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キーマンに聞く

:連載71:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第71回『ブライダル法務Q&A vol.11「『インボイス制度』のギモンに答える」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

:連載71:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]第71回『ブライダル法務Q&A vol.11「『インボイス制度』のギモンに答える」~株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏~

来年10月から本格導入される予定の消費税に関する『インボイス制度』は、ブライダル業界内の事業者間取引に大きな影響を与えます。BRIGHTにて先月実施した緊急アンケートの一部結果を踏まえながら、Q&A形式で解説します。

Q そもそも「インボイス制度」ってどんな制度なのですか?

A 「インボイス制度」を理解するためには、まず2 つの前提を理解する必要があります。まず1 つ目が「仕入れ税額控除」です。たとえば式場が新郎新婦から得た売上分の消費税を国に納める際には、その売上を得るために仕入れ時に支払った消費税分を差し引いて、残額だけ納めればよいとされています。たとえば式場が新郎新婦に税別300万円の結婚式を提供し消費税30万円を預かっていた場合において、その仕入れに税別150万円かかっていて消費税分15万円を支払っていたのであれば、その式場が国に納めなければならない消費税額は(30万円-15万円=)15万円となる、という仕組みです。つ目が「免税事業者」の存在です。実は2 期前の年間売上が1 千万円以下の事業者は、売り上げた際に受領した消費税を納税する義務を免れます。消費税の納税義務を負わない事業者は免税事業者と呼ばれます。

以上を前提に制度の概要を解説すると、2023年10月からは「仕入れ税額控除」をするには、仕入れ先から税務署で発行される登録番号を付記した「適格請求書」(これを「インボイス」と言います。)を提示してもらう必要が生じます(実際には6 年間の経過措置があるもここでは説明は割愛します。)。しかし税務署で登録番号を発行してもらうには、免税事業者も消費税の納税義務を負わないといけなくなります(=課税事業者にならないといけない。)。これが「インボイス制度」の概要と課題の根幹です。

 

Q ブライダルの取引に置き換えると、式場にとっての仕入れ先であるパートナー事業者が現在「免税事業者」だった場合、税務署で登録番号は発行せず、できれば消費税は負担しないままが望ましいですよね。そういう選択は可能なのですか?

A 可能です。しかしそうすると、自らは引き続き消費税の納付義務を免れますが「適格請求書」の発行ができないため、式場はその事業者から仕入れた商品・サービスの消費税分を「仕入れ税額控除」できず消費税の納付額が増えてしまいます。

Q それは式場が困りますね。全国の式場はどのような対応を予定しているのでしょうか?

A 先日BRIGHTで実施した緊急アンケートによると「まだ方針を決定していない」という回答が最も多かったですが、続いては「発注量・取引額の低減を検討する予定」や「他の新たな外注先を模索する予定」との回答が続きました(各々回答事業者の3 割ほど。複数回答可の結果)。

Q 一方でパートナー事業者はどのような対応を検討していますか?

A 同じアンケートによると、「インボイス登録する」と「発注主に依頼されたら登録する」という回答で合わせて約6 割でした。

Q もし現在「免税事業者」であるパートナー事業者が「どうしても登録番号は発行したくない」「このまま免税事業者でありたい」と主張した際、式場が強引に登録番号を発行させたりするのは問題でしょうか?

A 一旦外注済みの案件について、それを理由に外注を取り消したり、発注額を減額したりすることは、下請法や独占禁止法の違反となる危険性があります。ただ、将来に向けて取引条件について交渉すること自体は問題ありませんので、「外注先のパートナー事業者にインボイス登録を依頼すること」自体は、直ちに法律に違反するものではないと言えるでしょう。

インボイス登録をするか否か、仕入れ先に求めるか否かについては、顧問税理士等と相談して決定することをお勧めします。

 (詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月11日号)