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:連載86:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.24「クロークで荷物を預かった会場の責任とは?」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

:連載86:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A vol.24「クロークで荷物を預かった会場の責任とは?」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

このコラムでは、ホテルや式場のクロークで参列者などの荷物を預かる行為に関する法的な責任について、Q&A形式でまとめます。

Q クロークで荷物を預かる際に、会場側はどんな責任を負うの?

A 事業者が参列者などから荷物を預かる場合の責任については、商法第595条で「商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。」と規定されています。

これは、事業者が参列者などから荷物を預かる場合には、それが無料サービスであろうとなかろうと、「プロとしてそれを慎重に取り扱う注意義務」を負うということです。

Q クロークで預かっていた荷物が壊れていた場合に、会場は常に責任を負うの?

A 商法第596条は「客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない。」と規定しています。「不可抗力」とは「必要な注意をしても防ぎようがないこと」を言いますので、預かっていた荷物が無くなったり、壊れたりした場合には、事業者は「それが防ぎようのないことだった」と証明しない限りは賠償責任を負うということです。

ただこれは「預かっている間に荷物が壊れた場合」を規定しているので、いつ壊れたかわからない場合にまで、常に会場に責任を負わせているわけではありません。クローク内で壊れた証明がないような場合は、会場が「自分たちに原因があるかは分からない以上、責任はとれない」と主張する分には全く構いません。

Q それでも顧客は「壊れたのは会場のせいだ!」と譲りません。証明する責任はどちらにあるのですか?

A 法律上、証明する責任は請求する側(つまり顧客側)にあるのが大原則です。もし参列者が「クロークに預けたものがクローク内で壊れた」と主張し、会場に責任を追及するのであれば、自らが「クローク内で壊れた」ということを証明する責任があります。

Q 自社のクロークでは「貴重品は預からない」ことを伝えていますが、貴重品であることを隠されてしまい、預かった荷物に事故が起きたときは責任を負うのでしょうか?

A 商法第597条では、高価品の特則として「貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。」と規定しています。

これをホテルや式場での対応に当てはめると、荷物を預かる際に「貴重品はございますか?」と声をかけて、参列者等が「ありません」と回答、または何も答えなかった場合には、もし高価な物品(現金などの他、ノートPCも該当すると考えられます)が入っていて、それが紛失または壊れたとしても、その存在を聞かされていなかった事業者側は責任を負わない、ということになります。

もちろん、こうした事故を起こさないようクローク内の体制を整備するのが1 番大事なのですが、加えて「貴重品はございますか?」という声がけを徹底することが、いざという時にこんな法的な効果を導き出すということも是非覚えておいてください。

Q 過去に預けていた荷物について問合せが。何年間責任を負うの?

A 商法第598条は「事業者が預かった物品を返還したとき、又は客が施設を利用したときから1 年間で時効となる」と定めています(要約)。したがって1 年以上前の利用者からの問合せは、これを理由に拒むことが出来ます。ただし、会場側が破損などの事実を知っていた案件においては1 年間で時効は成立しないとされています(同条第2 項)。

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)