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キーマンに聞く

高性能AIマイクで録音【TIPLOG 代表取締役 CEO 高津 守氏】
個々の接客をデータ収集
IdeinのエッジAIプラットフォーム【Actcast】を活かして、ブライダル業界向けに接客解析AIマイクを使ったシステム【Phonoscape】の展開をスタートしたのが、TIPLOG(東京都大田区)だ。既に大手ブライダル企業や地方会場などで実証実験を行っている。
「IdeinはエッジAIでAIマイクを使った情報収集から、それをまとめるクラウド、アウトプットする仕組みまで全てをカバーしています。実際に店舗ビジネスでの導入事例も豊富であり、ブライダル現場の情報共有、教育の課題を解決していく枠組みを共同で開発しました。」(代表取締役CEO・高津守氏)
ブライダル現場の課題は、右記の囲みの通り。例えばセールスからプランニングに顧客を引き継ぐ際、情報の抜け漏れを防ぐために引き継ぎシートを作成するといった手間も生じる。打合せ時に話したことが記憶ベースになっているため、新郎新婦との間に言った言わないの問題が発生。それを防ぐために打合せ毎の議事録を作成するものの、自らメモをしたものを見直すか、録音したものを聞きなおし、議事録に起こしていかなければならない。
「この議事録を作成するだけで、30分から1 時間かかります。こうした時間を削減していくことは優先事項であり、それならばAIマイクを使うことですぐに改善できます。」(高津氏)
成約率の落ちているプランナーに対し、マネジメントは教育を施すわけだが、実際の接客を知らなければ課題も不明確で的確な教育にはなりづらい。
「AIマイクで個々の接客をデータ収集し、それを解析することで、例えばカウンセリングの内容が浅い、クロージングが一足飛びになっているなど、細かな課題も明確になります。生成AIを使って、企業ごとにプロンプト(どんなデータを読み込ませ、何を生成してほしいかなどの指示命令)を設計し、情報を可視化します。」(高津氏) 情報を収集するには、AIマイクの性能が重要だ。ブライダルの現場は、隣で他の接客をしているケースも多く、ざわめいた環境である。その中で、対象者の音声をクリアに集音しなければならないが、その点、Ideinの扱うデバイスはインタビューでも紹介している通り、高ノイズの携帯大手キャリアの店舗でも活用されるなど、その性能は証明済みだ。また新郎新婦の声とプランナーの声を完全に識別する話者分離も、実績を見ればレベルの高さは明らか。
「エッジAI処理によって、自動録音も可能。AIマイクはテーブルごとに置きますが、会話の開始に応じて自動的に録音するという仕組みです。」(高津氏)
議事録にした際の文字の誤り率も、他業種の事例では5.7%。固有名称など当初は誤りになるケースがあるものの、ファインチューニングすること、さらに精度は上がっていく。
「AIマイクの活用メリットとして、まず安心安全の担保があって、カスハラ対策面も含めてプランナーを守るという観点で非常に大切な役割になります。言った言わないの顧客とのトラブルも解消できます。また業務改善・効率化、教育面。もう一つ、ビッグデータの蓄積は今後に向けて非常に重要だと言えます。情報をプラットフォームに落とし込んでいくことで、3年、5 年後にはAIを使ったプランナーのアシストサービスまで繋がっていきます。例えばこういう属性の新郎新婦には、こんな提案をすればいいなどもAIのアシストを受けることで可能となります。」(高津氏)
現在は、ブライダル現場に合わせたベースのプロンプトを作成している段階。どういったデータをまとめ抽出していくかについて、汎用性あるベースを構築するという状況である。実証実験では、精度の測定と共に、ベースとなるプロンプトを日々改善しながら、ニーズに応じていく。例えばテキストで何分にどの会話をしたのかを、可視化できるようにもしている。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月1日号)

