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![:連載99:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]業界全体で事業者間取引の健全化が急務【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】](https://bridalnews.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/d2693e224da150b7f3eef427849463e9-220x330.jpg)
:連載99:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]業界全体で事業者間取引の健全化が急務【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】
昨年11月に「フリーランス保護法」が施行され、今国会で「下請法」の改正案が審議、可決される見通しの中で、ブライダル業界において下請法違反を理由に公正取引委員会から、勧告処分を受ける事案が発生してしまいました。このコラムでは改めて、事業者間取引を規制する下請法について解説します。
Q1.どのような事案だったのでしょうか。
A1.公正取引委員会の発表によれば、婚礼施設を運営する事業者が、取引先である司会、美容または映像制作等のパートナー事業者に対しておせち料理やディナーショーチケットを販売しようとした際に「一度断った相手に対して再度購入を要請する」などしたことが、下請法で禁じられた「購入・利用強制の禁止」に抵触するとして、3 月6 日付で勧告処分がなされました。
Q2.「購入・利用強制の禁止」とはどのような規制でしょうか。
A2.ブライダル業界に当てはめて説明しますと、ホテルや式場を運営する事業者が、司会者やヘアメイク等のパートナー事業者に対して、自社商品やサービス等を強制的に販売することを禁じた規制です。
Q3.「強制的に」といえるかどうかはどのように判断されますか。
A3.下請法運用基準によれば、強制性が認められるおそれのある事例として「パートナーへの発注関係の担当者から要請すること」、「パートナーごとに目標額を定めて要請すること」、「一度断られたのに重ねて要請すること」等が列挙されています。つまり取引先を選択できる決裁権のある担当者が要請したり、一旦断られた後に「そういわずにお願いしますよ」と再度要請したりするだけでも、「購入・利用強制の禁止」に抵触し得るということです。
Q4.会場側はパートナー事業者に対して、自社商品やサービスは販売しない方がよいのでしょうか。
A4.会場運営事業者がパートナー事業者に自社商品やサービスを販売すること自体が違法なのではなく、「強制的に」販売することが違法であり、そしてこの「強制的に」に該当する基準はかなり低い(=強制性が認定されやすい)ということです。会場側としては、パートナー事業者に自社商品やサービスを案内する際は、強制にならないように「誰が」「どうやって」案内するかを慎重に検討すべきでしょう。
Q5.このたびの勧告処分は、ブライダル業界にどのような影響を与えるでしょうか。
A5.現在政府は、昨年11月に施行されたフリーランス保護法や今国会で更なる厳格化が見込まれる下請法に基づき、事業者間取引の健全化を図るための活動を活発化。一部新聞報道では「要注意な業界」をいくつか特定して、集中的に是正を求めていくことが計画されているようです。私たちの業界では、今回と同一の事業者が以前も同じ理由で勧告処分を受けていることもあり、相当程度同法に抵触するリスクの高い業界に特定されていると思われます。今回の事案を機に、公正取引委員会が婚礼業界に向ける眼差しがより一層厳しくなる可能性があります。
Q6.パートナー事業者側はどのような対応が求められますか。
A6.今回のような処分を受けると、会場運営事業者こそが「会社名がずっと公開されてしまう」等の不利益が生じるため、パートナー事業者としては、仮にフリーランス保護法や下請法に抵触しかねない要請を受けた際には、「これって法的には問題ないですか?」と聞いてみるといいと思います。パートナー事業者から言い出すのは難しいかもしれませんが、長年この業界に身を置く筆者の肌感覚としては、最初から悪意をもって下請法に抵触する行為をしている会場運営事業者は極めて稀ですので、「知らなかったです」「失礼しました」と是正される可能性は決して低くないと筆者は信じています。このまま私たちの業界全体が、「法律を守らず下請けをいじめる業界」というレッテルを貼られてしまうのは悲しいので、業界をあげての健全化を進めて欲しいと願います。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)

