LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

:連載80:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A 「オンライン接客時に注意すべき特商法」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

:連載80:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]ブライダル法務Q&A 「オンライン接客時に注意すべき特商法」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

コロナ禍を経てすっかり定着したオンラインを用いた接客スタイルですが「特定商取引法の規制に抵触してしまうのでは?」という悩ましい問題が生じています。概要をQ&A形式でお届けします。

Q リゾートウエディングやフォトウエディングを中心に、「初期接客はオンラインで」という方針を採用している事業者も少なくありません。その場合は「ある法律」に注意が必要とのことですね。

A そうなのです。その法律とは「特定商取引法(特商法)」です。特商法とは、一般消費者を守ることを目的に、訪問販売やマルチ商法など一般消費者が「望まない契約」をする危険性の高い一部の取引を特定して、事業者に表示義務等を課し、消費者にクーリングオフの権利等を設定する法律です。このうち、オンラインを用いた初期接客という方法が、同法で規制される『電話勧誘販売』に該当してしまうのではないか、という懸念があるのです。

Q 『電話勧誘販売』とはどういったものでしょうか?

A 事業者から消費者に電話をかけて商品やサービスの契約を勧誘するスタイルの営業を指します。消費者からすると、頼んでもいないのに、いきなり電話で勧誘を受けることになるので「思わず購入してしまったけど後から後悔した」という場面もあり得ます。そこで、一定の条件下において消費者にクーリングオフ(=解約料負担なしで解約ができる制度)の権利が認められています。

Q 一般的な電話勧誘と異なり、「オンラインでの初期接客」は事業者から一方的に連絡するわけではないので『電話勧誘販売』に該当するという解釈には違和感がありますね。

A 個人的には全く同じ気持ちです。ブライダルの現場の感覚としては、本当は来訪してほしいところを、お客様から「オンラインでお願いします」とリクエストを受けて、やむを得ずオンラインで応じるケースも少なくないわけです。その場合でも『電話勧誘販売』の場合と同じ法的規制が及ぶというのは、納得しがたい面がありますよね。ただ、WEBサイトでの案内や電子メールでのやりとりを経て、電話やオンラインでの打合せとなった場合も『電話勧誘販売』に該当するというのが、監督官庁の考え方なのです。

Q なるほど。『電話勧誘販売』への規制とは具体的にどのようなものでしょうか?

A 主な規制としては、契約後に事業者が法定の書面を交付してから8日間以内(書面を交付していなければ「無期限」)は、いつでも消費者から事業者にクーリングオフを通知出来るとすることで、消費者を保護するものです。

Q それは事業者としては困りますね。「オンライン初期接客」から契約に至った場合は、常にクーリングオフが適用されてしまうのですか?

A そうではありません。特商法施行令第2条第1号には『電話勧誘販売』に該当するための要件として、「契約の締結に向けた勧誘をするための商談であることを告げずにオンラインでの商談を要請すること」(意訳)が挙げられています。つまり「事業者から新郎新婦に『営業する予定であること』を知らせずにオンライン商談を設定した場合」には、オンラインでの営業活動が『電話勧誘販売』に該当し、クーリングオフが適用されるということです。

Q では予め「契約に向けた案内をする」ことを伝えれば、『電話勧誘販売』に該当しないということですよね?

A その通りです。オンラインで案内をしただけでクーリングオフが適用されては困ってしまうので、オンラインのURLを送る際にそのような案内を付けておくとよいと考えます。具体的な表現については各地域を管轄する経済産業局に確認してみることをオススメします。

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1、11日号)