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![:連載98:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]vol.33「全国各地で制定『カスハラ防止条例』関連Q&A」【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】](https://bridalnews.co.jp/wp-content/uploads/2024/04/d2693e224da150b7f3eef427849463e9-220x330.jpg)
:連載98:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]vol.33「全国各地で制定『カスハラ防止条例』関連Q&A」【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】
この連載も間もなく100回を迎えようとしている中、当社は2 月13日に創業10周年となります。今後も有益な情報を発信できるよう努めてまいります。今回は全国の自治体で制定が進む「カスハラ防止条例」について解説します。
Q1.いわゆる「カスタマ―ハラスメント(カスハラ)」の防止を求める条例が各地で制定されているようですね。
A1.2024年中に東京都、北海道、そして三重県桑名市で各々「カスハラ防止条例」が制定され、いずれも今年4月1日から施行されます。また他の自治体においても制定に向けた検討が進められており、おそらく今年中にこの流れは全国へ拡大していくと思われます。
Q2.この動きにはどのような背景があるのでしょうか?
A2.国や自治体は以前より、セクハラやパワハラなどのハラスメントが生じない就業環境の構築へ向けて、事業者に義務を課してきました。カスハラを巡る動きも、「働く人をハラスメントから守る」という大きな流れの一環と言えます。一方で、行き過ぎた権利意識の高まりもあって、顧客からのクレームが以前より過激化、または悪質化したという変化を指摘する声もあります。
Q3.先ほどの3つの自治体で制定された条例の内容は、一緒なのでしょうか?
A3.「カスハラは認めない」という規範を明確に示す点は一緒ですが、実際にカスハラが生じた場合における自治体の関与については異なります。
東京都と北海道の制定した条例は「カスハラをしてはならない」と高らかに理念は掲げているものの、違反者に対する罰則等の制裁措置についての規定は一切ありません。一方で、三重県桑名市の制定した条例では、悪質なカスハラを繰り返した場合、最終手段としてその者の氏名を公表するという制裁措置を盛り込んでいます。
Q4.事業者はこれらの条例で「守られる」立場であり、特別な対応は不要と言う認識でよいですか?
A4.いえ、そうではありません。
東京都の条例では事業者に対して「スタッフがカスハラに直面したら、まずはスタッフの安全を図り、かつ顧客に対して中止を求めるなど適切な措置を講じるよう努めなければならない」と、努力義務が課せられています。
つまり、カスハラ顧客への対応を特定のスタッフだけに押し付け、事業者全体としての対応をおろそかにした場合には、事業者の義務違反が問われることになりかねない、ということです。
Q5.婚礼事業者としては「カスハラ防止条例」をどう受け入れ、活用していくべきでしょうか?
A5.サービス業はその性質上、他の業界と比較して顧客に寄り添ってサービスを提供する傾向が非常に強く、それは私たちの強みでもあり、誇りでもあります。しかしそのことは「カスハラ顧客からの不合理な要求に対しても従順であり続けること」と同義ではありません。
私たちブライダル事業者としては、今は自治体に限らず国においても厚生労働省を中心にカスハラ対策について検討が進められており、こうした世間の感覚や法令が変化し、いかなる理由であれば「カスハラは許されない」という認識になりつつあるという現実を正しく認識することがまず大切だと思います。
そして、不幸にもカスハラ顧客と対面する場面においては、「国や自治体の示す基準に沿うと、お客様の言動にはこういう問題があると判断します」、「それを改善していただけない場合には、国や自治体の示すマニュアルに沿ってこれ以上の対応は控える他ありません」と、国や自治体の示す基準をうまく活用し、現場でカスハラに傷ついているスタッフを守っていく姿勢が必要と考えます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)

