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キーマンに聞く

:連載91:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.28「『カスタマーハラスメント対策』の最前線」 ~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

:連載91:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.28「『カスタマーハラスメント対策』の最前線」 ~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

暑い日が続く中、全国の婚礼現場において奮闘する全ての皆様に敬意を表します。

さて、今回は昨今注目が集まりはじめた消費者から事業者に対するハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を巡る最新情報をQ&A形式でまとめます。

 

Q.「カスハラ」という言葉が徐々に定着してきたように思いますが、通常の「クレーム」とは何が違うのでしょうか?

A.厚生労働省は令和4 年2 月に示した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」において、顧客からの商品やサービスに対する正当な「クレーム」と「カスハラ」とを明確に区分し、「カスハラ」については「過剰な要求」や「不当な言いがかり」を指すものと定義づけています。つまり、「カスハラ」対策を進めることは、消費者からの正当な「クレーム」を軽視、無視または反論していこうとするものではありません。

 

Q.「過剰な要求」とはどのようなものが考えられますか?

A.ブライダルの現場に当てはめれば、事業者側のミスに乗じて、実際の損害を大きく超える法外な返金を求めたり、あるいは実施済みの披露宴や撮影等のやり直しを求めたりする例が考えられます。

 

Q.では「不当な言いがかり」とはどのようなものが考えられますか?

A.たとえばフォトウェディングの場面で、事業者は通常通り撮影しているのに「想像していたより空が暗い」とか「肌つやの写りが気に入らない」など主観的な感想のみに基づいて返金ややり直しを求める例が考えられます。

 

Q.なるほど。こうした言動で事業者を困らせる「カスハラ」について、国はどのような対策を事業者に求めているのでしょうか。

A.報道によると、「労働施策総合推進法」を改正し「カスハラ」によって従業員が過剰な心身の負担を受けることのないように企業に対して適切な対応を義務づける検討に入っているとのことです。

この報道の通り義務化された場合には、すでに企業に課せられているセクハラ、パワハラ、マタハラ対策を講じる義務に、新たに「カスハラで苦しむスタッフを適切に守る」義務が加えられることになります。

 

Q.とはいえ、一部の現場の方からは「これまでは不合理なクレームに対しても最後まで誠実に対応してきたが、今後悪質なクレームに対しては『カスハラ』と認定して毅然とした対応をすることで、SNSや口コミサイト等に悪く書かれ、ホテルや式場の評価を下げることにつながらないだろうか」という不安の声があがっているのも事実です。

A.確かに、気分を害した一部の顧客がネガティブな口コミ投稿をするリスクは否定できません。ただ、そもそもどんなに誠実に対応してもネガティブな口コミをする方はいますし、投稿の内容次第では、逆に「カスハラ」に対して事業者側が毅然とした対応する姿勢を評価する方もいらっしゃるはずです。

 

Q.ではひとまずどのような対応が必要でしょうか。

A.厚生労働省はマニュアルの中で、・「カスハラに対する基本方針」の制定と社内外への周知・カスハラ被害にあったスタッフへのケア・カスハラに対する社内教育の推進等を呼び掛けています。今できることとしては、①「カスハラ」に対する独自の方針を定めて開示すること、②「カスハラ」に対する社内教育を始めておくこと、だと考えます。

ただでさえ人手不足に苦しむ今、せっかくブライダルという仕事に憧れ、入ってきてくれた仲間が「カスハラ」を原因に離れていってしまうのは業界全体にとっての痛手という他ありません。ともに働く仲間を守る観点から「カスハラ」に対する備えを進める時期にきていると考えます。

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月11日号)