしょう。

 こうした背景から、若い世代におけるフォーマルウェア文化は、さらに広がってくると考えています。例えばプロムパーティ。欧米発祥の卒業ダンスパーティですが、ハロウィンが日本で も大きな“文化”として花開いたように、このプロムもイベントとして今後日本に浸透していくことが予想できます。これに付随して、ビジネススーツが主流である成人式や大学の卒業式などにおいても、今後はタキシードを着る文化が広まってくると感じます。

 若いうちにフォーマルウェアを着る経験は、年を重ねた時に大きな“財産”となります。タキシードを 1 度着ると、スーツとの違いは絶対に伝わります。この経験が結婚式の衣裳選びで男性をワクワクさせますし、タキシードのジャケットとジーンズを合わせるなど、 日々のコーディネートを楽しめるようにもなる。タキシードは長く着用できる大切な1着として、その人の人生を豊かにしてくれるのです。

 ではもう少し上のバブルを経験した世代、していない世代ではどうでしょうか。バブル崩壊前は日本全体が元気 な時代でしたから、ディスコなどのパーティ文化が盛んでした。そうした場 所にフォーマルウェアを着ていくこともあり、タキシードを着た経験がある人も多いと言えます。一方でバブル崩壊後は経済が冷え込み、なかなかフォーマルウェアに触れる機会がなかった。この年齢層は結婚式ですら“セレモニースーツ”でしたから、タキシードのよさを知らない世代とも言えます。

 ブライダル業界の中にも、この世代に当たる人は多いのではないでしょうか。フォーマルウェアとスーツの違いが分からないのであれば、ぜひ1度自分から着てみること。その経験がないと、業界人としてフォーマル衣裳の価値を語ることはできません。  

 タキシードは1度着てもらえれば、その良さは伝わると信じています。フォーマルウェアのある人生を送るか送らないか、結婚式はその大きな分岐点です。だからこそ衣裳会社だけでなくブライダル業界全体で、しっかりとした知識を持つことが重要。フォーマルウェアをただ売るのではなく、期待を超える接客、そしてその人の人生を豊かにするような提案ができるかどうか。それができれば、顧客は本当に喜んでくれますし、私たちにとってもや りがいに繋がります。ここ数年で、フォーマルウェアをとりまく環境は大きく変化を遂げました。今後の更なる浸透も視野に入れ、現状で満足するのではなく、知識と経験と随時アップデー トしていくことが必要不可欠です。

 1 年間の連載はいかがでしたでしょうか。皆さんにとって有益な情報をお届けできたのなら幸いです。1 年間ご愛読本当にありがとうございました。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)